中満泉のレビュー一覧
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目の前にあるとても解決し難い状況を、どうすれば少しでもより良い状態にできるのか。それに向き合い続けている著者の、一般的には得難い経験を共有してもらえる本。
緒方貞子さんの本にも共通するが、お二人とも熱い自身の想いを基に、でも決して理想主義でなく、どこまでも合理的に・現実的に、今何をすべきか、とれる行動は何か、を冷静に考え具体化する、を繰り返し続ける強い意志とリーダーシップが伝わってくる。
長い歴史の中で人間は争い続け、また、争いをなくそうという努力をし続け、世界はなんとか続いてきた。
仕事を通して自分は社会に何が出来るのかを考える時、自分へのエネルギーをくれる本。 -
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ネタバレ一貫して、抜擢の連続のキャリアであるということが分かりました。
国連に勤め始めて早々にも重大な役割をこなされて、実力を認められ、次から次へと重大な役職に引き抜かれ、そうして普通では得られないような経験を積み、実力をつけ、出会うべき人に出会い、
2017年に出版されていますが、その時には現職の軍縮堪能事務次長・上級代表に就任した年でした。
お話は大学時代のアメリカ交換留学とそこでの貴重な経験から始まっていますが、
きっとそれまでにもとても優秀な活動ぶりがあったのだろうと思いながら、
国連組織の中でも本流キャリアで一貫され、国連職員のイメージの王道感がありました。 -
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中満泉(1963年~)氏は、東京都生まれ、早大法学部卒、ジョージタウン大学外交大学院修士課程(国際関係論)修了。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)で、トルコ、イラク、旧ユーゴスラビア、ジュネーブ、ニューヨークで勤務した後、1998年、スウェーデン人外交官との結婚を機にスウェーデンに移り、国際機関IDEAに勤務。2003年、家族とともに日本に移り、一橋大学大学院教授。2008年に国連復帰以降、国連PKO局政策部長、同局アジア・中東部長、国連開発計画(UNDP)危機対応局長を経て、2017年より国連軍縮担当事務次長・上級代表。2018年、米「フォーチュン」誌の「世界で最も偉大なリーダー50人」
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学生時代から国連に興味があり、国連の上級職で働く中満さんのキャリア変遷を知りたくて手に取った本。
国連職員には帰国子女が多いイメージだけれど、大学まで国内だったというから驚き。
ただ、その後大学院でアメリカに行き、UNHCRに入ってから、タイトル通り「危機の現場に立つ」日々が始まる。
こんな若手でこんな前線で働くのかと衝撃を受ける。
その後も次々と新たな任地で必要とされ、キャリアを重ねる。多少の運もあったかもしれないが、それでもこうしたキャリアを築けたのも中満さんの人間力、仕事力のなせる技だろう。むしろこういう人間になったご両親の子育てを聞いてみたい。
2人のお子さんがいるというのに親近 -
Posted by ブクログ
著者は国連軍縮担当事務次長である。本書は著者の難民支援、人道支援、PKOといった国連での経験をもとに書かれたものである。
著者は本書を娘世代に向けたメッセージであるとしている。そのためか、そのためか、全ての漢字にフリガナを振られており、基礎的なことまで注で解説している。また、図書カードの送付先も「児童図書編集」行きとされている。
よって本書の対象は児童、生徒、学生であるといえる。
しかし、本書に記述されている著者の紛争地帯での経験は、究極の危機の場での利害調整など、一般の公務員など、危機管理の現場や行政の現場において中立的立場で利害調整を行うものにとって参考すべきことが数多く見られた。