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80年前の3月10日、東京にいったい何が起こっていたのか? 永井荷風ら作家が記録していた東京大空襲の壮絶な体験を紐解く。
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Posted by ブクログ
私の知らない歴史がたくさんあった。 当事者の方の記録(経験されたこと)から学ぶことの大切さを改めて感じさせられた。 記録として,作品として残してくださった作家のみなさんとそれらをまとめてくださった著者に感謝したい。 そして、この本に書かれていた困難な状況下で懸命に生活されながらも、愛する人たちと死別...続きを読むされた方、亡くなられた方がたくさんおられたことを忘れずにいたいと強く思った。
そのとき彼らはこの場所にいた。 東京大空襲をメインに、その後も日本各地が遭遇した 凄惨な光景を、作家たちは如何に日記や随筆、詩、小説に 遺していたのか。それらは、彼ら自身をも襲った壮絶な体験。 ・昭和20年、東京に住んでいた作家たち ・はじめに I 焼尽 II 劫火 III 空爆 IV 地獄 V 日...続きを読む記 VI 鏖殺 VII 戦慄 VIII 終結 ・あとがき 参考文献有り。 永井荷風、半藤一利、中田耕治、関根弘、堀田善衛、 豊田正子、向田邦子、谷崎潤一郎、山田風太郎、 江戸川乱歩、渋澤龍彦、飯沢匡、古川ロッパ、 徳川夢声、有馬頼義、小泉信三、大内兵衛、吉行淳之介、 斎藤茂太、北杜夫、宗左近、高村光太郎、尾崎一雄、 高木敏子、昭和天皇などの、体験した東京大空襲。 彼らの生々しい昭和二十年三月十日の記録は、 たった一夜の記録では留まらない。 更に、最初の空襲からも、東京大空襲の翌日からも、 まだ続く各地への空襲も。これら文士たちの日記や随筆、 詩や小説に描かれた凄惨な記録の数々は、地獄の如く。 劫火の中を彷徨い、見た風景。迫りくる焔の海。 又は遠方からでも見えた真っ赤な空や雲。光るB29。 多くの死者に焼け出された被災者の群れ。 自分のことで精いっぱいだった。親族の死に瀕しても泣けない。 感情の一種の真空状態に。でも後日に揺り戻される。 混乱の中での生き別れは悔恨となり、自責の念に駆られる。 古川ロッパの日記、谷崎潤一郎夫妻の焼け跡行脚、 徳川夢声の日記等の赤裸々な記述は貴重。 『断腸亭日乗』は全巻読んでいるが、偏奇館焼亡前後が 永井荷風の人生のクライマックスのようにも感じていた。 避難しても疎開しても、その先々で空襲に襲われてしまう。 その精神的苦痛は、その後の人生に陰りを与えたのかも。 また、現在解禁された米軍機密文書で分かる、 アメリカ側からの視線の怖ろしさ。“人道的”って何だ? そして終戦へ。 文士たちが遺した文書は、貴重な戦争時の証言でもある。 今は賑わう東京都心だが、その足元や遺る戦災の傷跡に、 あの時、この地で何が起こってのかを再認識する機会を 与えられたことを心に刻もうと思う。
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荷風たちの東京大空襲 作家が目撃した昭和二十年三月十日
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