ウェルズ恵子のレビュー一覧

  • おとぎ話はなぜ残酷でハッピーエンドなのか

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    おとぎ話は、伝わっていく中で、様々な歴史的背景や社会的背景を含んでいて、その背景を汲み取るだけで、そのおとぎ話の持つ意味というのが変わっていくるという体験は、まるでミステリーを紐解いているみたいで、中々ない体験だった。

    本書では、おとぎ話と近年のアニメなどの作品(鬼滅の刃やヴァイオレットエヴァーガーデン)の類似点などを比較しつつ、おとぎ話と現代で同一のテーマを書き出していることなどが解説されており、大変読みやすかった。

    声や腕がなくなることにも主人公の持つ課題を明確化する意味があることや、そもそも主人公も悪女も全員女性であり、本当の黒幕は男性である可能性があるなどの話も、面白く読めた。

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    2025年10月20日
  • 魂をゆさぶる歌に出会う アメリカ黒人文化のルーツへ

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    ウェルズ恵子
    津田塾大学学芸学部英文学科卒、同大学院文学研究科博士課程前期課程修了、神戸大学大学院後期課程中退。 1987年愛媛大学教養部専任講師、1992年立命館大学文学部助教授、2003年教授。 2009年『黒人霊歌は生きている 歌詞で読むアメリカ』で立命館大学博士(学術)。

    「実は、黒人の英語では“ bad”が“ good”の意味になることがあるのです。黒人英語の辞書を引くと、“ bad”は「好ましい、ひじょうに素晴らしい」を意味する形容詞とあります。そして「白人の価値観の単純な逆転、いちばんいい、よいの意味」ともあります。なぜ、わざわざ反対の意味で使うのでしょうか。「悪い」が「よい」

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    2025年06月05日
  • おとぎ話はなぜ残酷でハッピーエンドなのか

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    幼少の頃からディズニー映画を観ていて、おとぎ話は好きだったため、タイトルから気になり購入。おとぎ話はメタファーで現実の暴力・理不尽を普遍的に描く。民話は口伝であることが多く、社会背景や必要のない人物の登場や悪役の心理は描かれないことが多い。そこが、映画・ゲーム・アニメなどの映像メディアが発展している現代に生きる私たちから見ると、また違った想像力が湧いてくるのではないかなと感じさせられた。

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    2024年12月25日
  • 魂をゆさぶる歌に出会う アメリカ黒人文化のルーツへ

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    アメリカ黒人音楽を俯瞰する。内容は軽いが、黒人文化の持つ精神性、良い悪いで悪いが良いという前提条件がきちんとわかったことだけでも十分な書籍。

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    2019年08月15日
  • 魂をゆさぶる歌に出会う アメリカ黒人文化のルーツへ

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    ゴスペルソング、ブルーズ、ヒップホップ等々、アメリカ黒人文化のルーツをさかのぼり、彼らの歌や物語を読み解いていく内容。著者の最新書「アメリカを歌で知る」を読み終えた後、ルーツ音楽をもっと知りたくなって手に取りました。

    マイケルジャクソンの歌を例にあげての黒人文化の背景に関すること、動物民話に込められた思い、トウモロコシの皮むき歌・ハンマーソングの成り立ち等、ジュニア新書という凝縮された紙幅なのに、とても中身が濃くいろいろと知ることができました。巻末で紹介されている「読んでみよう!」をはじめ、これまでに知らなかった音楽との出会いもあり、とても得した気持ちにもなりました。

    その国の文化を知る上

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    2016年03月22日
  • おとぎ話はなぜ残酷でハッピーエンドなのか

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    おとぎ話はその時代背景や社会的制約を踏まえた子どもたちへの教育的なメッセージだったのか。娯楽的な物語とばかり思っていたから新鮮な気づきだった。きっと日本の昔ばなしにも同じようなメッセージが込められていたのだろう。

    なんというか生成されて論理的な部分が抽出された教科書で学んだ現代の我々よりもおとぎ話で育ったほうが情緒が育つような気がする。それは現代ではノイズと言われるのかもしれないけれど…

    ただ人の心に土足で入らないとか孤独の先に自立があるとか言葉にしにくい説教くさいことは物語のほうが納得しやすいなと個人的に思う。そう考えると昔ばなしやおとぎ話との接点が少なくなることはさみしいことなのかもし

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    2025年05月18日
  • おとぎ話はなぜ残酷でハッピーエンドなのか

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    おとぎ話がなぜ語られ伝承されてきたか、その時代の背景と弱き者力のない者(多くは女性)のあり様などを読み解いて興味深い。現在のアニメなどの作品にも同じ様に表現されるその原形としての共通する仕組み、また隠された意味や悪女の描かれ方など、とても面白かった。

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    2025年02月26日
  • おとぎ話はなぜ残酷でハッピーエンドなのか

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    おとぎ話を体系立てて解説してくれる1冊。
    西洋のおとぎ話中心。
    私が日本文学の畑のひとなので、比べて読むのが面白かった。

    伝承文学において残酷な描写には意味がある、それを削ってもいけないし、ことさらに強調してもいけない。ということが、伝わるといいよね。
    残酷なものに慣れてしまっている時代だからこそ。

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    2025年02月11日
  • おとぎ話はなぜ残酷でハッピーエンドなのか

