アンニ・スヴァンのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
創作童話集。グリム童話をはじめとする昔話のような、苛烈な結末にならずに、心がほっとあたたかくなるようなやさしいしめくくりのお話が多くて、読んでいてとてもおだやかな気持ちになる。それでいてペイッコの物語のようにちょっとハラハラドキドキすっきり、というのもあるし、波のひみつのようにもの悲しい物語もあるし、心のいろいろな場所に働きかけてくるのがとてもよい。
「春をむかえにいった3人の子どもたち」では、最後の添え書き「一八八九年の春に」を見て胸にくるものがあった。この年、ロシア帝国がフィンランドをロシア化しようときびしい政策を採り始めたのだとのこと。つらいなかでも春を待つ心があふれる物語なのだな。今に