工藤妙子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレフランスとイタリアの「老練愛書家」2人よる対談。タイトルからみて、紙の書物は絶滅するのか?という問題意識で手に取りましたが、それに関しての2人の答えは一貫していて、それよりも、ありとあらゆる情報が入手可能になった現代、私たちはどう情報と向き合ったらいいのか、本質的な示唆に富んだ視点が盛りだくさんで学びが多かったです。
・これから求められるのは、考えをまとめて結論を導く技術、真偽を確かめられない情報をチェックする方法
・書くという行為は常に危険を伴ってきたし、今でも変わらない
・過去がそのままの姿で我々のもとに届くということはまずない
・我々自身が情報提供者になり、善意で悪気なしに情報をねつ造することだってある。修正するには、延々と検証しつづけるしかないが、苦労が多すぎるので、結果的に野放しになる
・映像は人を欺く
・自己顕示は何によっても止めることができない
そのほか、面白かったのは、インターネットの方が先に姿を消す可能性だってある、とか、そもそも私たちが学んだのは傑作や偉大な歴史に偏っていて、それも「敵や馬鹿や間抜けが書いた」結果であるものが多いし、それよりも「珍説愚説」の方が豊穣で示唆に富む、とか。
こうして当たり前に、前提としてとらえてきたことを逆から見る気持ちよさ、というか、常識が揺さぶられる、何とも言えない爽快感を味わいました。
もう一つ、衝撃だったのが「誤りとか、思い違いとか、ばかばかしさとか、そういうものにどうしようもなく惹かれるんです。くだらないことが大好きなんです」と言い切っていたお二方。珍説や嘘が書いてある本を集めているのだそうです。その潔さといったら。
全体を通して、世界の広さと深さ、そして希望を感じさせてくれる本でした。
でも基本的に長くて読みにくいので、★は4つ! -
Posted by ブクログ
ネタバレ綺麗な本です。買わされます(笑)
電子書籍より紙の本がいいよ!という本ではなく。
書物はどんな風に扱われてきたのかということを、延々話し合っております。
その中で、データの儚さ、味気なさに言及しているのですが、私が小さい頃に愛用していたMDって、CDの次にやってきた媒体だったのに、ほんと滅びてしまいましたよね。
紙は、少なくとも紙以上にはならない(だろう)から、難点はあるけれど、何かに取り変わられる怖さはないのかもしれない。
一方、データや入力方式については、まだまだ新しくなってゆく。
それは紙にとっては脅威だ!とは思わなくて、紙に出来なかったことを、どう補うんだろうという、期待もあるのです。
私たちは「書かれたもの」に興味をなくしたわけではない。
この対談の中では、ひとつ、フィルタリングについて挙げられています。
膨大な書物の何を、誰がデータ化するのか。
書かれた内容の真偽をどう判定するのか。
そして、嘘が書かれた書物には価値がないのか。
紙が勝手にデータ化するわけはないので、誰かがその作業を担うわけですか……。
そこにイデオロギーを絡めて言及されています。
もう一つ、面白かったのがデータの消去の話。
「『検索』機能を使えば、ドキュメント内に出てくるある特定の単語すべてを検出し、マウスで一回『カチッ』とやるだけで消去できてしまうように、ある単語ないしある語群だけを地球上のすべてのコンピューターから消去してしまうような情報科学による検閲だって想像可能ではないでしょうか」
書物の歴史には、焚書という災厄が何度も繰り返されたけれど、そこには炎による破壊と再生という象徴的な意図を見出せる、とある。
なるほど、対してデータの世界は静かですね。
知らない間に、言葉が消えてしまう可能性や、如何に。