西部忠のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
2014年の本だが、2022年に読んでも全く色褪せない。むしろビットコインの市民権獲得やコロナ禍の金融緩和・反動としてのインフレといった出来事を踏まえるとよりしっくりくる。
西部忠先生の他の本も気になるな。
・貨幣とは「観念の自己現実化」の一つであり、社会経済・市場形成の大前提となるもの(貨幣無くして市場なし)
・今の金融システムは自由と自己責任という大義名分があるのに、大企業や株主は国家によって救済されると言う根本的矛盾を抱えている。
・貨幣間の争いが必要ではないか
→暗号資産の業界は民間発行される貨幣とその生存競争とも言えるな。
・"人が笑うような愚問がたった20年後の -
Posted by ブクログ
ネタバレ少子化やコミュニティの分断などに見られる「個」という現象の発生を、グローバリゼーションに見出すもの。ここまではよくある流れだが、更に踏み込み理屈を明らかにしている。
そこには「貨幣」の観点が設けられており、全ての行動が「消費者=労働者」的な再生産ということではなく、「投資家や資本家」と同様の動きである投資という概念が浸食していきていることを上げている。
それがために全ての行動は貨幣というものによって価値基準を画一化されており、投資家であるがゆえに行動にはリターンを求める必要がありそれらが「機会費用」として捉えられる。それがため、子育てなども自分の収益を下げるものとして認識され、少子化が進む -
Posted by ブクログ
貨幣の成り立ちから最近の話題まで平易に書かれた本。ご本人の貨幣とは「観念の自己実現」という主張を解説している内容になっている。
将来こうなるからこれぐらいの貨幣価値(=予想の自己実現)、今までこういう貨幣価値だったから今回もそうだろう(慣習の自己実現)、という自己ループをまとめて「観念の自己実現」と呼んでいるのだと理解した。
教科書的な普通の経済学がかなり無茶な仮定を採用してて、それが現実問題を解けなくなるほど本質的な乖離になってる(貨幣の存在を無視している)というところは納得感がある。貨幣があるからこそ信用創造でちょっとしたゆらぎをアンプしてトレンドが作られてるイメージかな。
経済的な価 -
Posted by ブクログ
電子マネー、ネット決済と、この10年間で利用することが増えてきたのは事実ですが、毎日、お金(貨幣)にお世話になっているのは変わりありません。
この本を読むことで、貨幣とは何かということを改めて考えさせられました。貨幣とは、交換するための道具で、何と交換するかは自分の考え方が重要です。
お金とは「それを持つ人の考え方」というのは、私の今の思いですが、様々な種類のお金が出現してきている中で、自分の考えを明確にしていくのが大切であると思いました。
以下は気になったポイントです。
・クレジットカードによる購買は、現金を前提とする「信用通貨」を利用する仕組み。貨幣が「もの」であるだけでなく「こと