【感想・ネタバレ】建築家の解体のレビュー

あらすじ

『建築の解体』の刊行から五〇年弱、後期近代の時代にあって、安藤忠雄や隈研吾に代表される従来の建築家のイメージは、見直しを迫られている。ブルデューの理論を用いて、建築家という職業がつくられていくプロセスを描写するとともに、解体していく建築家像の軌跡をたどる。フィールドワークの知見を盛り込み、「街場の建築家」という今後の可能性を最後に示す。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

磯崎新の名著「建築の解体」になぞらえ、変わりつつある建築家という職能にフォーカスして語る本。

ブルデューの理論を引用し、建築家界に入るためには資本(建築家界でいう学歴など)やハビトゥス(建築家らしさ)、そして賭け金(建築作品)が必要であると説く。
そして賭け金は安藤忠雄でいう住吉の長屋のような、今後のアイデンティティにもなりうるような前衛的なものでなければ今後の勝負の世界にエントリーできない。

この賭け金という感覚は建築学科卒の私にもなんとなくイメージがあるが、この考えはクライアントにとっては少し迷惑な話であり、そこの意識が強すぎるとよくないと感じた。
(そういう意味で、個人的には建築家に部分的な嫌悪を抱いたかも…?)

今組織設計事務所に勤めているが、いわゆる建築家が作る前衛的な建築は「建築的な発展」を主として目指しているのだと感じた。その一方で組織設計やゼネコンが作る建築はどちらかというと社会的な発展を主として目指しているものが多いのかもしれない。

しかし、この建築的発展と社会的発展はそもそもどちらも必要であるため、組織設計にいる自分とすると、社会的な発展を前提とし、その上でどのくらい建築的発展(建築的にどう新しいか?)を考えられるかが勝負なのかもしれないと感じた。

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2023年04月06日

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