歴史・時代小説 - KADOKAWA - 角川文庫作品一覧

  • 砂子のなかより青き草 清少納言と中宮定子
    3.5
    美しいあの方のお傍に、恥じることなくいられるだけの強さが、ほしい―― 平安中期、時の帝の寵愛を受ける中宮(平安時代の皇后)定子に仕えることになったなき子(清少納言)。 当時としては「年増」と呼ばれる年齢になってから才を買われて宮中に入ったなき子だが、定子に瞬く間に魅了される。 華やかな宮廷で卑屈に縮こまっていたなき子の心をほぐしてくれた、眩いほどに美しい年下の主人。 「女が学をつけても良いことは何もない」といわれていた時代、共に息苦しさを感じていた定子と清少納言は強い絆で結ばれていくが、定子の父の死によって栄華を誇った一族は瞬く間に凋落していく……。 定子の兄・伊周との身分違いの恋に苦しむなき子、そして紫式部との因縁。 悲運の時代を描いた哀切にして美しい平安絵巻に仮託した、女性の自立の物語。 「わたくしたちがずっとその心を忘れなければ、女が役に就ける御世がきっと来る。この悔しさを、のちの世の女は味わわなくてすむようになる」
  • 刃鉄の人
    3.3
    『風の市兵衛』の著者入魂! 書き下ろし時代小説、新シリーズ開幕! 鍛え抜かれた刃鉄のように純粋で強靱な、孤高の刀鍛冶・一戸前国包、見参! 時は元禄。 一戸前国包は京橋南の弓町で刀鍛冶を営み評判を呼んでいた。 家宝の刀に魅せられて以来、武士の身分を捨て刀鍛冶に心血を注いできたが、ある時、本家を通じて老中格・柳沢吉保の配下から密命が下る。 武蔵川越領で村人を斬殺した旗本の子弟を斬ってほしい、と。 「天稟の素質」と言われた神陰流の達人である国包の下した決断は――。 孤高にして矜恃を失わぬ男の熱き生き様が胸を打つ、書き下ろし新シリーズ第一弾! 解説・北上次郎 「もしいま、書店でこの文庫本を手にとって迷っているなら、『ちょっと面白いよ』と、あなたの耳元で囁きたい。ただいま、そんな気分である。」(解説より) ――文芸評論家 北上次郎氏
  • 恋道行
    4.0
    お前のためなら、誰だって殺すぜ――。 切実に愛し合う男女の逃避行が、嵐を巻き起こす。 著者がどうしても書きたかった人情時代活劇、開幕! 不幸な生い立ちから悪事に手を染めるも、親切な絵草紙屋の主人に拾われ店番として更生した千七。 物語を楽しむささやかな生活を送っていたある時、茶立女のおゆきと出会い、運命的な恋に落ちた! だが直後、おゆきに懸想する御家人崩れの久蔵が、ある裏仕事で入った大金で彼女を落籍してしまった。 救出に向かった千七は、諍いの末に久蔵を殺してしまう……。 追われる身となった二人の逃避行の行方は? 著者新境地の時代恋物語、開幕!
  • 宿場鬼
    3.5
    中山道の霧深き宿場町に降り立った〈鬼〉――何処からともなくやって来た美貌の男は、虚無の眼を湛えすべての記憶を失っていた。恐るべき剣技を操る男は「無名」と呼ばれ、元用心棒の清源が営む道場に寄宿することになった。清源の娘・小夜の献身により徐々に記憶を取り戻す無名。だが、謎の刺客が次々に訪れる。果たして彼は何者なのか? そして彼が通ってきた修羅の道とは?エンターテインメント界の巨匠が挑む初の本格時代活劇!
  • 残りの秋 髪ゆい猫字屋繁盛記
    3.6
    身重のおよしが突然、猫字屋に戻ってきたとおもったら、旦那の藤吉が突然店の金を持って失踪したという。およしに惚れ込んでいたはずの藤吉がなぜ? 喜三次は、藤吉を訪ね歩いて、川崎宿まではるばる足を向けたが、そこで意外な内実を知る。 生さぬ仲の子を我が子のように愛おしむ者がいるとおもえば、血の繋がった子どもを捨てる母もいる。 いつの世も変わらぬ人の情を、哀しみと慈しみに満ちた筆で描きだす、シリーズ最終巻。
  • ばけたま長屋
    4.0
    浅草の裏長屋に仕事場を構えた指物師の弦次。ところが長屋は空き部屋ばかり。住人たちが次々と引っ越したのは、木戸口から数えて四つ目の閉じられた部屋と関わりがあるらしい。入居日の夜、弦次はその部屋でこの世の者とは思えない女を見てしまう。怖がりだが根が真面目な弦次は、不真面目な先輩住人の三五郎、幽霊画を描くのにどうしても本物を見たい町絵師の朔天とともに、原因究明という名のおばけ退治に乗り出すが……!?
