光嶋裕介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本は、筆者が設計した9つの家を、それぞれの住人や関係者の目線から語り口調で紹介するというスタイルで進行していきます。
なぜなら、筆者は設計士として、住宅を作るということは、住居者のライフスタイルについて考えることと同義であると考えているためです。
ところで、私は、DIYが好きで、全てのものを自分で作りたいと思う性分なのですが、どうやらそう考える人は少ないらしく、周りの人から何故買わずに作るのかと聞かれて、答えに困ることが多かったのですが、この本を読んで、私の思考を代弁してくれているかのように感じて、嬉しかったです。
p105 「家の本当の機能は人間の生活を守るシェルターだ。あるいはよ -
Posted by ブクログ
学問的に掘り下げたい、という程の情熱はないけど、(色んな意味で)美しい建築物には興味を惹かれる。写真集とかパラパラするのも楽しい。そのくらいのスタンスだと、本シリーズの建築ものって、ちょうど良いのでは、と思いながら読んでみた。曰く、”建築と建物、空間と場所、はそれぞれ別もの”。なるほど。建築に求められるものは”用・強・美”。確かにそういう目で見ると、多少なり深く味わえた気にもなりそう。何より、”身体で空間を感じる”こと。これはきっと、誰しも知らずうち、程度の差こそあれやっていることかな。でもおかげで、建築を見るときのちょっとした心構え、みたいなのが身に付いた…のか?(笑)
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Posted by ブクログ
建築家・光嶋裕介さんのベルリンでの修行時代の記録。それ以前の学生時代に出会ったものも含め、ヨーロッパの名建築との出会いやその時の印象などを中心に、仕事ばかりでなく、文学・音楽・食べ物・友人など、当時の生活を彩った様々なことがらについて生き生きと綴られている。良い建築家になるという彼にとって唯一無二の目標を座標軸に、類稀な観察力で捉えられた精密な記録は、見事なスケッチや写真とともに、読んでいるとその場に立ち会っているようにワクワクしてくる。この本を持って、取り上げられているヨーロッパの様々な建築物を一つ一つ巡ってみたら、どんなにか楽しいだろう。
失敗を恐れず、自分にとって必要なことをまっすぐに求 -
Posted by ブクログ
建築だけでなくアート全般、映画、演劇、ダンス、音楽、小説、食べ物、サッカー、マラソン等多方面から著者の興味あることが描かれている。
表現がきれい、1つの絵画を表現するのでも言葉の使い方がうまい。著者の感性の鋭さを感じる。
P30 「都市についたら」その街で一番高いところに行け
P34 複雑な起伏を持ったアクロポリスの大地の上に、パルテノン神殿は確かな水平面をつくり出していた。フラットな場所をつくることによって初めて人間の様々な営みが可能になる。もしかしたら、雨風をしのぐ屋根の架かった平らな床をつくることこそが建築の最大の役割なのではないか。
P85 ひとの身体に張り巡らされた血管のように、く