あらすじ
「まずは親子の対話から」なんて信じてはいけない。引きこもりは、親子が理解し合って解決することもあれば、理解し合えないと分かって解決することもある。家族をひらき、第三者を介入させよ。「解決なんて無理」と諦めるなかれ。一歩踏み込む「おせっかいな支援」をすれば、ほとんどの引きこもりは自立可能なのだ――。支援活動を30年続けてきた団体創設者による、引きこもり問題への最終回答。
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Posted by ブクログ
こんな人生、生き方でいいわけがない。よかったわけがない。
引きこもりに関することはいろいろな意味で、確かに日本社会の象徴的なことだなと思います。
まえがき
第1章 子供を犯罪者にしないために
「どうせ解決なんて無理」というニヒリズム
「日本は失われた30年間」で、明日は今日よりも 少し良くなるだろうという希望をなくし、ニヒリズム気分が少しずつ蔓延していた。「現代社会は巨大なニヒリズムに覆われる状況」で、問題も解決を諦めてしまう人が急増しているように感じられてなりません。
他者に相談しない理由の第一は「相談しても解決しないと思うから」なのです。あきらめめの世界に入ってしまっているようです。
しかし、引きこもりは絶対的に不幸な生活です。
引きこもりはもともと本人の社会力の問題なのです。
第2章 家族をひらく
第3章 「信じて待つ」は3年まで
待つことにも、時間が過ぎていくという大きなリスクがある。
年齢が上がり、引きこもり年数が伸びて、いいことはありません。実はしっかりマイナス方向に進んでいる状態です。
わかりやすいところでは、年齢が上がり、ブランクが長くなれば、当然ながら仕事が見つかりにくくなります。 本人の中の社会やその世界へのハードルも引きこもり年数とともに上がっていきます。
そして引きこもりの固定化が進みます。解決はどんどん遠のきます。
「信じて待つ」から「信じて背中を押す」へ
「8050問題」を前にしても引きこもりでいいと言えるのか。
第4章 「まず親子の対話から」という誤解
第5章 引きこもり支援のゴールは自立である
第6章 一番イヤでない仕事で食い扶持ちを稼げ
「失われた30年」とぴったり重なる。
「お国のためにも自立を」
今後は引きこもりすら減っていく
引きこもり146万人は、日本の未来の暗さの象徴です。
Posted by ブクログ
愛媛県で学習塾「二神塾」や幼稚園「二神塾幼稚舎」を経営していた著者・二神能基氏が、千葉に移転し、引きこもり・ニートの相談を数多く持ちかけられ、設立したのが、認定NPO法人ニュースタート事務局である。(もう一人の著者である久世芽亜里さんはそのスタッフである。)
1994年から引きこもりなどの若者を支援する活動を始め、約30年で1700人を超える若者を支援してきた。
本書では、ニュースタートの支援方法、その根底となる考え方が実際の支援事例と共に伝えられる。
12の若者の支援事例が取り上げられているが、
★「欲しいものがない」
★「やりたいことがない」
★「下流志向」
この三つが、いまどきの子ども達、特に引きこもりの子たちの特徴らしい。
「引きこもりはもともと家族の問題ではなく本人の社会力の問題なのですから、本人を家から出して他人や社会と交流させましょう。本人の社会力が育てば、 彼等は社会の中で生きていけるのです。」
「引きこもりが目立って増えてきたのは、バブル崩壊後の、未来が暗く見え始めてからです。引きこもり146万人は、日本の未来の暗さの象徴です。引きこもり146万人を、まず5年後には100万人に、10年後には50万人にまで減らしていきたい。それが引きこもり支援に30年取り組んできた私の最後の思いです。」
「この思いを実現できなかったら、私の引きこもり支援人生は敗北の人生であったと認めるしかないと覚悟しています。146万人の引きこもりを一人でも多く自立させ、彼らに人生の幸せを感じてもらい、日本の未来を明るく照らしてもらいたいのです。」
と説く著者の半生の努力は、日本の引きこもり問題にさわやかな風を送り続けている。
Posted by ブクログ
目からうろこが山ほど落ちた。
息子の理解者でありたい、なんて思うのはやめる。
これからは私が自分自身を大切にする。
それが息子の幸せにもつながると確信した。
現状打破、はまず、家族を開くことから。
すぐにでも始めたい。
Posted by ブクログ
状況が固まるというのは確かにそう。そういう意味での1年3年の節目はわかる気がする。介入が色々とあるのはいいことだろう。おっしゃる通り、8050は数十年単位だから動かしづらかろう。
Posted by ブクログ
本著は千葉県浦安市に拠点を構える認定NPO法人ニュースタート事務局の運営者らによる本である。
内容としては、過去約30年間に渡り2000人以上の引きこもりの当事者から外の環境へ支援した実績を述べている。引きこもりは全世代にて年々数十万単位で増加しており、今後も増加の見通しである。男女年齢世代問わず、引きこもりは存在している。
環境や社会の変化、人間関係の悪化、職場の不和、精神疾患、コロナなど、複雑で個々の事情で大きな影響と原因が多様である。
本著で紹介している支援の対象者は主に、20代を中心に50代まで幅広く相談や支援をしている。本著でも述べている通り「引きこもりでよかったと思うことはほぼない」と元引きこもり当事者の声が綴られている。
だが、初期費用はそれなりにかかることは意識しなくてはならない。国や行政も引きこもりへの対応は必須だろう。引きこもりはもったいない。やりたいこと、できること、興味あることがあればいくらでも復帰できる。専門の第三者の支援者を通して、人の交流を深め、引きこもりであった自分を乗り越えてことは可能だ。
人生失敗したら終わりという風潮は根強いが、それらは無視していい。引きこもりから外に出て別の場所で活動すれば、引きこもりの時と違う環境と人たちと出会うことができ、食べ物から見るもの読むものを通して世界は広く多様であり、自分の足下を固めることができるのだ。完璧な人間になろうとしなくてもいい。自分が自分であり続けるために、「引きこもり」という状態は変化している状態であり、部屋の外へ出て、新しい場所で新しい人と出会えばきっと人生が大きく変わる変化を感じることができるだろう。