【感想・ネタバレ】転んでも、大丈夫 ぼくが義足を作る理由のレビュー

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Posted by ブクログ

著者は義肢装具士として義足を作る臼井二美男さん。日常用の義足はもちろん、スポーツ義足の第一人者としてパラリンピック選手の義足も作っています。そんな臼井さんが義足作りを始めたきっかけ、義足作りへの思い、患者さんとのエピソード、そしてその患者さんたちが語る言葉が入っています。

2017年読書感想文コンクール課題本ということですが、これはとても良い本でした。
病気や事故で足を失った人は、痛みや、病状の変化や、世間からの注目を恐れて引きこもりがちになってしまうこともあります。それでは義足装具士として患者さんにできることはなんだろう?患者さんに向かい合い、体のケアはもちろん心にも向き合わなければなりません。臼井さんの心構え、患者さんの要望を聞いて、患者さんが納得する方法を一緒に考えていきます。技術者として「ここまこうします」と押し付けすぎず、無理だなと思っても「それは無理じゃないかな、、」などの言葉は使わず、患者さんが試したいものを試して患者さんも技術者も納得する方法を目指していく。この気持ちは人と人が向かい合う姿勢としてとても大切で、自分はできてないので見習わねば!と思えました。

そんななかで、臼井さんは海外では作られていたスポーツ義足に出会いました。「義足でもまた走れるようになる」それを示すことにより患者さんに目標が生まれることもあります。
足を失うことは体も心も大変な負担で悩みだらけ。そんな患者さん達も気持ちはうちにこもってばかりでは有りません。義足でもお洒落をしようとファッションショーを開いたり、協議に挑戦してパラリンピックに出場したり自分自身のできることに挑戦したり発信していきます。
そんな経験が、義足作りの臼井さん、その義足を作る患者さん双方の言葉で丁寧に語られています。

義肢の人たち同士の交流の話も初めて知ることばかりでした。臼井さんが始めた義足ランナー練習会では、先輩ランナーが新しく入った人たちに義足の使い方や、気持ちの持ち方などを教えたり、見守ったりしています。
心身のことなので、良いことばかりでは有りません。技術者同士の考えの違いが合ったり、昼夜を問わずに打ち込む臼井さん自身が倒れてしまったり、義足競技者も思うように体が動かせなかったり、一番つらいことには患者さんが亡くなってしまうこともあります。

義足ランナーたちの話もあるので、義足を使うことの感覚も語られます。「スポーツ義足では義足のほうが体より先に飛んでしまうので慣れるまでは大変だった」というのはまさに生の感覚ですよね。

題名の「転んでも、大丈夫」は、先輩義足ランナーや臼井さんのような技術者スタッフさん達が患者さんを見守る気持ちの現れの言葉です。義足の人たちは転ぶことへの恐怖心が強く、実際に転んだら大怪我したり、病状により義足の細かいケアが必要だったりと悩みがつきません。転んだら立ち上がればいい、一人で起き上がれるようになるのも練習。走るのも転ぶのも起き上がるのも上手になっていきます。「転んでも、大丈夫」

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2022年11月05日

Posted by ブクログ

義肢装具士の臼井二美男さんのお話し。

臼井さんは、ひょんなことから義肢装具士になり、一生の仕事としてのめり込む。

臼井さんの、人をバックアップする姿勢(押し付けがましくなく、その人がやりたいことを優先する)、究めたいという職人気質が、義肢装具士を天職にしているのだなと、しみじみ感じる。

スポーツ用の義足を作るのに試行錯誤していたとは。
アメリカの写真を見ながら、作り方もわからない中、見よう見まねで作ったという逸話が、意外だった。

もっと確立されている世界だと思っていたので。
臼井さんと、義足を使う方々の並々ならぬ熱意が伝わってくる本でした。

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2019年09月25日

Posted by ブクログ

義肢装具士(ぎしそうぐし)の臼井二美男(うすいふみお)さん。
義肢装具士とは、生まれつき手足のない人や、病気や事故で手足をなくした人に、そのかわりになる義手や義足を作る仕事です。

ブラジルのオリンピック、パラリンピックではオリンピック選手だけでなく、パラリンピックでの活を知りました。そして東京オリンピック、パラリンピックが2020年に開催されることもあって、テレビでもパラリンピックで活躍するアスリートたちの姿をよく目にするようになりました。
そんなパラリンピックで活躍するアスリートを支えているのが、義手や義足です。

臼井さんは、日本ではじめてカーボンファイバーを使った、板バネ式のスポーツにも対応した義足を作った人です。
義手・義足が、手足を失った人の希望になる。
多くのアスリートたちと義足を作ってきた臼井さんの、真摯な仕事ぶりと心根がいい。

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2017年06月04日

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