異世界から飛ばされて来た鑑定娘は、占いで生計を立てる

オレンジ方解石 / 瓜うりた

《上級鑑定士》であるリリシャは、勇者達と共に魔帝を倒すことになり、無事に討伐成功。
しかし、リリシャは魔帝の魔力暴走で見知らぬ世界《にほん》に飛ばされてしまう。
異世界に飛ばされたリリシャを助けたのは人と人の『縁を切る』不思議な能力を持ったホストの伊藤桐人だった。
彼のもとで占い師として暮らしていたリリシャはある日、桐人が受けた『縁切り』の依頼を手伝うことになり……。

鑑定少女と縁切りホストの不思議な同居生活からはじまる、
魂の鑑定と縁切りが織りなす、現代ファンタジー。

• カテゴリ: 小説・文芸
• ジャンル: 小説 / 国内小説
• 出版社: 一二三書房
• 掲載誌・レーベル: 一二三文庫
• ページ数: 264ページ
• 電子版発売日: 2025年08月05日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 1MB

[ブクログ · ★★★★☆]

いい意味でこちらの予想を悉く裏切ってくる作品だった。
日本から異世界へではなく、異世界から日本へ来るパターンだったこと（まあ、これはまだよくある）
桐人が使う『縁切り』が、ホストの力を使って演技で人の縁を切るのかと思っていたら、陰陽師的能力だったこと。
何より依頼人の抱えていた内容、縁を切りたい相手の事情が重い！
もっと気軽に読めるライトファンタジーかと思ったら、ヒューマンドラマかなと思えるほど濃厚だった。
殺人ネタが出てくるとは思わなかったし、恋愛面も多様性やら愛が憎しみに変わったりやら、とにかく濃かった。
リリシャと桐人の関係性の変化はもう二の次である。

リリシャの鑑定の力がきっちり練られていて、彼女が鑑定内容を語るときはミステリの謎解きを見ているようで面白かった。
彼女の信念も筋が通っていて、とても17歳とは思えないほど逞しいという。
桐人の方は父母に複雑な感情を抱いているのは示されたが、力の件以外はあまり明かされなかったので、まだ続きがあるのかもしれない。

最終的にリリシャはこのまま「日本」に止まるのか、桐人の件は何かしらの決着がつくのか。
回収されていない伏線が気になるので、続きを読んでみたいとは思う。