あらすじ
■金融界のエグゼクティブ・プロフェッショナルに向けたデジタルメディアのNIKKEI Financialが、日本経済新聞の全国金融機関への取材網、金融専門記者たちの金融庁・日銀への取材力を活かし、地域金融機関の事業モデル改革の成功と蹉跌の最前線を伝える。
■地銀改革の光と影、実力を発揮する信金・信組、現れた新興勢力など、全国各地の地銀の動向を、当事者インタビューをまじえ細かく紹介。また、金融当局が取り組もうとしている企業金融改革の意図・実態・これからや、金融デジタル化、ESG金融への取り組みなど最新動向を伝える。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
リージョナルバンカーズ 地域金融が勝ち抜く条件
編:NIKKEI Financial
扱っている金融商品もほぼおなじ、やっている業務もだいたい同じ、それでいて、他行と差別化をしなければならない銀行とは、いったいどのような仕組みになっているのだろう。
それを明確にしてくれるのが、本書だと思います
■コスト低減、☐営業拡大
■北国銀行
・地銀ではじめて、勘定系をクラウドに移行した
・DX戦略を、ユニシスとともに推進
・生産性向上を目指す業務改革を行った
■南都銀行
・郵便局との共同窓口化による固定費削減
・長期ビジネスモデルの改革
・それを実現するための組織改革
■ふくおかフィナンシャルグループ
・地銀買収による規模拡大 規模拡大しなければ質がついてこない
■横浜銀行
・情報子会社のNTTデータへの譲渡
・勘定系は、NTTデータのパッケージを利用
・情報系は、NTTデータのライバルのIBMを採用
・支店行員を40%に、本店行員を25%に削減
☐京都銀行
・任天堂、京セラ、日本電産を育てたベンチャーキャピタルとしての矜持
・株式を売れという政府・日銀に対抗する気概
・現状維持は衰退、規模を拡大すれば単独で生き残れる
☐伊予銀行
・DXで「日本一手続が簡単な銀行へ」
・顧客の店舗滞在時間を大幅短縮
・事務を、集中センターに集約
・システム自営を貫き、デジタル人材の育成
☐城南信金
・貸すも親切、貸さぬも親切
・人のためになる金は貸すが、ためにならない金は、どんなに担保を積まれても貸さない
・貸して終わりにしない
☐大分信組
・ほれこむ
・歩いて、歩いて、歩きまわれ、見て、見て、見てまわれ、聞いて、聞いて、聞きまわれ、そして、お客様のお役に立て
・汗をかいている中小・零細は絶対につぶさない
目次
はじめに
第1章 地銀異変
第2章 両利き経営への挑戦
第3章 地銀再編の世界
第4章 名門地銀の試行錯誤
第5章 銀行よりも強い信金・信組
第6章 金融当局の思惑
あとがき
巻末資料
地銀ランキング
年表
ISBN:9784532359089
出版社:日経BP 日本経済新聞出版本部
判型:4-6
ページ数:312ページ
定価:1800円(本体)
2021年11月15日1版1刷
Posted by ブクログ
Nikkei Financialの記者による地銀の現状の取り組みをまとめた書籍。積極的に改革に取り組んでいる地銀だからだろうけど、何もしていないようにみえて、実は結構改革していることがわかる。
山口FGとスルガはどちらかといえば失敗事例ではあるが、その他の事例は好感のできる事例。基本的には、デジタル投資をしつつも、地元の企業への対面での支援を強化しているというのがポイントだろう。昔からコンサルティング営業とか言われていたけれど、マジメに取り組んで来た銀行はその成果が出てきている。特に融資だけではなく、エクイティにも取り組み、企業経営そのものに参画しようとしているのは銀行ビジネス自体の魅力を高めていると思う。中小企業への資本参加はPEには小さすぎて参画が難しいので、ここを補完するのは地銀にしかできないだろう。
その意味では最後に紹介されている信金・信組の方が実は一歩先を行っていて、地銀はその意味では遅れている。改革できることは多い。あとはいかにノウハウを調達するか、難しいけれど立ち止まってはいられない。
それにしてもアクセンチュアが至るところに出てきて、実態は社員代替だとは想像するけれど、裾野の広さを感じた。