石岡丈昇のレビュー一覧

  • エスノグラフィ入門

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     すごくわかりやすく、とても勇気づけられる入門書。最後まで読んで、それは、著者が本書で取り上げている日常生活批判という視座(p126)を徹底的に血肉化していることによるのだなあ、と感じ入った。北海道大学の遠友学舎(p271)、初めて知った。北大、札幌を訪れた十数年前、余った時間でキャンパスを歩きまわったことがあったけど、存在知らなかったなー。今度訪れることがあれば、ぜひ寄りたい。

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    2025年07月06日
  • エスノグラフィ入門

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    エスノグラフィー入門とのタイトル通り、エスノグラフィーとは何か、どのような価値があるのか、どのように書くのかが順序立てて記載されていた。

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    2024年12月21日
  • エスノグラフィ入門

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    挿入される研究者たちのエスノグラフィによる記録は、ありふれた内容にも関わらず、小説の一編のように魅力的だ。

    暮らし、書くという考える行為、

    わからなくなっていくにも関わらず、その深みの奥にあるものをもっと知りたくて沼ってしまう。でもおそらく楽しいのは、その行動自体。調べた先にあるものじゃなくて、何も結果が出ていないの経過の中で体験したり、感じたりすること。そこに生きることの芯の部分があるのを本能的に感じている。だからやめられない。だから私はずっと暗い方から明るい方を見たいのかもしれない。

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    2024年12月18日
  • エスノグラフィ入門

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    エスノグラフィという言葉を初めて知った
    不可量のもの、生活を書く、時間に参与する、対比的に読む、事例の記述を通して特定の主題について説明と結実させる

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    2024年10月22日
  • エスノグラフィ入門

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    基本的にはエスグラフィーを書くことになる学徒を読者対象に想定はしているものの、そうでない門外漢の自分にも興味深く読み進めることができました。
    スタンスをとって、バイアスがあることを併記しつつその視点を描くという書き方はエスノグラフィーに限らず普遍的なスキルとして認知されても良い気がしました。

    個人的には、
    水の中で彼はとても速かった
    という部分になんだかハッとさせられて暫く心奪われました。主題の部分ではないのですが。
    あと挿絵がとても良いです。

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    2024年10月19日
  • 質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学

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    質的社会調査、社会学の入門書である。大学院に在籍しながら、「調査」の仕方を勉強してこなかった自分にとって、とても良い入門書となった。
    ただそこにあるのは、ノウハウではない。「他者の合理性の理解社会学」と副題がついたことからも想像できるように、著者3名の経験に基づいて調査を通して同社会と関わるか、が書かれていて、教科書にありがちな無味乾燥さはない。読み物としても抜群に面白い。

    あとがきに「『社会調査』である限りは、人びととのコミュニケーションの中で鍛えられ、試され、厳しく批判される」とある。この一節がこの本全体を貫く思想になっていると思う。
    論文のテーマを再構築していこうとする中、非常に有意義

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    2023年04月01日
  • 質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学

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    有斐閣なのでフィールドワークの教科書という位置づけであるが、研究者のインタビューの関わりがとても丁寧に具体的に書いてあるので、フィールドワークについて書かれた教科書の中で最も面白い本の一つである。
     質的調査の領域の説明をすべて網羅しているわけではないが、フィールドワークをどのようにすればいいのだろうかということについては、学部生から修士の院生、博士論文を書こうとしている院生まで全ての学生に役立つと思われる。

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    2023年03月09日
  • 質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学

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    とっても面白かった、知的興奮をありがとう。
    最も興奮したのは、自分が仕事やプライベートで楽しくやっている街歩きやフィールドワークが、実は無意識に社会学的方法をだいぶ実践できていること。
    何も習ってないのに自分でできすぎててビビッた。天性のフィールドワーカー なんですか!?

    大学院に行きたい気持ちもなおさら高まった。
    それからもちろん色々気づきもあった。
    以下備忘録。


    ☆社会学=私たちとは縁のない人びとの。一見 すると不合理な行為の背後にある 「他者の合理性」を誰にでも分かる かたちで記述し、説明し、解釈すること

    ☆社会は、複数の、お互い矛盾する「ゲーム」で 構成されている。それらが同時

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    2022年06月12日
  • 質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学

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    社会調査の方法だけでなく、社会学全般についてわかりやすく書かれていて良かった。もっと早くにこの本を読むべきだったと後悔。

    以下、読書メモ
    面白いの軸の話
    自分と他人
    ゴシップ的面白さと社会学学的面白さ
    →バージョンアップができるか否か

    メモの重要性
    出来事のメモ(雑記メモ
    出来事から浮かんだ社会学的発想(論点メモ
    日記(気分を書く

    人ではなく、人の捉え方を見る
    「時間的予見」の問題としての貧困

    論文執筆
    理論を使う
    枝葉を切り落とす、一言にまとめる
    調べたことを書いても論文にはならない
    調べたことから何を考え、何を調べ直したのか

    「他者の合理性」
    枠組みを問い直し、対象を論じ直す
     

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    2021年12月02日
  • 質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学

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    オーラルヒストリーの大事なところはそれが事実かどうかではなく、話した本人にとって心理的に本当だったということ。
    他者の合理性を会話を通して理解する。
    映画なども有効?
    事実を聞くことと、語りを聞くこと。
    どのようにその会話、生活史ができてきたかを分析する。
    調査は暴力である、その暴力性に向き合い、可能な限り常に問い続ける必要がある。

