社会関係資本――現代社会の人脈・信頼・コミュニティ

ジョン・フィールド / 佐藤智子 / 西塚孝平 / 松本奈々子 / 矢野裕俊

社会の格差はどこからくるのか？ それを克服する展望は？ 人々の関係性に着目してこの問題に接近する「社会関係資本」概念。この概念を起源から紐解き、人脈や信頼が持つ正と負の影響力、デジタル時代の新たな動向も踏まえ、この概念の全体像を描き出す入門書。

• カテゴリ: ビジネス・実用
• ジャンル: 社会・政治 / 社会学
• 出版社: 明石書店
• ページ数: 208ページ
• 電子版発売日: 2025年08月30日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 1MB

[ブクログ · ★★★★☆]

比較的新しい社会関係資本の入門書。教育やまちづくり、もっと包括的には行政も含めてさまざまな分野でわりと当たり前に参照されたり醸成が目指されたりするようになってきた概念ですが、実はみんなよくわかってないですよね。とりあえず本書を読みましょう。パットナム、コールマン、ブルデューの3人を社会関係資本理論の古典と位置付けそれぞれの理論の概要とその限界を示しつつ、その後この理論の研究がどのように進んでいるかをかなり広範に紹介してくれます。まだまだ曖昧でよくわかっていないことも多いんだ、ということを踏まえて付き合っていくことが求められます。

[ブクログ · ★★★★☆]

解説書や教科書が出るようになれば、その概念は社会に認められたということになる、ということには一般的な了解があるだろう。有名な解説書シリーズのラウトレッジ社(Key Ideas series)第３版として、本書は発行されたものだから、「社会関係資本」という概念がよりいっそう社会に認められたことを知らしめている。けれども、ふつうの概説書とは違って、かなりの独自の編集が施されていて、たいへん面白く読めるのだ。パットナム『孤独なボウリング』の新版がでるというので期待され、結局記述されなかった「社会関係資本とSNSとの関係」についての現状が書かれているし、また、パットナムが数行で飛ばした、「社会関係資本の古典の説明」も批判と併せて数十ページにわたって取り込まれている。政策論も興味深い。解説書としては、最良の部類に入るだろう。

[ブクログ · ★★★★☆]

著者が社会関係資本についての初学者向けの本として執筆したことを訳者があとがきで書いている。教育として著者はかブルデューとコールマンについての社会関係資本を説明しているが、日本の教育者でブルデューとコールマンに付いて学力の面から説明している人は多くないように見受けられる。
著者は生涯学習の専門であるので、学校教育外の学習としての社会関係資本中心になるので、生涯教育を専門としようとする学生にとっては読んでもいいと思われる。