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    おとぎ話が描く背景、主人公が迎える結末、罪を負う人負わない人、なんでこの人に焦点が当たるのか当たらないのか。
    物語の1つ1つの事柄にこんなに深い意味が含まれている可能性があるとはこの本を手に取らなければ気にも止めていなかった、そう思わされることが多くありました。
    おとぎ話にはなぜなのか、どうしてなのかがたくさん隠されている。面白いと言っていいのかわからない内容が多いけど、その物語が誕生した事実こそが本当に興味深いと思いました。

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    2025年01月09日
  • 魂をゆさぶる歌に出会う アメリカ黒人文化のルーツへ

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    現代のアメリカのポップカルチャーを牽引するのは、アフリカから奴隷として連れてこられた黒人たちが虐げられながらも手放さなかった独自の文化に由来するものばかり。アフリカン・アメリカンが作りだした歌や物語の裏にある生き延びるための思考法を学ぶジュニア新書。


    先に後藤護の『黒人音楽史』を読みはじめたのだが高度な話が多く、基礎的な知識が足りないので補助線になる本がほしくて手に取った。結果としてこの本はぴったりだった。
    現代の目からはアウトローに見える昔話やブルーズの歌詞が、白人の論理から逃れて生き延びるための術であったこと。キリスト教に改宗し敬虔な人も多いが、やはりアメリカにおけるキリスト教は白人を

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    2024年04月20日
  • 魂をゆさぶる歌に出会う アメリカ黒人文化のルーツへ

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    奴隷解放で黒人は幸せになったと単純に考えていたが、その理解が粉砕された。アフリカ系のオバマが大統領になったということがいかに偉大であるかということを改めて感じた。差別が解消されるというのは長い時間、想像以上に長い時間がかかるということを、改めて実感した。

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    2018年11月12日
  • 魂をゆさぶる歌に出会う アメリカ黒人文化のルーツへ

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    アメリカ黒人がつくりだした文化、特にこの本では歌を中心に、奴隷制時代までさかのぼってコンパクトにまとめている良書です。
    奴隷制時代、歌は、仕事や遊びを通して伝承されるもので日常のつらさを笑いやハッピーエンドに変換するものであり、そのあとに生まれるゴスペル、ブルースなどの音楽と比較しています。

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    2017年03月15日
  • おとぎ話はなぜ残酷でハッピーエンドなのか

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    おとぎ話がなぜ後世に残ったのか、なるほど娯楽であるとともに人生の教訓だったのかと理解した。お金を持っている男性は魅力的という点、美しい女性は妬まれるという点は長年共通なのだなという点が妙に頭に残った。
    小説はマイナスからプラス、未熟な状態からの成長というギャップが大きければより面白いと作家の中山七里先生が言っていたこととリンクした。昔からここも変わっていないんだな。

    読むことを勧めたくなるほどではなかったので、星は3つ。

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    2025年10月25日
  • おとぎ話はなぜ残酷でハッピーエンドなのか

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    本当に昔話は残酷なところが多い。そのせいか、映像や絵本にするときに改変されてしまう事が多いようだ。切り刻まれたり、腕を切り落としたり…。もとは、口承文芸だったものを映像に起こそうとするときの困り事なんだろうな。
    著者は、声や音と文学の関係について研究しているのだとか。なるほど、と納得するテーマ。
    読書案内や参考文献も豊富だった。

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    2025年03月03日
  • 魂をゆさぶる歌に出会う アメリカ黒人文化のルーツへ

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    「スタンド・バイ・ミー」
    試練のただ中でそばにいてほしい
    精一杯のことをしながら 友人に誤解されても
    私のすべてを知るあなたに そばにいてほしい
    イエスよ 谷間の百合よ そばにいてほしい

    ブルーズ
    ロバート・ジョンソン ストレートに心情をうたう
    ペルソナに同化する

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    2021年10月19日
  • 魂をゆさぶる歌に出会う アメリカ黒人文化のルーツへ

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    アメリカ黒人音楽の歴史の本かと思って読み始め、まずマイケル・ジャクソンが出てきたので、「そりゃ、ジュニア新書だもん、中高生でも知ってる超有名人から始めるよな」なんて安心しながら読んだのだが。
    結果から言うと、私が好きだったアレサ・フランクリンとか、ディオンヌ・ワーウィックとか、アル・グリーンとかまでは、到底辿りつけないほど、根っこから書いてあったのだった。私が知ってるブラックミュージックはせいぜい枝程度だったということがよく分かった。
    アフリカから奴隷として連れてこられ、過酷な労働を強いられ、家畜同然の扱いを受け、逆らえば、鞭打ち。殺されても、殺した白人は何の罪にも問われない。そういった事は、

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    2019年09月24日
  • 魂をゆさぶる歌に出会う アメリカ黒人文化のルーツへ

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    中高生向けの本のため、内容の掘り下げは物足りないがとても読みやすくてザッと理解できる。
    掘り下げは他の書籍や方法で。

    奴隷制度の辛い歴史があり、そしてまだ差別も横行していることを考えると、
    そこから生まれた素晴らしい音楽や文化を享受させてもらってる立場としては複雑な気持ちになったりもしますが、
    ファッションではなく、歴史も踏まえた上で楽しんでいきたいと思います。

    ブルース、ゴスペルの成り立ちや、あと、民話の話も興味深い。

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    2019年09月01日