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私たちは見て判断するのではない。 判断して見ているのだ。 悪意の有無に関係なく存在する偏見、バイアス。それがいかにして脳に刻まれ、他者に伝染し、ステレオタイプを形作っているかを知ることなしに人種差別を乗り越えることなどできない。米国の学校・企業・警察署の改革に努める心理学者が解く無意識の現実とは。
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Posted by ブクログ
「わきまえておられる」森発言で日本でも一気に知名度の上がった「無意識のバイアス」。あそこまで稚拙な例は滅多にみられるものではないが、日本では主にジェンダーバイアスについて意識させられることが多いと思う。本書は人種問題を中心に研究してきた著者による「バイアス」全般の本であり、当然話題の中心は人種バイア...続きを読むスである。 報道を通してアメリカの人種バイアスに対する予備知識はある程度持っているつもりだったが、初めて知り衝撃を受けた内容も多かった。特に強く印象に残っているものが三つある。 まず一つ目は、「バイアスの伝達」におけるメディアの影響を調べた実験。黒人の登場人物がパワフルでポジティブな役を演じているような人気テレビ番組(=黒人がステレオタイプな悪役ではない)においてでも、白人の俳優が画面上で、他の白人の俳優に対してよりも黒人の俳優に対しての方が否定的な反応をする傾向があるということがわかっている。それを実際に11本の人気番組で調べた結果、黒人に対してより否定的な身体的表現を含む場面を視聴することで「バイアスの伝染」が起こっている証拠が得られたというのである。その番組の中には私がよく観ている「グレイズ・アナトミー」が含まれていた。このシリーズは人種バランスにかなり気を配った配役の印象があり、舞台となっているシアトルという街のイメージアップにもつながっているのだろうかと常々思っていたので、意識下ではそんなことが?と非常に驚いた。リチャードとか理想の上司っぽく描かれているし、ジャクソンに至ってはめっちゃ王子様っぽい扱いなのに。ショック。 二つ目は、人種を分断する住宅事情について。黒人の多い地域、というような言い方はドラマでもよくされていたので、1960年代まで人種差別的な住宅政策が合法だった名残が少し残っている程度なのかと思っていた。しかし現代でも、例えばある売家の前の住民が黒人か白人かで見積価格が大きく変動するようなバイアスが存在する。それはその特定の住民がどうこうではなく、黒人が住んでいたような地域なら治安が悪く、公共サービスが少なく、いわゆる「荒れた」地域である蓋然性が高いという考え方があるからである。そのようなバイアスが存在する限り、人種を超えての不動産の流動性はなかなか高まらず、結局いつまでも人種は分かたれて住むことになる。人の動きの激しい都会では垣根は崩れやすいだろうが、田舎では50年ではまだまだ時間が足りないだろう。まだ先が長い話なのだと感じた。 三つ目は、バイアスはいつも同じように働くわけではないという話。精神的な負荷がかかる状況では強く作用することがあり、逆に、意思決定が適正に監督されていればバイアスも抑制されうるなど、コントロールするための知恵も研究されているのである。高ストレスが最も悲劇的に表出するのが、職務質問中の警官による黒人射殺事件であろう。日常的に身の危険を感じている警察官が、目の前の従順な職質対象者が「黒人男性」だというだけで暴力的な巨漢であるように感じられ、自らの人種的バイアスの暴走を許してしまい発砲する。しかしこのような高リスクの現場でも、警察官がボディカメラをつけたり行動方針を変えたりという様々な対策を講じることで、意思決定にバイアスを入り込みにくくすることが可能なのである。 アメリカではトランプ政権がやっと終わったが、白人至上主義勢力は衰えを見せていない。バイアスが高ストレスで活性化するという話を知ると、オバマ大統領に象徴される多様性の社会の到来により、アメリカ白人社会が「白人はアメリカではマイノリティになってしまうのではないか」という脅迫的ストレスに苦しむことで反動的バイアスが働いているようにも思える。 しかしもちろんバイアスは何者をも正当化しない。自分の中にあるバイアスはなんなのかを知り、それにとらわれず思考するためにはどうすればいいかを知ることでしか、本当の自由な意思決定はできないのである。すごく難しいことではあるが、仕組みを知っているかどうかだけでも到達の可能性は広がる。責任の持てる人間になりたいなら、是非一読を。
ブグログで翻訳前が見つけれなかった。 原文で読んだので日本語訳は解らない。 無意識のバイアスについてもっと知りたいっておもってた時に読んだ本。全人類におすすめする。
タイトルは 無意識のバイアス サブタイトルは 人は何故人種差別をするのか であるが 内容は むしろ逆で 人種差別について 個人的な体験を縦軸に バイアスを横軸に アメリカの今が 論考されている.翻訳はとてもよい.
めちゃめちゃ濃い! p.227「長い間、研究者でさえも偏見を打ち消すための人と人との交流の力について甘く見ていた。その単純化された手法の落とし穴は、オールポートの「接触仮説」により指摘された。嫌悪感を抱かずにはいられない集団と時間を過ごすことは、実際にはバイアスのかかった心の内を正当化することにな...続きを読むりかねない。この人たちは頭が悪いと思っていたけど、本当に頭が悪いみたいだ。オールポートは、競い合うことを伴ったり、不安を煽ったりする場合は特に、交流は衝突を改善するのではなく、悪化させる可能性があることを発見した。関与する集団がお互いに居心地の良さを感じられ、共通の目標や絆を持っていると感じられるほど、交流は長く頻繁である必要がある。それこそが、外集団を区別したことによって生まれた人種的分離を解消するのに役立つのである。」
黒人への偏見・バイアスがいかに強いかが本書を通じてわかった。見た目が恐怖を覚えることもあるが、これからは、なるべく黒人にも普通に接するようにしたい。
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無意識のバイアス――人はなぜ人種差別をするのか
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ジェニファー・エバーハート
山岡希美
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