    語り、歴史と構造、理論の3つの間での往復が大切。

    経験の全体を解釈する。

    理論的先入観。

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    2021年06月05日
  • エスノグラフィ入門

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    既知の知識が多くはあったが、改めてエスノグラフィーの基礎がわかりやすく解説されていてよかった。
    「質的社会調査の方法」では、文献の活用の仕方の部分の記述が物足りなかったように思うので、具体的にどのように文献と往復するのかが示されていたのは参考になった。

    やはり、私が人生で一番したいことは、中国でエスノグラフィを書くこと、中国でどっぷり参与観察をして「政府こわい」「貧富の差がすごい」「ハイテク発展もすごい」じゃないもっとリアリティのある中国人民の生活を活写することなのだなと、改めて思った。
    読みながら考えてたけど、中国社会を描いた優れたエスノグラフィはあんまりないんじゃないか。
    「チョンキンマ

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    2025年03月15日
  • エスノグラフィ入門

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    石岡丈昇「エスノグラフィ入門」(ちくま新書)
    著者はフィリピンのスラム街のボクシングジムで10年以上関与観察をしている。エスノグラフィ(ethnography:民族誌)はもともと文化人類学の用語だが、社会学者がシカゴのスラム社会を描くのに使って以来、社会学領域でも使われるようになったとのこと。統計を駆使する定量的な社会分析に対して、対象とする社会に深く入り込んで長期に観察・調査することで人々の生活のありようを描き出すことが目標。
    著者は、自らもボクシングジムに入門し、練習を共にすることで、はじめてボクサーたちの行動の意味が理解できたという。

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    2024年11月16日
  • エスノグラフィ入門

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    本書の冒頭に近い部分に、「エスノグラフィとは何か」についてが書かれている。
    【引用】
    エスノグラフィは、経験科学の中でもフィールド科学に収まるものであり、なかでも①不可量のものに注目し記述するアプローチである。不可量のものの記述とは、具体的には②生活を書くことによって進められる。そして生活を書くために調査者は、フィールドで流れている③時間に参与することが必要になる。こうしておこなわれたフィールド調査は、関連文献を④対比的に読むことで着眼点が定まっていく。そうしてできあがった⑤事例の記述を通して、特定の主題(「貧困」「身体」など)についての洗練させた説明へと結実させる。
    【引用終わり】
    これだけ

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    2024年11月02日
  • 質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学

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    ネタバレ

     質的調査が、個々のケースについて理解・解釈していく方法だとして、それでは実際の調査プロセスのなかで、何をどのように具体的に理解していくのでしょうか。
     代表的な質的調査の例を挙げて考えていきましょう。P・ウィリスが1977年に出版した『ハマータウンの野郎ども』です。ウィリスは70年代に、あるイギリスの工場街(「ハマータウン」=ハンマーの街)の小さな高校で参与観察をおこないました。彼が分析の対象としたのは、その高校の主に二つのグループでした。ひとつは「ラッズ」(野郎ども)を呼ばれる不良少年たちで、もうひとつはイヤーホールズ)「耳穴っ子」)と呼ばれるガリ勉の優等生グループでした。
     ウィリスは、

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    2024年04月28日
  • 質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学

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    この本を読むのは2回目だ。正直に言うと、読んでいる途中でなんだか見覚えがあるなと感じていて、途中で既に一度読んでいたことを思い出した。初めて読んだのは一年くらい前だったと思う(後で調べたら二年前だった・・)。質的調査の入門書として読んでいて、紹介されている参考文献を何冊か購入するくらいにはちゃんと興味も持っていた。ただし、購入した参考文献は未だ積読になっていて、今回の読書でさらに本書のブックガイドより数冊購入してしまった。
    そもそもは、昨今の流行もあり、量的調査分析に興味があった。調査というか、データ分析?って何をするのレベルで関心があり、調査法の入門書や統計について何冊か読んでいた。量的調

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    2020年09月16日
  • 質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学

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    岸雅彦、石岡丈昇、丸山里美
    中野卓、桜井厚、谷富夫の理論を通して、語りは「事実」か「物語」という問題を洗い直す下りはいずれ再読する

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    2018年11月15日
  • エスノグラフィ入門

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    2025.02.26 エスノグラフィはやはり面白い。入り込んでしまう。もし、若い時に出会っていればハマってしまったかもしれない。暴走族の本は読んだことがあるが、紹介されているその他の本を読んでみたい。

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    2025年02月26日
  • 質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学

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    ◾️他者の合理性を理解する
     こうした、私たちにはあまり縁のない人びとの、一見すると不合理な行為選択の背後にある合理性やもっともな理由のことを、ここでは「他者の合理性」という言葉で表現したいと思います。社会学、特に質的調査にもとづく社会学の、もっとも重要な目的は、私たちとは縁のない人びとの、「一見すると」不合理な行為の背後にある「他者の合理性」を、誰にもわかるかたちで記述し、説明し、解釈することにあります。

     質的調査の社会学の仕事は、いろいろありますが、つきつめて考えると、この「行為の合理性の理解」ということに尽きます。人びとの行為や相互行為、あるいはその「人生」には、必ず理由や動機が存在

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    2024年07月26日