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世界的にみても寄付行動や見知らぬ人への人助け、ボランティア活動が低調とされる国・日本。これまで積み重ねられてきた学術研究の知見をもとに、利他にまつわる19の疑問と謎を解き明かした稀有な一冊。寄付の活性化こそ日本の最重要課題の一つだ。
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Posted by ブクログ
社会のため、困っている人のために貢献したいと思っている人が本当は多いにもかかわらず、なぜ日本で寄付(という形)が浸透してこなかったか。何がレバーか。
日本人は寄付をしない民族だ、という命題が先ずあって、それが何故なのか、どうすべきかを論じていく本だ。 家計調査によると、日本人の1年間1世帯当たりの平均寄付金額は7526円らしい。また、全国寄付実態調査によると、1年間に何らかの金銭寄付を行った人は44%、ふるさと納税を除けば、何らかの金銭寄付を行...続きを読むった人は35%。3人に1人が何かしらの寄付をしていると思うと、直感的には多いなと思ったが。災害時の募金とかを加えるとこんなものかな、という感じか。 年齢、性別、学歴、収入、職業、婚姻状態、家族構成によって寄付行動は異なる。その事についても本書は明らかにする。予想に違わず、金銭的余裕がある人が寄付をする。 だが、他国の人々と比べると、日本人の寄付は低調である。日本人が低調なのは寄付行動だけではなく、見知らぬ人への人助けやボランティア活動という観点でも、日本は他国に比べれば低水準らしい。寄付だけではなく、慈善的行動全般に消極的だという。また、投票参加、請願書への署名、公職者へのロビー活動、デモ参加、インターネット上での政治的意見表明、政治集会への参加、ボイコット、ストライキといった政治参加の観点でみても、民主主義の国の中で日本の参加水準は最低クラス。さらには、政党、労働組合、宗教組織、環境保護団体、スポーツ・文化団体、慈善団体、職業団体といった様々な団体・組織への加入率も先進国と比べればやはり低い。 何かそうだろうなーと思える結果。理由の一つに、文化性を挙げるが、著者の調べではこうした行為を「偽善」とみなして冷笑するのは明治時代にもあり、今は「意識高いね」という揶揄の言葉があるが、昔も「奇特なことで」という似たようなシニカルな言葉が放たれていたという。 日本人の同質性が、極力出る杭にならないようと、見えない同調圧力を生んでいる可能性は否めない。他にも無力感、寄付以外の税金の質にもよるだろう。日頃から弱者のために税金が搾り取られる国と、税金ではなく自己選択的に寄付を決定する国と、制度によっても変わるはずだ。 故にこの結果だけで悲観的になる必要はないのだろうが、利他的行動に対する宗教的規範がない、という国民性も考えものかもしれない。
とあるきっかけでギフトその使われ方に興味を持って読書 これまでに日本の社会科学において行われてきた重要ではな寄付関連研究の成果をわかりすぐ伝える本とのこと
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日本の寄付を科学する――利他のアカデミア入門
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坂本治也
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