菅野冬樹のレビュー一覧

  • 戦火のマエストロ 近衛秀麿

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    NHK交響楽団の礎を作った人。戦犯容疑者として巣鴨へ出頭する前夜、
    兄である近衛文麿と最後まで話し込み、その死を最初に発見した人。
    戦後は演奏家やオーケストラの育成に努めた音楽家。

    兄・近衛文麿に比べ、弟・秀麿に関してはこの程度の認識しかなかった。
    戦後の実績にはもれなくゴタゴタがついて回ったひとだから、お貴族様と
    して気位が高かったのかな…なんて思っていた。

    そんな私の秀麿に対する認識を変えたのが、NKH-BS1で放送された
    本書と同じタイトルの番組だった。

    テレビ番組も良かったが、本書も優れたノンフィクションだ。先の大戦中
    のほとんどを海外で過ごした秀麿の足跡を丹念

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    2017年08月22日
  • 戦火のマエストロ 近衛秀麿

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    世界的なマエストロ小澤征爾は語った。「どこの国の地方都市に行ってもあなたは二人目の日本人指揮者だと言われる」

    その一人目の指揮者こそ近衛秀麿だ。

    NHK交響楽団を創設し、日本にその礎を築いた立役者。潤沢な資金で楽譜を買いまくるところはさすが名門貴族、人脈も幅広く広げ、ついには東洋人として初めてベルリンフィルでタクトを振るうという快挙も達成する。

    ここまでは貴族のお遊びと言えなくもないのだが、この後の秀麿の気骨あふれる行動がすごい。

     ナチスドイツの台頭により次第に音楽の世界にも戦時色が色濃くなる。そしてついにはユダヤ人への迫害が始まり、音楽界の重鎮たちにもその害が及ぶようになる。

     

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    2017年08月17日
  • 戦火のマエストロ 近衛秀麿

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    NHK-BSの番組がきっかけ。
    近衛秀麿のユダヤ人救済の道のりを探し出すノンフィクション。
    断片はあるものの、結びつけるまでの確定が無いのがもどかしい。
    そんな探求者のジレンマも垣間見られる。
    確かに、かの大戦の悲惨さは、明らかに出来ない事実もかなりある。
    ベルリンの壁崩壊と民主化によって明らかになるものもあるけれど、
    長い年月が経ち、当事者が多くこの世から去っ今、
    難しい作業になってしまっている。
    インターネットで情報が得やすくなったとはいえ、
    やはり“人”があらゆる面で大事なんだな、と再認識。

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    2017年10月14日
  • 戦火のマエストロ 近衛秀麿

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    法政大学校歌を作曲した近衛秀麿先生の生涯のうち、作曲家として活躍したヨーロッパ時代と、ナチスへの抵抗活動に関する内容。

    高貴な家柄であるが、ガッツある活躍に感動した。

    著者の細い糸を手繰り寄せで解明するプロセスもなかなか興味深かった。

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    2016年01月22日
  • 戦火のマエストロ 近衛秀麿

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    この夏、NHKのBS1で放映されたドキュメンタリー番組の元になった本。戦時下のヨーロッパで、指揮者・近衛秀麿がユダヤ人救済や和平工作に尽力していたという知られざる事実を発掘していく、その様子がドラマチックに描かれている。ハリウッド映画の原作になりそうではあるが、近衛が聖人のように美化されている。
    それについては、生身の近衛について触れている大野芳の『近衛秀麿 日本のオーケストラをつくった男』(講談社)と併読した方がいい。
    その上でのドラマ化はアリだと思う。

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    2015年10月25日
  • 戦火のマエストロ 近衛秀麿

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    ネタバレ

     NHK BSのドキュメンタリ番組(2015年8月8日放送)のネタ元。というより、番組そのものの書きおこし的な一冊か。

     近衛秀麿という、大戦前夜、1940年の内閣総理大臣を務めた近衛文麿の弟の物語。「近衛家」の伝統に倣い音楽の道に進み、戦時中はナチス占領下のドイツ周辺国で演奏会を開催、その音楽活動が多くのユダヤ人の命を救ったかもしれないという謎を追う物語だ。

    “「コンセール・コノエ」は、フランス人であれユダヤ人であれ、才能ある音楽家を戦争で失わせないための「シェルター」として結成された ― それが私の持論だ。”

     と、著者であもある映像プロデューサー菅野冬樹氏は語る。

    “秀麿とカール

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    2018年04月14日