【感想・ネタバレ】改訂 祇園祭と戦国京都のレビュー

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Posted by ブクログ 2021年08月09日

 祇園祭はTV映像しか見たことはなく、これまで特別の関心はなかったのだが、法蔵館文庫入りした本書を手にとった次第。
 本書の対象とするのは、主として室町時代後期、戦国時代にかけての祇園祭のあり様なのだが、史料上の制約でこれ以上は分からないとの言が何度か出てくるものの、逆にここまで分かるのかと感じ入っ...続きを読むた次第。さすが都京都の祭。公家の日記や寺社の史料に記述が残されていて、ある程度まで復元ができる。

 ところで、祇園祭というと、"権力に抵抗する民衆の祭礼"とのイメージがあると著者は言う。どのようにして、そのイメージは作られていったのか、そして本当にそうだったのだろうか。これが本書のテーマとなる。

 1953年に祇園祭に関する2冊の書物が刊行された。1冊は、論文「町衆の成立」等がおさめられた林屋辰三郎氏の『中世文化の基調』、もう1冊は民科京都支部歴史部会作成の紙芝居を書籍化した『祇園祭』。紙芝居では、権力側の横暴から祇園祭を守り抜こうとする京の町人の姿、団結力が高らかに謳われる。戦後歴史学徒が関わった国民的歴史学運動の一環としての活動であった。そしてさらに、祇園祭は小説、映画と新たな媒体に描かれ、イメージが広がりを見せていく。

 このような権力対民衆という構図は本当だったのだろうか?応仁・文明の乱以降の有り様を、著者は史料に即して明らかにしていく。

 祇園祭の実施年や時期を丹念に追いかけて、幕府や延暦寺大衆の関わり、神輿渡御、山鉾の担い手、経費負担の問題等の実際を、少しずつ明らかにしていく。
 その結果、明らかになったことは‥‥

 著者によれば、現代の祇園祭は中世期とは行路等だいぶ変わったものらしいが、是非直接に見てみたいものだ。
 
 

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