ランドール・ササキのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
水中考古学という学問があるそうだ。海の中に眠っている沈没船を発掘するのが、主な目的である。古の財宝を巡るスケール感溢れる探究は、多くの研究者たちを惹きつけてやまないだろうと思いきや、意外にも本格的な研究が始まったのは、ここ50年くらいの話であるそうだ。考古学者が自ら海に潜り調査をするという発想が、なかなか生まれてこなかったのである。本書は、そんな水中考古学の研究者で、アジアの沈没船調査の多くに参加してきた著者による入門編という位置づけの一冊である。
◆本書の目次
序章 :漁師たちの発見
第1章 :大航海時代とカリブの海賊
第2章 :ヨーロッパを作った船たち
第3章 :沈没船が塗り替えるアジアの歴史
第4章 :沈没船発掘マニュアル
第5章 :新しい真実を探して
おわりに:海を愛するすべての人へ
発掘の対象が沈没船であることによる価値は、いくつもある。一つ目は保存状態、すみやかに水中の砂に埋まった場合は、酸素と接することがほとんどないので、有機物の保存には陸上より有利なのである。二つ目は、船には社会の縮図があられていることである。例えば食器の種類、遊び道具などを見ることで、身分差や階級の構図を把握することが可能になるのだ。三つ目は、船が移動手段である以上、国同士のつながりや、そのつながりの目的が明らかになることである。この発見は、歴史に新しい解釈を生むこともあり、実にロマンがある。
また、本書で特徴的なのは、「沈没船発掘マニュアル」なるものが付いていることであろう。ここまでの情報が誰に必要なのかなどとも思うが、現在、漫画の『ONE PIECE(ワンピース)』を読んで、心躍らせている少年たちにとっては、最高のお宝なのかもしれない。それにしても、引き上げ後の保存処理に10~15年かかるなど、驚きの事実も多い。
沈没船の存在は、その船が海を越えて「荷物」を届けるという目的が達成できなかったことを意味する。それは、沈没してしまった船や乗組員にとっては、不幸な出来事だったのかもしれない。しかし、時を越えて運んだ「事実」は、何物にも替えることのできないものである。 -
Posted by ブクログ
とりあえあず面白いし読みやすいのでお勧め。もっと詳しく知りたくなった。内容は濃く一つ一つの事柄に関して少ししか書いていない、そのため、続きはどうなんだ?と少し気になる。もう少し的を絞って書いてもよかったのだろうけど、まあ、内容は入門書(というか新書)では良。
何百年、何千年前の沈没船が考古学者によって発掘されていたという話は聞いたことがあったが、初めて読んだ。水中考古学と聞くとお宝探しとかサルベージとかいうイメージがあった。それとは別な、こういう世界もあったんだなと少し現実離れ…日本ではまだ殆ど知られていない学問だそうです。今後遣唐使の船とか戦国時代の船とかいろいろ発見されて発掘されると面白い。筆者の日本やアジアでこの学問に対する思い込みや意気込みも感じられた。
最後はとてもよくまとめられている。読んで気持ちの良くなる本だった。 -
Posted by ブクログ
海中にある遺跡や沈没船から歴史を紐解く水中考古学という分野の記録や手法が書かれた本。
海中という環境は地上よりも安定した環境であるため色々なものが残りやすく、沈没船であればその当時の人々の生活がどのようなものであったかや、どことどこが交易していたかなどが分かる様子。
記録として残され辛い、過去の一般的な生活の解像度を上げる学問という感じかなと思った。
世界の様々な地域の話が書かれていたが、一般的な世界史を忘れていてなかなか苦戦した。特に昔の国の地域とか地形はちょっとわからずに読んだ。地図系の絵はもう少し欲しかったかも。
個人的には日本の遺跡ということで、元寇の沈没船が沈んでいる島があるという話が印象に残った。