働きかける霊、水難の霊、タクシーの霊、親しい者の霊に分類された下巻は、上巻より現代に近い感覚で読めます。
読み応えがあるのは外伝とされる最後の章。
問題にすべきは幽霊そのものではなく、それを見た感じたとする我々自身の心理・状態のことである、という、この上下巻が編まれた目的の再確認部分でした。
今の我々が残酷と感じる(例えば妊婦の腹を裂いて胎児を取り出す)行為は、それらが習わしとして行われていた当時とは感じ方に差があるということ、幽霊を見るのは特殊能力ではなく誰にも起きうる事象であることなど、興味深いまとめでした。