アイドルになりたい女子高生が、地元の西南北の高校から一人ずつ友達になって、アイドルデビューを企むお話
「現役アイドルがアイドルの小説を書く」という触れ込みの作品のため、評価に余計な要素が入ってしまうなぁ
・気になった点
カギ括弧の終わりに句点を入れるのは違和感を感じるけど、プロ作家でもする人は
...続きを読むいる(よしもとばなな とか)
同じように、三点リーダーを一つだけで使っているのは違和感を感じる
ただ、これも校正のルールで厳密な決まりではないからなぁ
表現方法の一つとしてもよいのか?
修飾語の順番のせいなのか、どの単語にかかるのかわかりにくいところが多数
誰のセリフなのかもわからにくいところが少々
比喩表現がわかりにくく、実感できない部分がいくつか
ただ、そんな素人っぽさを感じるのも序盤から中盤にかけて
後半から終盤はそんなに気にならなかったかな
10年間を描くという煽りだけど、大部分は数ヶ月の出来事で、10年後がエピローグ的にちょっとあるだけ
誇大広告じゃないですかね?
それらを差っ引いてよかったところも結構あった
アイドルへの憧れのきっかけ
「初めてアイドルを見た時思ったの。人間て光るんだって。」
最近読んだ小説でも頑張ってる人が光って見えるような描写があったし、私自身もそんな錯覚を覚える経験があったりするので、この表現はよかった
「理想は一人で描くもので、期待は他者に向けてするものだ。もう期待することはやめよう。」
自分の道は自ら切り開くという意思はいいよなー
あと、アイドルという存在にも意味がかかっているんだろうか?
ファンはアイドルに対して何を求めてるんでしょうね?
自分の理想を期待をするのは勝手だけど……、という意味もある気がする
終盤の展開に関しては芸能界の闇を感じる
「美嘉ちゃんが笑わなくなった。見ず知らずの人たちからの、言葉の暴力によって。芸能人ってこういうのが普通なんでしょ。」
「おかしいじゃん。お金のため? それとも名誉? どうしてみんな有名になりたいの?」
「自分という存在を大勢の人に受け入れてもらいたいんじゃないかしら。」
「くるみにはわからない。他人の意見なんていらない。自分のしたいように生きられればそれでいい。」
この辺は著者の実体験に基づく要素が大きいのだろうなと邪推してしまうのも致し方がないのでしょうね
アイドルではないけど、子役からの芸能人を描いた小説で 綿矢りさ「夢を与える」を読んだときの事を思い出した
そりゃぁまぁ全てがキラキラしたきれいな業界ではないのは容易に想像できますわなぁ
「初めて見た時から、光っていました。」
というのも序盤から仕込んであった伏線っぽいところもあるし、小説として見た場合の及第点は十分あるよね
他にも馬場さんがらみのボランティアのあたりは、後半にかけてもっとストーリーに関連させることもできたような気がする
伏線っぽいところがあったけど、何も触れられずに終わってしまった
文章が後半にいくに従ってどんどんよくなっていくので、全体としてとてもバランスが悪いものになっている
連載を作品化したという経緯が故の特徴なんでしょうけど、まぁこの辺も含めて作品性かなぁ
一から改修したバージョンも出せばそこそこ売れそうな気もする
それよりも、2作目を書く方がいいかな
あと、映像化向きの作品に思えるんだけど、映画化やドラマ化といった話を聞かない
なんででしょうかね?