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Posted by ブクログ
AV女優という職業をするために必要なのは、セックスのテクニックよりも、端麗な容姿よりも、きれいな肌や歯よりも、健気さや思い切りのよさよりも、素直さよりも、ただ、自分のことなんてどうなってもいいのだと心の底から思い込むこと、その持続力だけだった。ただ自分を大切にするという項目のタガを自主的に外しさえすれば、誰だってなることができる。そういう職業だと思っていた。
自分を殺す、というのは、言いたいことを我慢するとか、やりたいことを秘密にするとか、そんな生ぬるいことを指すのではない。どうしてもできないこと、ほんとうは、自分の価値観ではやってはいけないことだとわかっていることを、平気な顔でやること。
どの汚れ仕事にも通づるこの名言が良かった。
Posted by ブクログ
明確に表す言葉がないものの輪郭を物語を通して浮かび上がらせようとする、その「小説を書く」という行為自体が持つ切実さが満ちた作品だった。
人生のある瞬間に間違いなく心にあり瞳に映ったものをどうにか言葉で表そうとする比喩を多用した文体が特徴的。どこか固い会話文などこなれていない印象を受けるが、だんだんとそれも含めて自分自身というものとの距離/感触をつかめない状況を表すにはその『こなれなさ』がフィットしていることがわかってくる。
生々しく辛い家庭の描写、そこから生まれる自罰意識の描き方はハイコンセプトなエンタメでは現れない実体を持ったそこに確かにある悲痛としてまざまざと描かれていて、これを書いた人が、この主人公が、この結末にたどり着けたことの奇蹟を思う。
セックスにありつけないおじさんたちが勝手にAVを通して作り上げる都合のいい女性像にたいして「そんなんいねえよ」ではなく「そんな女の子はいてはいけない」と告げるこの真っすぐで明確な言葉を、AV消費者(私だ)は脳のど真ん中に焼き付けて性欲が無くなっても忘れてはならない。
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