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「切るなら、 机でも、皮膚でもなく、 見えないものを切らないといけないんだ」(本文より) 毒親との生活。はじめての恋。AVデビューと引退。 「あたたかい地獄」からの 帰還を描く、著者渾身・初の私小説。
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Posted by ブクログ
著者の過去の作品ではAVに関心が無いと興味を持ち難い部分があった。 だけど引退なさったからか小説として引き込まれる部分があり、彼女を知らない人でも楽しめる。 特に機能不全家庭について読みたい人にはリアルさが伝わるのでお勧め。
きっと評価は分かれるのだろうと思います。読み手が違えば、散文にもみえるかもしれません。 けれど、私は彼女が書いたネットでの映画評論を見た時に、この世界の中で一番美しい文を書く人だ、と思い、この本を手に取りました。 この本は私小説ということもあり、彼女の繊細で複雑でいたいけな感情を紡いだ文だと思いまし...続きを読むた。自分の見せたくないところをあえて見せているような。だからこそ私は好きだなと思います。
すごく繊細で優しく、芯のある文章だった。 読んでいて胸が掴まれたように苦しくなったけど、穏やかな波に身を任せているような安心感もあって、心が洗い流された気がした。
明確に表す言葉がないものの輪郭を物語を通して浮かび上がらせようとする、その「小説を書く」という行為自体が持つ切実さが満ちた作品だった。 人生のある瞬間に間違いなく心にあり瞳に映ったものをどうにか言葉で表そうとする比喩を多用した文体が特徴的。どこか固い会話文などこなれていない印象を受けるが、だんだんと...続きを読むそれも含めて自分自身というものとの距離/感触をつかめない状況を表すにはその『こなれなさ』がフィットしていることがわかってくる。 生々しく辛い家庭の描写、そこから生まれる自罰意識の描き方はハイコンセプトなエンタメでは現れない実体を持ったそこに確かにある悲痛としてまざまざと描かれていて、これを書いた人が、この主人公が、この結末にたどり着けたことの奇蹟を思う。 セックスにありつけないおじさんたちが勝手にAVを通して作り上げる都合のいい女性像にたいして「そんなんいねえよ」ではなく「そんな女の子はいてはいけない」と告げるこの真っすぐで明確な言葉を、AV消費者(私だ)は脳のど真ん中に焼き付けて性欲が無くなっても忘れてはならない。
元AV女優でもあり、映画監督でもある著者の私小説。育った環境を描いた1章、AV女優としてデビューする2章、引退するまでの経緯を描いた3章。内容は重めだったりするけど淡々とした文章が印象的。
まこりんはフェミニズム的な思想を文章に混ぜるときがあると思っていたけど、最後まで読んでそんな単純な理解で追いつく作品じゃないと気づいた。 またいつか読む。
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戸田真琴
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