あらすじ
現代の日本人は、四~五人に一人の割合で、肝機能に異常があるとされる。「沈黙の臓器」である肝臓の異変に気づかぬまま、慢性の病で死に至る場合も多い。本書では、健康診断以外で意識しづらい肝臓について、基礎知識をイチから解説。飲酒やダイエットとの関係、健診項目の見方、主な肝臓病と最新の治療などを、医学史の流れをふまえつつ紹介する。健康な毎日のために知っておきたい、人体最大の臓器をめぐる医学講義。
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Posted by ブクログ
古代の中国やギリシャ時代のはなしからはじまり、
肝臓がどんな働きをしているか、どういう病気があるかなどをわかりやすく書いています。
たくさんのコラムもあって良かったです。
肝炎というのは、簡単に言うと、肝臓の細胞が死んでいっている状態というのは、びっくりしました。
肝臓を労って暮らしていこうと思いました。
Posted by ブクログ
肝臓について、医療の専門職でなくても、わかりやすく解説されている良書。
肝臓は他の臓器と違い、人工物で代替できないと初めて知った。
「沈黙の臓器」であるから、健康診断の結果には注意したいと思う。
過剰なアルコール摂取が肝臓に悪いことは承知していたけど、過食が脂肪肝につながるというのは盲点だった。
Posted by ブクログ
肝臓の機能について、医学の発展、歴史に紐づける形で紹介した一冊。
書評で気になり購入。健康診断で肝臓の値が引っかかっているが、放置することの深刻さが深く理解できた。肝臓の値に問題ない方々含めてお勧めしたい。
Posted by ブクログ
予備知識のない人でも肝臓についての正しい知識をまとまって得られる。一般向けの本は健康に関するところだけ、「どうしたらいいのか」にしぼって書かれているものも多いが、本書は物質名など割愛せずしっかり書かれており理解が深まる。なぜそうなるのか、に関する知識を得ることの意義は大きい。
Posted by ブクログ
このところアルコール耐性がついてしまい、徐々に飲酒量が増加してきていることに危機感を覚えていたところ、この本を見つけ購入。おそらくは同種の本は山ほど出ているが、最新の情報を得ることは何につけても重要。
本書の特色は、まずヒポクラテスやガレノスから始まる肝臓の構造記述の歴史から始まること。この先人たちの誤解と発見を紐解くイントロダクションのおかげで、我々一般人が抱く肝臓に対する臆見が徐々に取り除かれてゆく。
しかしこの肝臓、本書でも述べられる通り、心臓や胃などの単一機能臓器とは異なり多様な働きを担っているため、とてもその機能を一言で表現することはできない。いきおい記述が多面的になり一読しただけでは消化不良を起こしてしまう。
僕が気になるアルコール代謝との関係に絞ると、肝臓は空腹時つまりグリコーゲン枯渇時には脂肪酸を分解しATPを産生しているのだが、ここで使用される機構がアルコールの代謝にも使用されるため、空腹時に飲酒するとこの機構が脂肪酸分解によりテークアップされてしまい、アルコール代謝が進まず血中アルコール濃度が上がってしまう。またタンパク質を「新糖生」の働きにより分解しグリコーゲンを補おうとするので、筋肉が削られてしまうのだ。かといって、つまみ(炭水化物)を摂り過ぎてしまうと今度はグルコースが過剰となり、これがアルコール分解で忙しい「クレブス回路」により分解されず脂肪酸生成に回ってしまうため、中性脂肪が肝臓に蓄積され脂肪肝になってしまうという。
なんともうまくできているものだが、やはり高機能とはいえ肝臓に負担をかけ過ぎては良くないことが理詰めで理解できた。他にC型肝炎をめぐる逸話(故ライシャワー米駐日大使の輸血感染)なども興味深かった。