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空をゆく鳥、雪がふり傘をさすあなた 心臓は風化しない
藪内亮輔久びさの第二歌集は恐ろしいほどの虚無と死を孕んで差し出される。
世界中に戦争の火種が見え隠れする今、歌は痛みであり、出血を伴うかなしみである。
【収録歌より】
沁み込んだ――滴(しづく)が。甃(いし)に。手のひらに。―― 血液といふ出口なき川
名を持つてしまつた君が名を持たぬ花を掲げて その燃える赤
唇あまた滅びてのちに一度だけふれし夜雨に海がけぶれり
最初からこの世は地獄 あきらめよ びたびたと魚(いを)のやうに降る雨
のどぼねは焼き滅びをり花はなほ 夏に降り積むまぼろしの雪
【目次】
Ⅰ
Weathering
春の雪
暗き塔
雨と苹果
精緻
心は川
慈母蛆期
花影
涙と鳥
残滓
花れる
白銀
負け続けていくけれど
Ⅱ
「あなた」への随想
凍傷と葡萄
悪について
火の解凍
暗い、暗い、
暴力性の虜囚
虚無の歌
罪の花
眼と水
檸檬
落魄
バラード
Ada(死の……)
あとがき
【著者】
藪内亮輔
1989 年、京都生まれ。
2008 年、京都大学 1 回生のとき、島崎健の和歌の授業に感銘を受け、翌年度に京大短歌、塔短歌会に入会。
2011 年、「海蛇と珊瑚」で第 57 回角川短歌賞次席。2012 年、「冬の鷺」で塔短歌賞、「花と雨」第 58 回角川短歌賞をそれぞれ受賞。同年、同人誌「率」に 2 号より参加。
2018 年、第 1 歌集『海蛇と珊瑚』(角川書店)を刊行。2019 年、同歌集で第 45 回現代歌人集会賞を受賞。2020 年、第 66 回角川短歌賞より選考委員を担当。
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