菅野冬樹のレビュー一覧
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NHK交響楽団の礎を作った人。戦犯容疑者として巣鴨へ出頭する前夜、
兄である近衛文麿と最後まで話し込み、その死を最初に発見した人。
戦後は演奏家やオーケストラの育成に努めた音楽家。
兄・近衛文麿に比べ、弟・秀麿に関してはこの程度の認識しかなかった。
戦後の実績にはもれなくゴタゴタがついて回ったひとだから、お貴族様と
して気位が高かったのかな…なんて思っていた。
そんな私の秀麿に対する認識を変えたのが、NKH-BS1で放送された
本書と同じタイトルの番組だった。
テレビ番組も良かったが、本書も優れたノンフィクションだ。先の大戦中
のほとんどを海外で過ごした秀麿の足跡を丹念 -
Posted by ブクログ
世界的なマエストロ小澤征爾は語った。「どこの国の地方都市に行ってもあなたは二人目の日本人指揮者だと言われる」
その一人目の指揮者こそ近衛秀麿だ。
NHK交響楽団を創設し、日本にその礎を築いた立役者。潤沢な資金で楽譜を買いまくるところはさすが名門貴族、人脈も幅広く広げ、ついには東洋人として初めてベルリンフィルでタクトを振るうという快挙も達成する。
ここまでは貴族のお遊びと言えなくもないのだが、この後の秀麿の気骨あふれる行動がすごい。
ナチスドイツの台頭により次第に音楽の世界にも戦時色が色濃くなる。そしてついにはユダヤ人への迫害が始まり、音楽界の重鎮たちにもその害が及ぶようになる。
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Posted by ブクログ
ネタバレNHK BSのドキュメンタリ番組(2015年8月8日放送)のネタ元。というより、番組そのものの書きおこし的な一冊か。
近衛秀麿という、大戦前夜、1940年の内閣総理大臣を務めた近衛文麿の弟の物語。「近衛家」の伝統に倣い音楽の道に進み、戦時中はナチス占領下のドイツ周辺国で演奏会を開催、その音楽活動が多くのユダヤ人の命を救ったかもしれないという謎を追う物語だ。
“「コンセール・コノエ」は、フランス人であれユダヤ人であれ、才能ある音楽家を戦争で失わせないための「シェルター」として結成された ― それが私の持論だ。”
と、著者であもある映像プロデューサー菅野冬樹氏は語る。
“秀麿とカール