【感想・ネタバレ】オマルとハッサン 4歳で難民になったぼくと弟の15年のレビュー

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Posted by ブクログ

グラフィックノベル作家のヴィクトリア・ジェミスンがオマル・モハメドから話をていねいにききとって、何度もやりとりしながら作りあげた作品。名作。

難民キャンプでのなんの変化もない日常。
小学校には希望すれば通えるけど、中学は1校しかないから成績優秀者しか行けないこと。国連の選抜に基づく北米への「再定住」という制度もあるけれど、何万人にひとりという確率で、そこに望みをかけすぎたがゆえに精神に異常をきたしたり、自殺したりする者もあること。
望みを失い、覚醒作用のあるカートの葉を噛んで日々を無気力に費やす大人も多いこと……。難民キャンプの実情って、知らなかったなあと思った。

障害のある弟ハッサンとの強い絆や、兄弟をひきとって母親のように面倒を見てくれるファティマの愛情、友人たちとの関係もていねいに描かれていて、何度も目がはれるほど泣いた。ファティマがね、ほんとにいい人なんだ。

勉強が得意で再定住の夢をもちながら、結婚を強いられて夢を捨てざるを得なかった友人のマリアムが、旅立ちに際して送ってくれた「星々の詩」という詩が、When Stars Are Scattered という原題に通じているのだろう。オマルとハッサンがいまはアメリカで暮らし、難民問題に対処するための努力を続けていることにかすかな希望を感じる。

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2021年11月08日

Posted by ブクログ

ソマリア内戦に巻き込まれたオマルと弟ハッサンの自伝となるグラフィックノベルです。
4歳のオマルは父親を突如銃殺され母親とは生き別れとなり、唯一の家族ハッサンを連れてケニアの難民キャンプへ逃げ込みました。
何日も歩き続け瀕死の状態で到着し運良く回復しますが、キャンプは開かれた牢屋と呼ばれる厳しい世界だったのです。
身寄りの無い彼らの後見人となる優しい女性ファトゥマと出会い、ここでの長い生活が始まります。
実の母親のこと、国連に申請して先進国へ渡ること、障害を持つ弟ハッサンとファトゥマのこと、オマルは沢山の悩みを抱えながら待ち続けるしかありません。
書き出しに“ぼくの子ども時代はなかったも同然でした。”とあり、読者に伝えたいことの全てがここにあるように感じました。
限られた子供しか通えない学校から“難民であるということについて”を英語で書く課題が出ますが、色々ある中でも一際衝撃のある文章を引用します。

難民であるということは、未来がまったくないということです。

生きてはいても過酷な状態が延々と続くのであれば、それは人生を謳歌しているとは言えず消費していることになります。
地球上の間違った普通に対しては、国を跨いで異常と認識し解決しなければならないと強く思いました。

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2021年07月05日

Posted by ブクログ

難民の実情をわかりやすく説明してくれている。

教育だけでなく、衣食住すらままならない現実を、多くの人が知るべき。

とは言うものの、自分ではどうすることもできない。

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2023年06月30日

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