あらすじ
ルールに縛られるな、ルールを創り出せ。
税制、製品規格、安全基準など、ビジネスではあらゆる場面でルールに直面する。そのルールを、政府・関係団体などに働きかけ、自社に都合よく作り変える――それこそが、「パブリック・アフェアーズ戦略」の目的である。
この戦略はグローバル市場ではもはや常識となっており、米国・EU・中国・日本など各地で、世界規模の「ルール策定戦争」が始まっている。昨今話題のTPPなどは、その典型的な事例である。
日本企業は、この戦争に完全に出遅れてしまった。
ルール策定に関与できない企業は、自社に不利なルールを受け入れざるを得ず、最初からハンデを背負って戦うことを余儀なくされてしまう。ルールに縛られるのではなく、ルールを創り出す企業が生き残る時代に入ったのである。
本書は世界各国で40年以上、対政府渉外活動のコンサルタントとして活躍し、経済産業省の研究会の委員でもある筆者が、世界の「ルール策定戦争」の現状を解説。その戦争に打ち勝つための戦略=パブリック・アフェアーズ戦略を初めて明らかにする。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
PRの分野の中に、ガバメント・リレーションズというものがある。名前の通り、目標達成のために、PRの中でも、特に、省庁や地方政府、国際機関などに特化した分野である。そのガバメント・リレーションズを、政策にまで落とし込むという具体的なアクションにまで落としこんだものがパブリック・アフェアーズである(と、解釈している。最も、ここらの定義は曖昧なようだ)。
さて、この本は、そんなパブリック・アフェアーズを丁寧に説明したかなり珍しいものではないかと思う。まず、パブリック・アフェアーズとは何か、またその重要性、必然性をまず述べている。そして、実際での戦略の立て方を次いで説明する。さらには、損戦略の展開方法を述べる。最後には、各国(EU、アメリカ、中国、日本)でのパブリック・アフェアーズの実情が説明されている。
きっちりとケース・スタディを盛り込んでいる事が、この本の丁寧さに磨きをかけているように思う。例えば、アフラックの第三分野保険導入のケースをあげている。他にも、交渉先の議員や官僚の網羅された(公的でオープンな)リストのソースもしっかりとあげてくれている。更には、各国の政治制度への言及もある。
ここ数年、PRの教科書は少しずつ出始めている。しかし、PRの中の特定分野の、例えばエンプロイー・リレーションズ、コミュニティ・リレーションズの、専門書というのはまだまだ少ないように思う。だからこそ、この本はこれだけ丁寧に書かれているのだろう。
PR分野、特に政府関係のPR業務に関わりたいと思う人間には、非常にありがたい本である。
Posted by ブクログ
日本に馴染みのないPA(パブリックアフェアー)を紹介する本。その新鮮さに星四つ。確かに、もっと民間人がルールメーカーになろうという気持ちがあっていいかも。やってみたい仕事の一つ。