【感想・ネタバレ】対話型講義 原発と正義のレビュー

あらすじ

福島第一原発事故により、普段は“机上の空論”と揶揄されがちだった哲学的な多くのジレンマが現実となった! 放射能汚染、東電の賠償責任、発送電分離、そもそも原発は正義なのか――数々の難題に直面してしまった私たちは、広く徹底的に議論して解決策を見つけなければならない。本書では、原発推進・縮減・反対などあらゆる立場の参加者が白熱討論を展開。議論を通じて公共哲学の思考プロセスが身につく、全日本人必読の書。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

サンデル教授の対話型講義の形式に倣って、小林教授が原発の存在について進めた講義録。

サンデル教授との違いとして、小林教授自身が明確な意見・考えを持っていることが前提にある。サンデル教授の場合、仮に自身の考えを持っていたとしても、講義の中では殆ど披露せず、受講者たちの議論の流れに委ねている。その姿勢は講義中ずっと続き、最後まで「結論はこちらだ」という纏め方はしない。議論が出来ることが何より重要なのだ、と。

一方、この本における小林教授は、明確に脱原発よりの考えを持っており、またそれを講義の中で示してもいる。

どちらが講義を行う中でよいのか、人それぞれの判断なのかもしれないが、哲学というそもそも明確な答えを一つ出すような学問でない限りは、あらゆる意見に対して公平な立場を持つという意味で、サンデル教授の様にあくまで「傍観」した方が良かったのではないかと思われる。

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2012年08月24日

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