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水崎大学数学科に通う神前裕人(かんざきひろと)は、ひょんなことから殺人事件の現場に遭遇。被疑者として警察署に連行されてしまう。嫌疑をかけられたままの状態に不安を感じた裕人は、刑事の促しに応じる形で、自身が通う大学の怪異研究会に足を運ぶことに。そこでオカルトマニアの水無月透華(みなづきとうか)との出会いを果たした裕人の日常は、その日を境に一変。透華に振り回されながら、さまざまな事件の現場に足を踏み入れていくことに…。
街中で突如燃える女、棺の内側から響く物音、目だけくり抜かれた死体…怪異の仕業とも取れる事件の真相を、「思考実験」をもとに導き出す超常×解決ミステリー!
装画:wataboku
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Posted by ブクログ
警察の手に負えない不可解な事件を探偵が解決する探偵もの。
天才で変人な美女主人公に振り回される付き添い男子の語りで進む設定は、ステレオタイプといえるほどよくあるものゆえ、物語にすんなり入っていける。
「マクスウェルの悪魔」「シュレーディンガーの猫」といった思考実験が散りばめられ、もちろんこれらを知らずとも楽しめる作りにはなっているものの、哲学的な要素もあり、やや頭を使うので、このあたりは好みが分かれるかもしれないが、まあタイトルで予防線を張っているのでそこは良しとするが、
残念なのは唐突に語り手が替わったり、会話文での発言者がわかりにくかったりといった、読者に対する優しさが欠ける部分があり、本筋が多少頭を使う内容なのに要らぬところで頭を使わせないでほしい。内容やトリックに関係あるところならまだわかるけれど、小説の基本スキルの部分だと思うので、もし重版があるなら書き直してほしいところ。出版社が大手じゃないことと関係あるのかな?
ステレオタイプながら魅力的なキャラクターは続編も期待したいところだけれど、奥付の作者紹介を読む限りでは、あまり期待しない方がいいのかな?
Posted by ブクログ
常識では考えられない不可解な事件。人為的な犯行か、それとも怪異によるものか。
「思考実験」をもとに事件の真相を突き止める女子大生の活躍を描く連作短編サスペンスミステリー。第1回黒猫ミステリー賞受賞作品。
◇
「…はい。水崎大学1回生の神前裕人さん。確認取れました。学生証はお返ししますね」
受け取った学生証を見る。まだ数回しか使っていない学生証。まさかこんなところで役に立つとは。そんなことをぼんやり考えていると、目の前にいる刑事さんが、話しかけてきた。
「辛いお気持ちは充分お察ししますが、もう一度だけ確認をお願いします。あなたが見たままの光景を、憶測や想像ではない事実を教えて下さい」
はいと言って、僕はあのときのことを思い出す。
「… 大学の歓迎会の帰り道に、水と明日の朝食を買おうと思ったんです。それでスマホでコンビニを探して近道したら、きつい香水の匂いがして。女の人とすれ違いました。そしたらその人の電話が鳴って、少ししたら悲鳴が聞こえて……」
その光景がよみがえり、僕はまた吐き気を催した。大丈夫ですかという刑事の声が遠くに聞こえ、僕の視界は歪むばかりだった。
大学入学から数日で怪事件に遭遇し、その被疑者として警察署で事情聴取されている。笑いごとでは済まない。
とにかく自身の潔白を証明しようと呼吸を整えた僕は、道を歩いていた女性がいきなり炎に包まれたときの記憶を順番にたどっていった。 ( 第1話「マクスウェルの悪魔」)
※全5話とプロローグおよびエピローグからなる。
* * * * *
「思考実験」を応用した謎解きという発想が、斬新でおもしろいと思いました。思考実験は数学や物理学から哲学、はては芸術まで多方面にわたる知的ゲームのような側面があって、読む楽しさが倍増するからです。
さらに、その思考実験をもとに推理して事件を解決に導く探偵役の水無月透華という女子大生が、目の覚めるような美人。これは城塚翡翠でもおなじみのよくある設定ですが、その美人が怪奇マニアであるというところが本作のミソになっています。
さて物語のほうですが、怪奇現象じみた事件が起こると、警視庁から水無月透華に捜査協力の依頼があります。リアリティに欠けますが、エンタメ系ではアリでしょう。
当初はホンモノの怪奇現象かと喜ぶ透華ですが、思考実験の結果、事件はトリックを用いた人為によるものだと判明し、がっかりするという流れ。そのお決まりの展開も結構おもしろかった。
また、推理に応用する思考実験の命題は有名なものなので、とても興味深くて楽しめました。
個人的に難点を挙げるなら、プロローグで描かれる殺害シーンの残虐な描写です。最終話の、猫も含めた虐殺の描写もそうですが、私には読むに耐えないものなので、もう少しサラッと流して欲しかったと思いました。
他には、作品のクライマックスとなるサイコパスとの対決シーンが、思ったより呆気なかったことです。
ともあれ、美しき眠り姫探偵・水無月透華の活躍、十分に堪能しました。
アニメで見てみたい気がします。
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