あらすじ
いまは「新たな戦前」ではない。「まごうことなき戦時下」だ。時代のあらゆる領域を侵蝕する「戦争」と対峙し、表現の力だけで翼賛の気風に抗う入魂の反時代的文芸エッセイ集。
発表済み原稿に加え、戦争の時代の全景を捉える書き下ろしを巻頭に収録。
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Posted by ブクログ
エッセイ集。近づいてくる戦争の足音に耳を傾ける辺見庸氏の憂いが詰まった本だった。昔はこんな風に戦争を危惧する著名人が主流だったのに、現代では隅に追いやられつつある。いよいよなのかと気分が暗くなる。自分なんかはタモリの新しい戦前発言は政府からの間接的な国民への予告だと思っている。陰謀論めいているが、それ含めて芸能人やマスコミの仕事ではなかろうか。
しかし、墓場でガールフレンド?に接吻かました話はショッキングだった。日が暮れるまでとは、いったい何時間拘束していたのだろう。これが本当のエピソードであれば、後悔してるとはいえ性的暴行でしかない。気絶までした相手を海綿だかなんだに例えて文学的にまとめてる部分に昭和左翼男性の無神経さを感じた。
幻想的で暗い短編小説と老いた超小型犬との触れ合いは良かった。