  • 西郷隆盛 新装版
    4.3
    「本書によって西郷のみならず明治維新の革命の真相を理解できたと思う」(解説より)――作家・常盤新平氏 近代日本の夜明け、明治維新に燦として輝きを放つ西郷隆盛。「西郷は真の政治家でありながら、世に横行する政治家ではない。西郷は詩人の魂をもった理想家であり教育家であった。芸術家になっても、すばらしい業績をのこしていたろう。そしてさらに、西郷は軍人でもなかったのである」と著者が言い切った男の半世紀の足どりを克明に追った伝記小説。名匠が描いた維新史としても読みごたえ十分の力作。 ※本電子書籍は、昭和五十四年四月に刊行された『西郷隆盛』(角川文庫)を底本としました。
  • 渡り辻番人情帖
    -
    本所の三つ目通りの辻番頭を命じられた浅井源三郎は、その街で悪質な露天商の客引きを目撃する。被害を未然に防ぐため、実力行使に出た源三郎だが、露天の元締めの六右衛門は一筋縄ではいかない男だった……。
  • 土方歳三 上
    4.3
    日野の豪農・土方家に生まれた歳三は、すらりと整った見た目に反して、負けず嫌いで一本気な性格だった。江戸での奉公が合わずに店を飛び出した歳三は、後の近藤勇と出逢う。勇によって「強くなって武士になりたい」という想いに火をつけられた歳三は、勇や沖田総司ら試衛館の仲間と剣の腕を磨く日々を送ることになる。だが、京の治安を守る浪士組に加わったことで、運命は大きく動き出し……。熱量溢れる渾身の青春時代長編! ※本書は、二〇一五年三月に小社より刊行された単行本『土方歳三 上』の第二部九節までを文庫化したものが底本です。
  • 紅い月 髪ゆい猫字屋繁盛記
    4.5
    武家の身分を捨て、自身番の書役となった喜三次が、いよいよ魚竹に入ることになり……人生の岐路に立った喜三次の心中は? 江戸市井の悲喜こもごもを描き出す、シリーズ最高潮の一冊!
  • 花戦さ
    4.1
    厚き友情と信頼で結ばれていた、花の名手・池坊専好と茶の名人・千利休。しかし秀吉の怒りを買い利休は非業の死を。専好の秀吉に対する怒りが増していく。そんな専好に秀吉への復讐の機会が訪れる…。
  • 霜しずく 髪ゆい猫字屋繁盛記
    4.0
    放蕩者だったが改心し、雪駄作りにはげむ丑松が、猫字屋に一俵の小豆を差し入れた。妹のおきぬが世話になっている礼だと言うが、時を同じくして、汁粉屋の蔵に賊が入っていて……(「寒の雨」)。病に伏す助松の容態が悪化。竹蔵は、助松と揉めた過去を語り、罪滅ぼしのため助松の息子、幾松にある提案をする(「寒四郎」)。過去のしがらみも明日への糧に、どこまでも健気に前を向く人々を暖かく描く、書き下ろし江戸人情小説第六弾。
  • 入り婿侍商い帖 関宿御用達(二)
    2.0
    旗本家次男の角次郎は縁あって米屋の大黒屋に入り婿した。米の値段が下がる中、仕入れた米を売るために、角次郎は新米を江戸に運ぶ速さを競う新米番船に参加する。妻と心を重ね家族一丸で米屋を繁盛させていく物語。
  • かもねぎ神主 禊ぎ帳
    3.0
    白川丹波は伊勢神宮から日本橋の姫子島神社にやってきた神主。寂れた神社を立て直すため氏子達を集めるが、揃いも揃って曲者ばかり。人々の心の汚れを祓い清めるため、若き禰宜(神主)が行う"禊ぎ"とは?
