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脚を折って入院した配送ドライバーの担当は、表情ひとつ変えない夜勤看護師の灰谷さん。誰も見舞いに来ない入院三日目の夜だった。「感情がない」と振られたばかりの彼女は、自分の指にパルスオキシメーターを挟んだ。
「100を超えたら、あなたの勝ちでいいです」
巡回は22時、0時、2時、4時。負けるたびにジッパーが一段下がり、頼みをひとつ聞く。ギプスで動けない俺の代わりに、全部彼女がやる。
病棟の廊下を人が通るたび、声を殺して舌だけを動かす。「誤差です」と言い張っても、数字が上がるほど言い訳は苦しくなり、耳が、腰が、最後には顔が崩れていく。
消灯後の病室、夜明け前の四回目の巡回で、彼女は自分から跨がった。
「中に出して。顔に出てるとおりにして」
無表情ナースの、数字にだけ出ていた本心。フルカラー。
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