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「地盤」と聞いて、多くの人は何を思い浮かべるでしょうか。地層や地質、地震のときの土地の揺れやすさ。あるいは政治の世界で耳にする「地盤・看板・鞄」や、「地盤を固める」というビジネス上の言い回しを連想するかもしれません。この言葉には、どんな使われ方にも、足もとがしっかりしていれば安心して立つことができ、ぐらつけば不安になるという意味が含まれています。とはいえ、私たちは日々地盤の上で暮らしているにもかかわらず、あまりに当たり前であるがゆえに、その存在が意識されることはほとんどありません。
地盤解析を専門とする工学博士である著者は、20歳のときに阪神・淡路大震災を経験したことから、家屋や人の命を守る地盤へと関心を向けました。南カリフォルニア大学での研究活動を経て実務経験を積み、現在は地盤解析を専門とする会社を経営しています。国や自治体のガイドライン対応から地下利用、防災まで、あらゆるインフラの地盤リスク評価に携わり、大学の研究者や研究機関との共同研究も続けています。
本書は、工学博士である著者が5つの土地を実際に歩いた記録です。神戸と淡路島では、被災した高架橋や地表に現れた断層がなぜそのまま遺されたのか。福島・小峰城の石垣は、なぜ「頑丈」と考えられていた区間ほど大きく崩れたのか。羽田空港の滑走路の下では、深夜のわずか数時間に何が行われているのか。歩きながら生まれる素朴な問いを手がかりに、地層の読み方、耐震の考え方、盛土に潜む「みずみち」、そしてボーリング調査とN値、液状化まで、地盤工学の考え方が、机上の理論としてではなく、現場の風景とともに語られていきます。
専門的な知識は必要ありません。地盤という視点を一つ持つだけで、いつもの通勤路や旅先の風景は少しだけ違って見えてくるはずです。足もとから世界をとらえ直す、小さな旅の一冊です。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
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