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マンションに、不愉快な住人が引越してきた。この日ひそかに、悪意の種は蒔かれ、悲惨な事件に発展する。追いつめられた女は……。演じる人形も、操る人形遣いも、すべて闇の中。観客は果たしているのかいないのか? 操られつつ思いがけない暴走を起こす人間の恐ろしさ。推理界期待の新鋭が放つ、問題サスペンス長編。
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Posted by ブクログ
1990年の黒崎緑の作品。1995年に講談社文庫で文庫化されたものを,古本屋で購入。マンションに住む子どもがいない夫婦と,同じマンションに住む一人暮らしのOL,そして,引っ越してきた夫婦が主な登場人物である心理サスペンス 主人公である鵜飼那美子の視点で描かれる章と,鵜飼那美子の上の階に住むOL...続きを読む,高井田初音の視点から描かれる章が交互に描かれる。三人目の登場人物として,島崎芳彦の妻である絵梨佳が現れる。高井田初音が,鵜飼那美子が島崎絵梨佳を嫌うように仕向ける姿が描かれ,あたかも高井田初音は,鵜飼那美子の亭主を奪うために,鵜飼那美子が彼女の亭主に嫌われるように仕向けている…と誤読させる叙述トリックが仕掛けられている。真相は,高井田初音が狙っていたのは島崎絵梨佳の亭主である島崎芳彦。また,鵜飼那美子は,妊娠をした際に,自ら階段からわざと足を踏み外し,自分のおなかの子どもを殺害していたという真相が隠されており,そのことに気付いたと誤解し,島崎絵梨佳を殺害する。 物語全体としては,鵜飼那美子の狂気がリアルな描写で描かれ,最後の最後で,実は,高井田初音が狙っていたのは島崎芳彦だったというサプライズが描かれている。意外性はそれほどでもないが,女性心理の描写がなまなましく,思いのほか心に残ったなかなかの逸品。読後感はよくない。 サプライズが弱いので,見せ方をもっとサスペンスに寄せれば傑作になり得たかも。★3で。
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