  • 佃島用心棒日誌 溺れた閻魔
    3.0
    密命を受け、佃島を公儀目付・鳥居耀蔵の謀略から守る用心棒となった立花左京介は、その物腰と口癖から「左様介」の綽名で親しまれている。ある日、佃島に記憶喪失の男が流れつく。男は博識で、ある事件をきっかけに住吉神社で子供達に手習いを教えることとなり、島の人々にも馴染んでいく。そんな中、鳥居の手先の臨時廻り同心・奥寺亀次郎は、懸賞金が出ている盗人の捕縛を狙い、左京介にある取引を持ちかけるが……。
  • 札差の用心棒 蔵闇師 飄六(一)
    4.0
    父の死を契機に瓢六は実家の札差・簑島屋の店付き護衛『蔵闇師』として働き始めた。ある日、瓢六の弟・簑島屋伊兵衛の息子が誘拐され身代金を払い取り戻す事件が起きた。瓢六は誘拐犯を捕まえようと動きだすが……。
  • 入り婿侍商い帖 関宿御用達
    4.5
    旗本家次男の角次郎は縁あって舂米屋の大黒屋に入り婿した。関宿藩の御用達となり商いが軌道に乗り始めた矢先、義父善兵衛が人殺しの濡れ衣で捕まり……。妻と心を重ね、家族みんなで米屋を繁盛させていく物語。
  • 落葉の虹 留守居役日々暦
    4.0
    横須賀藩の留守居役・高田兵衛の許に、藩士の中沢が妻女と中間の男を斬ったとの知らせが来た。中沢が婦道の罪で二人を処断したというのだが、兵衛には腑に落ちない点があった──。書き下ろし時代小説。
  • 牛馬解き放ち
    -
    奴隷のようにこき使われているひとりの飯盛女に同情した男・文吉。彼は女をさらい、徒手空拳で、地元の代官、果ては幕府への反抗を開始した。山中にたてこもり砦をつくり……が、たったひとりで何ができるのか……? しかし、時代は変わりつつあった。時は幕末、変革の波は地方の山の中にもやって来つつあった。ふつふつと湧いてくる民衆たちの抵抗の気運は、やがて大きな波となって文吉をそして幕府を巻き込んでゆく。民衆のエネルギーと、男と女の引かれあう情念を見事に描ききった西村文学の傑作。
  • 佃島用心棒日誌 白魚の絆
    4.0
    謎の浪人立花左京介が佃島にやってきた。武芸十八般を習得する左京介は謎の密命を帯びているが、佃島で人情味溢れる人々や風俗に親しみ、やがてこの島を守ろうと役目を超えた強い使命感を抱くようになる――
  • 江戸裏御用帖 浪人・岩城藤次(一)
    3.0
    そば屋の2階で女を人質に立てこもる事件が起きた。同心・新之助が男の説得を試みるが、男は聞く耳を持たない。その時、近くを通りかかった浪人・源三郎を見付けた新之助は、彼に協力を仰ぐが……。
  • 雲雀野 照降町自身番書役日誌
    3.7
    武士の身分を捨て、町人として生きる喜三次のもとに、国もとの兄から手紙が届く。このままでは実家の生田家が取りつぶしに……千々に心乱れる喜三次は、十年ぶりに故郷に旅立つ。彼が下した決断とは――?
