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水木しげるが生涯のテーマとした、「妖怪」と「幸福」。両者には、一体どのような関係があるのだろうか。 その謎を解く鍵は、「驚き」にある。 本書では、『ゲゲゲの鬼太郎』『のんのんばあとオレ』『ねぼけ人生』『神秘家列伝』『総員玉砕せよ!』『娘に語るお父さんの戦記』『水木サンの幸福論』などの水木の作品やエッセイから、「身体知」を手がかりに「妖怪」と「幸福」との関係を解明。 数多ある「作品論」とは異なり、水木が生きた身体感覚の表現の中核にまっすぐ向かう、哲学の新たな試み。
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Posted by ブクログ
すでに触れたように、他人と比べる欲望に突き動かされている限り、この世はむしろ地獄なのだ。そうした地獄に対し、生きるために食う必要のないあの世の「地獄」とは、なんと天国のような場所だろう。 (P.167)
水木しげると、彼が描いた妖怪について書いた一冊。 妖怪の知識がないと理解するのは中々難しいと感じた。
水木しげるの妖怪観と幸福論を身体知を切り口として哲学する。 鬼太郎、目玉おやじ、ねずみ男、サラリーマン山田といった作中のキャラクター、南方熊楠、井上円了などについての水木の受け止め方も引きながら、存在しないけれど存在する、自然の精霊と一体となった視座による妖怪に囲まれたこの世に生かされて生きる幸福を...続きを読む感じた。 取り上げられているのは水木の仕事の一部だが、それらを読み込んでこその解釈に、作者の水木しげるへの熱い思い入れが感じられた。 第一章、妖怪が「いる」ということの説明の中で、京極夏彦の「モノ化するコト」という説明を批判的に取り上げているが、哲学用語としての実存からの説明では同じ土俵に乗っていないような感じがした。 水木しげるの、井上円了の、あるいは柳田國男の妖怪論ではなく、著者の説明を素直に聞いてみたい。 17-11
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水木しげると妖怪の哲学
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甲田烈
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