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Posted by ブクログ
「怪奇大作戦」は超トラウマドラマでした。ウルトラQ、ウルトラマン、ウルトラセブンを幼少期の主食として育った自分が、キャプテンウルトラによって、アレ、なに、今度のテレビ、ちょっと味が違う、子供っぽい、と思った時に、作っている会社が違うからだ、と気づいたのが円谷ブランドを認識した最初でした。だから、たぶん少年マガジンのグラビアかなんかで、またその次回作が円谷モノになる、ってことは知っていてものすごい期待で日曜日7時の「タケダ、タケダ、タケダ」にチャンネルを合わせたのです。だけど、今度はヒーローも怪獣も出ず、だけどガッカリはせず、怖くて怖くてドキドキし、なんか大人の感じに親の視線が気になり、かぶりつくというより恐る恐る見て、わからないストーリーは翌朝学校へ行って、大人びた友人に聞く、という感じでした。なんだか、今までは子供用の雑誌を読んでいたのに、お父さんの持ってくる週刊誌を開いているような気分になりました。テーマソングのインパクトも凄くてギャー!という叫びも脳に溝を刻んでいます。なので、その後も再放送みたり、また「京都買います」「呪いの壷」のVTRを持っている人に見せてもらったりする、常に気になる作品なのであります。そこに、このマニアック本。テレビ番組を作り出すとはこういうことなんだ!という制作の悶絶が記載されています。オンエアからほぼ半世紀。関係者も消えていく中で、ギリギリこのような本が残されることが「怪奇大作戦」の凄さと幸せなのだと思いました。「怪奇大作戦」の直前の「マイティジャック」の失敗も記述されていますが、ともに挑戦しているのは子供向けだけじゃない特撮。「怪奇大作戦」がオンエアされた1968年はマンガを卒業しない子供たちに向けてビッグコミックが創刊された年です。大人と子供の境目が揺れ始めた時代の記録としても書かれてよかった本です。脚本家の上原正三の成長に光を当てているのもマニアックで、「怪奇大作戦」12話「霧の童話」に出てくる少年とヤギに、去年坪田譲治文学賞を受賞した「キジムナーKids」のペーグァとメェ助をダブらすのも、作者、スゴイ!と思いました。