中西孝樹のレビュー一覧
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ネタバレPivotで取り上げられていたことをきっかけに興味を持ち、本書を手に取った。本書は、近年EV開発において急速な躍進を遂げる中国のSDV業界と、これまで自動車業界を牽引してきたトヨタの動向を分析・比較することで、今後の日本の自動車産業の方向性を考察する一冊であった。
本書では、そもそもEV開発は「車体プラットフォーム」「電子プラットフォーム」「アプリケーション」という三つの層を同時に議論しながら進める必要があると述べられている。その中で中国において大きな鍵となったのが生成AIの発達である。生成AIを活用することで、仮想空間上でデータを合成し、シミュレーションを反復することが可能となり、大規模なデータセットを効率的に構築できるようになった。これがSDV開発の高速化・効率化を支える要因となっていると指摘されていた。
SDV関連技術においては、中国が日本を先行している状況にあると言える。一方で、日本と中国の決定的な違いとして、本書では「標準化の考え方」が挙げられている。日本では市場競争の結果として事実上の業界標準が形成されるデファクト標準が重視されるのに対し、中国では国家や標準化機関が主導するデジュール標準が採用されている。そのため、日本が中国と同じ土俵で正面から競争するのではなく、中国のSDVエコシステムから有用な技術を選択的に取り入れつつ、中国の技術更新スピードに食らいつき、デファクト標準を強みとして日本独自のサプライチェーンを構築することが重要であると述べられていた。
本書で扱われているのは自動車産業であるが、生成AIの発達によって技術開発そのものが効率化するという戦略は、製薬業界など他の産業にも当てはまるのではないかと感じた。ただし、その際も各業界がデジュール標準を重視するのか、デファクト標準を重視するのかによって、アプローチや優先順位は大きく異なってくるのではないかとも考えさせられた。
本書を通じて私が学んだ点は、生成AIの発達は技術開発における一種の産業革命とも言えるものであり、今後さらなる効率化が進む可能性が高いという点、そしてグローバル競争の中で生き残るためには、国や地域ごとにデジュール標準とデファクト標準のいずれを採用しているのかを踏まえ、顧客重視なのか政策重視なのかといった優先順位を慎重に見極める必要があるという点である。今後、自身が仕事で携わる業界においても、今回得た視点を活かしながら成長していきたいと感じた。 -
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昔、日本の自動車産業の強さは『擦り合わせ』にあると藤本隆宏氏が書いていた(書名は覚えていない)。その強さでは勝てない時代が訪れたことを知らされる一冊。
本書が指摘するようにEVの是非論(EVだけで脱炭素が達成されるわけではない云々)は意味がなく、世界のルールが、EVオンリーに変わってしまっている。EV対応にしくじればトヨタをはじめ日本の自動車産業は総崩れになることを本書は明らかにしている。第7章「テスラの野望」を読むと、イーロン・マスクは恐ろしい異才でトヨタを捻じ伏せる力を持っている、と震撼する。
日本の自動車産業の現状を知るには良い一冊だと思う。ただ、業界知識がないと専門用語が多いので辛いと思う(斯く言う私も辛かった)。著者は、「おわりに」で、近年、すっかりトヨタに甘口になっている自身を反省した(上で本書を著した)、と書いているが、その筆致は鋭いどころかトヨタに甘々に思えた(豊田章男前社長持ち上げ過ぎ)。ので、☆ひとつ減点。 -
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コロナが自動車業界に与えた大きなインパクト。
これによって、自動車業界は今後どう変わっていくのか?主に自動車メーカーの観点から綴った内容。
一口にコロナの影響と言っても、業界によって異なるし、会社によっても異なっているのであるが、
殊自動車業界においては、これまでの延長線上の流れにいるのは変わらないまでも、
その変化のスピードが極度に増したのであることがよく理解できた。
中国に過度に傾倒していたサプライチェーンの問題しかり、
各国・各市における公共交通機関とのバランスしかり、コロナによって多く変化ももたらされた。
自動車業界に身を置く我々が考えておかねばならないことは、こうした流れの変化の中で、
如何にビジネスモデルを適応させたり、新たなものを立ち上げていく必要があるのか?という点に尽きる。
本書にもあるが、総じてデジタル化の遅れていた自動車業界が、コロナによって、CASEの実現が確実に早まったとある。
早まったのだとすると、それに備えて我々は何をすべきであるのか?
常日頃から考えておくべき必要性を痛感。この類の本は常にアンテナを張っておく意味からも、定期的に読んでいく。
テスラが何故急激な成長を果たすことができたのか?この点もよく理解できた。 -
Posted by ブクログ
個人的には、CASEはMaaSの一要素だと考えている。
Connected(繋がる)
Autonomous(自動化)
Shared & Service(シェア&サービス)
Electric(電動化)
間違いなく、クルマの目指すモノづくりはCASEになっていくのだが、MaaSの世界から見るとCASEはモビリティの一要素でしかないようだ。
つまり、運ぶのは何でもいい。
それこそ、CASEすっ飛ばしてドローンになる可能性もゼロではない。
但し、現状一番実現可能性が高いのがCASEというだけの話であって。
やはり、最終勝者はMaaSのプラットフォームだと思うのだが、そのプラットフォームの方向性が全く見えない。
おそらく、航空管制や鉄道指令のような、管制・指令システムがプラットフォームになると思うのだが、そんな話は全く聞こえない。
GPSと5G通信で何とかなるものなのか甚だ疑問。
と、自分の考えを書いてみた。
ちなみに本書とは、全く関係がない。
感想とすれば、余り面白みのない本だった。 -
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自動車産業、そしてモビリティーサービスの未来を分析・考察していて、CASEやMaasといった最新の概念のことがよく分かる。欧州の将来の規制方針などを見ると電気自動車が大半になるかのようなイメージを受けるが、実際にはそれほどEVが普及しないという予測も説得的だ。
様々な未知の、あるいは目新しい概念が色々と出てきて、それを略号化して、その後は当然のようにその略号を繰り返し記載しているが、少し間が開いてから出てくる略号は、それが何だったのか思い出せなかったりする。自動車業界の人やモビリティーの将来を真剣に考えている人には当然の前提としても、一般読者向けには、もう少し工夫が必要な気がする。また、誤字や「てにをは」がおかしなところもあり、書籍としてはもう少し推敲が必要にも思う。もっとも、大事なのはコンセプトであるという考え方に立てば、そんなことは問題ではないということなのかもしれないが。 -
Posted by ブクログ
著者は自動車業界アナリスト。世界を席巻する2大企業トヨタとVWを分析する。両者は得意とする地域がかぶっていない。例えばトヨタは米国市場で強いのに対しVWは中国・欧州で強い。トヨタはプリウスに代表されるハイブリッドに注力するのに際し、プラグインハイブリッドに力を注ぐ。トヨタはトヨタ・レクサスを自前で育てるのに対して、VWはランボルギーニ、ポルシェ、VW、ドゥカティなど買収戦略...etc.
読んだ鮮度がよくないのだが、本書の刊行は2013年。2018年の今ではコネクテッドカーやら自動運転が蔓延っている。色々なプレーヤーと素早く手を繋ぐ調整能力がこれからの自動車業界の鍵になりそうな気がする。素人の個人的考えでは。