遅日の岸

村上鞆彦

◆ふらんす堂電子書籍1000円シリーズ

◆第一句集
沖群青外套の胸開けて立つ
俳句を手放さずに、と書いたが実際は逆で、俳句の方が私に寄り添ってくれていたのに違いない。
（あとがきより）

◆自選十句
花の上に押し寄せてゐる夜空かな
鳩は歩み雀は跳ねて草萌ゆる
投げ出して足遠くある暮春かな
初夏の木々それぞれの名の眩し
吊革のしづかな拳梅雨に入る
松の影ゆれて松風蟻の道
振り消してマッチの匂ふ秋の雨
団栗の青きが握り拳の芯
秋の雲いくつ流れてシャツ乾く
枯蟷螂人間をなつかしく見る
あをぞらをしづかにながす冬木かな
ガラス戸の遠き夜火事に触れにけり

• カテゴリ: 小説・文芸
• ジャンル: 小説 / 詩集・俳句
• 出版社: ふらんす堂
• ページ数: 172ページ
• 電子版発売日: 2024年05月31日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 1MB