青島顕のレビュー一覧
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「MOCT(モスト)」とは、ロシア語で架け橋のこと
だそうです。
現在もウクライナ侵攻によってそうなっているが、
戦後から常に西側諸国から嫌われ者であった
ソ連=ロシア。
1970年頃にそのソ連や北朝鮮からの日本語ラジオ
放送を聴くことが、ちょっとしたブームになりまし
た。
現地からの放送でしたが、話しているのは間違い
なく日本人だったのです。
彼らは何者だったのか。
社会主義国家を理想の国家として移住し、
それを広めようと先頭に立っているプロバガンダ
なのか。
それとも両国同士が互いを理解できるように、
メッセンジャーとしての矜持を抱いていたのか。
近くて遠い隣国に、かつてこう -
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ソ連からの外国語放送。モスクワ放送で働いた日本人達の過去と現在を追った力作。分かり合えない二国の架け橋となろうと人たちの人生に感動。
ニッポン放送1242Hzより一つ高い1251Hzだったので、モスクワ放送は電波の通る夜に聴いたことがある。独特の抑揚の日本語、日本のマスコミとは異なる視点のソ連の報道。今のロシアよりもっともっとソ連は謎で不気味な国のイメージだったように思う。
そんなモスクワ放送で働いた日本人たち、シベリア抑留の果てであったり共産圏への憧れ、ロシア文学への憧憬など。入り口こそ違えどソ連初の日本語放送に携わった人々の壮大なドラマ。
距離的にも時間的にもスケールの大きなノンフィ -
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モスクワオリンピックのマスコット、ミーシャの絵柄のベリカードが手元にあるので、聴いていたのは1980年前後だろう。日本ではBCLブームが下火になりかけた頃から海外放送を聴き始め、例に漏れずベリカード集めもしていた。
モスクワ放送の受信報告書の提出先は「日ソ友の会」で、ベリカードもそこから送られてきた。送り主の表記を見てロシア大嫌いな祖母が「お前はロシアのスパイか」と激怒したのを覚えている。そんなだったので、モスクワ放送のベリカードは後にも先にもそれ1枚。朝鮮中央放送(北朝鮮)や北京放送からの郵便には何も言われなかったのが不思議だ。
当時聴いていたモスクワ放送は、朝鮮中央放送の強烈さとは裏腹に、 -
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ネタバレMOCT(モスト)
「ソ連」を伝えたモスクワ放送の日本人
著者:青島顕
発行:2023年11月29日
集英社
初出:毎日新聞2023年1月8日朝刊「迫る 旧ソ連の日本向けラジオ局 社会主義下 届けた『自由』」を基に大幅加筆、再構成
第21回開高健ノンフィクション賞
(記事は約5500字、本書は10万字クラス)
サブタイトルを見ると、共産主義ソビエト連邦のプロパガンダの片棒を担いだ日本人、みたいなニュアンスに取られるかもしれないけれど、メインタイトルのMOCTというのは「架け橋」という意味だそうで、モスクワ放送という国営放送においてではあるが、日本からソ連に何らかの理由で行った人たちが、それ -
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ネタバレ自分がロシアと関わりを持ったころは「モスクワ放送」、極東に足繁く通ってた90年代は「Voice of Russia」、しばらく離れていて、2012年からまた関わり出したら、2014年に「ラジオ・スプートニク」に名称変更。そして今やインターネット放送からサイト情報へ。「声」として聴くことは叶わない。
2012-15年の間だったか、その後か、スプートニクのTさんから取材を受けたこともあったなあ。そうか、モスクワ放送から脈々と繋がる歴史の上に、スプートニクもあるのだなと、本書を読んで改めて思った。
先の戦争中、そして戦後と、世界初の社会主義国家としてのプロパガンダの意は多分に大きかったと思 -
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ソ連の時代、外国に向けたラジオ放送が国家主導でなされていたという。日本語の放送もあり、それには日本人が関わっていたという。シベリア抑留者もいれば、自ら赴いた者もあり。
MSXがソ連にも持ち込まれていたらしいことをXで知ったが、今の中国かそれ以上に不穏であった観のあるソ連とも、民間レベルでも意外に交流があったということになる。
本書で語られている以上の背景事情は知らないので、そういうことがあったんですなと受け入れるのみ。ただ著者は新聞記者であるようで、その独特な価値観が鼻につくことが幾度かあった。メディアのカルマとして最後の最後にそれを総括しているが、読中にしばしば感じた配慮ないし忖度の印象は -
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開高健ノンフィクション賞
数十年前、ラジオを聴いていると、よく、モスクワ放送や、中国、北朝鮮のプロパガンダ放送が聴こえてきたものだ。ガーッという、妨害放送もよくあった。そのモスクワ放送に携わっていた人たちの話。
「悪の帝国」とか「おそロシア」とか言われるロシアやソ連だが、そこに住んでいた人にとっては、いい面も悪い面もあったという。ゴルバチョフ登場後、社会が大混乱に落ち入り、物価も信じられないくらい上がり、庶民の生活は本当に苦しくなったそうだ。物事を一面からだけ見るのは危険だということがわかった。
また、アナウンサーをしていた女優の岡田嘉子について調べてみると、普通にはありえない波瀾万丈の人生