見えない不祥事

小笠原淳

全国で警察不祥事が相次ぐ中、骨太の報道記者がその隠蔽体質を暴露していく。北海道警察に公文書の開示請求を行い、それを発表してきた著者の書き下ろし。『週刊現代』(17年3月)や『文藝春秋』(17年4月)でも取り上げられ、注目の著者。サブタイトルの、「北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない」は、取材の過程で遭遇した事件によるもの。本書の著者、小笠原淳氏は、不祥事の絶えない北海道警察が、一般人の犯罪ならば報道されるような事件や犯罪さえをも発表しないで隠蔽している実態を、「情報公開請求制度」によって丹念に請求していくことで浮き彫りにしていく。この徹底かつ地道な調査報道の姿勢は、北海道にとどまらず、警察不祥事の蔓延する日本にとって、いま最も求められているものだろう。

• カテゴリ: 小説・文芸
• ジャンル: ノンフィクション / ノンフィクション・ドキュメンタリー
• 出版社: リーダーズノート
• ページ数: 224ページ
• 電子版発売日: 2017年10月20日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 4MB

[ブクログ · ★★★★★]

タイトル惚れだが、衝撃を受けた。北海道警察は、組織として何かと問題が多いと聞いてはいたが、ここまでひどいとは。

発表された何倍も隠された不祥事。公式発表ではさらにオブラートに包み、記者クラブ外からの質問は一切受け付けず、意に沿わない抜け駆け記事にたいしてはNHKだろうが民放だろうが出入り禁止。

昔の北朝鮮や中国の事ではない。
今の日本の北海道警察だ。

そんな道警や札幌市を相手に、地道に丹念に取材を続ける著者を尊敬する。これからも一般人が目にすることのできない不公平を、暴いてほしい。渦巻く怒りと共に。

[ブクログ · ★★★★★]

一般人のプライバシーには、無配慮だが、犯罪者であっても身内のプライバシーは徹底的に隠す。墨塗りでもリストが出て来るのはまだましな方で、訓戒処分した記録が残されていないものすら多数あると言う。
他の都府県に輪をかけて隠蔽体質が強いことが、示される。

[ブクログ · ★★★☆☆]

著者のペン回しとか、何を飲食したとか、稚拙な日記がいただけませんでした。ルポなら徹して欲しいものです。
警官だから特段にモラルが高いはずもないのですが、裁判になると絶対的なまでに信用される司法をなんとかして欲しいです。
NHKは自分のところの不祥事は報道しないこともあるし、他の民放も同様です。NHKと警察は資金源がアレなので、そこが大きな違いかと。教え子にちょっかいを出した教師も公開されない場合が多いです。これは被害者の特定をさせないためらしいですけど。余計なエッセイを止めて、もっと大局的な視点から、法律レベルで公開を義務付けるみたいな提言をして欲しかったです。