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ハリウッド映画のように真実から遠い戦争と憎しみの彼方で、写真家が捉えたイラクで生きるということ。講談社出版文化賞受賞カメラマンによるフォト・ルポルタージュ。
●耳に飛び込んできたのは、ショパンのワルツだった。……この国がまもなくアメリカの攻撃を受けようとしている、その時が迫っているのを知ってか知らずか、彼は悲哀を帯びた旋律を弾き続けた。私の記憶の中で、ピアノの音が空爆や銃撃の音に紛れて呑み込まれていく。イラク人の切ない、叫びにも似たその繊細な調べは、混雑していたレストランの客たちの喧噪にかき消され、弾き終わると男は、静かにレストランから立ち去っていった。――<本文より>
Posted by ブクログ 2010年02月07日
著者は報道ジャーナリストなのだが、純粋にイラクを、そしてイラクの人々を愛しているということがこの本から切々と伝わってくる。初期の生々しい写真から現在の写真へと移行していったことは自然なことだったのだろう。現場で撮り、その現場から発せられた真実かつ真摯な著者の言葉たち。いい本です。
まだこの本を読む前...続きを読む
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