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台風の夜。ずぶ濡れのまま、あの人の家の玄関に立った。
「すごい雨だったでしょ」
「入って!」
タオルを渡す手が、少しだけ止まる。
「こんなに背高かったっけ?」
きちんとしたスーツに着替えても、視線の置き場が見つからない。
「……今日は、帰れないね」
「隣に座っただけなのに、どきどきする」
「「千鶴さん」って……もう一回、呼んで」
その一言で、ずっと固く結んでいたものがほどけていく。
だめだとわかっているのに、先に手を伸ばしたのは彼女のほうだった。
「もう、我慢できない」
翌朝、食卓に並ぶ箸はふたりぶん。
「ふたりの秘密。バレたら大変なのに」
そう笑って、何もなかった顔でいつもの朝に戻る。
台風が過ぎても、夜になると扉が開く。
「……ねえ。もう寝た?」
お堅いと思っていたノーブラ美人の、台風の夜から始まった顔。フルカラー。
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