  • 上杉謙信
    3.3
    時は永禄4年正月、上州厩橋の城内で小田原攻略の大策の途中である。そこへ、積年の宿敵、武田信玄の軍が北へ移動しているとの情報が入る。思わぬ裏切りに憤った謙信は、川中島へと足を向けた。
  • 西郷盗撮 剣豪写真師・志村悠之介
    4.0
    元幕臣で北辰一刀流の達人の写真師・志村悠之介は、ある日「西郷隆盛の顔を撮れ」との密命を受ける。鹿児島に潜入し西郷に接近するが、美しい女写真家、人切り半次郎ら、一筋縄ではいかぬ者たちが現れ……。
  • その名は町野主水
    3.0
    慶応四年の戊辰の戦役に際し、会津藩の町野主水は、同藩士の佐川官兵衛、長岡藩の河井継之助らとともに北越戦線で壮絶な戦いを重ねるが、図らずも死すべき命を生き長らえる。会津開城後、民政局取締として若松に残った主水は、心ない新政府の施策に対し、会津の名誉回復へ向けて静かに心を燃やしつづけた。そして、貧窮する旧藩士の救済、無念の死を遂げた多くの戦死者の埋葬、慰霊をはじめ、戦後、荒廃した会津の復興に奔走する。“武士”の心を保ち、時に強引ともいえる剛直な言動から「最後の会津武士」と称された、稀代の人物の激しい生きざまを描く力作歴史長編。
  • 茜色の雨 留守居役日々暦
    4.5
    参勤交代の横須賀藩の一行が、供揃えのため川崎宿で一夜を過ごした。翌日、藩士の田辺が急病で供から外れ、休養を取ることに。だが田辺が行方不明になり、留守居役の高田兵衛が消息を辿りはじめるが……。
  • 札差平十郎
    -
    旗本・御家人への金融を請け負う札差。吉宗が将軍になって以来、この札差ほど江戸で発展した商売はない。だが巷には札差の金庫を狙う悪党どもが……。武士の横暴や経済犯罪に敢然と立ち向かう札差辰巳屋平十郎の活躍。
  • 秋声のうつろい 小伝馬町牢日誌
    4.0
    凡庸な忠義者の助蔵が、剣客として知られる主人を斬り殺した科で入牢してきた。不審に思った大賀弥四郎は、持ち前の人の好さで調査に乗り出す。一筋縄ではいかぬ想いに目をこらす心優しき牢屋同心の事件簿。
  • 隠密太平記
    -
    松平忠輝公を高島城から奪取せよ!徳川の体制ようやく定まった三代将軍家光の世。幕府を震撼させた伊達政宗謀反の騒乱と、その先兵となって骨肉相食む死闘を繰り広げる忍者兄弟の苛烈な運命を描く。
  • 寒雀 照降町自身番書役日誌
    4.0
    刀を捨て照降町の住人たちとまじわるうちに心が通じ合い、次第に町人の顔つきになってきた喜三次。そんな自分に好意を抱いてくれるおゆきに対して憎からず思うものの、過去の心の傷が二の足を踏ませて……
  • 甲賀忍法帖 山田風太郎ベストコレクション
    4.4
    400年来の宿敵として対立してきた伊賀と甲賀の忍者たちが、秘術の限りを尽くして繰り広げる地獄絵巻。壮絶な死闘の果てに漂う哀しい慕情とは……風太郎忍法帖の記念碑的作品!
  • 密室大坂城
    3.7
    大坂の陣。二十万の徳川軍に包囲された大坂城を守るのは秀吉の一粒種の秀頼。そこに母・淀殿がかつて犯した不貞を記した証拠が投げ込まれた。陥落寸前の城を舞台に母と子の過酷な運命を描く。傑作歴史小説!
  • 雁渡り 照降町自身番書役日誌
    3.3
    日本橋は照降町で自身番書役を務める喜三次が、理由あって武家を捨て町人として生きることを心に決めてから3年。下町に生きる庶民の人情や機微、暮らし向きを端正な筆致で描く、胸にしみる人情時代小説!
  • 付き馬屋おえん 暗闇始末
    2.5
    江戸で日に千両落ちるところといえば吉原。だが、快楽の夢に酔いしれたつけは、翌朝になれば待ったなしでまわってくる。懐中のものでまかなえぬ遊客には“付き馬”が遊女屋からついてゆくが、それでも無理な場合は、専門の取り立て屋の“馬屋”に依頼がゆく。その馬屋の跡目を町内きっての器量よし、おえんが継いだ。強談して埒があかないときには、一日も欠かさず付きまとい、目的のためにはどんな手段もいとわない。金と色が渦巻く吉原で型破りのヒロインが活躍する連作時代小説。
  • 火城
    3.0
    嘉永三年、黒船来航を三年後に控えた幕末の時代――佐賀藩士・佐野栄寿の心にあったのはただひとつ、当時最先端の科学技術で蒸気船を造ることだった! 大胆な戦略と心を揺さぶる「涙」で藩主を説き伏せ、超一流技術者からくり儀右衛門を巻き込み、日本初の蒸気船を造り出すまでの波乱の半生! 江戸から明治、そして現代まで通ずる飛躍的な技術革新の裏側に暗躍し、命を賭した男たちの熱き物語。
  • 忠臣蔵心中
    -
    元禄十五年、赤穂浪士による吉良上野介邸討ち入りの陰にもう一つのドラマがあった!史実に基づく大胆な発想から、近松門左衛門と堀部安兵衛の兄弟がおりなす忠臣蔵を描く長編時代小説。
  • 軍師の門 上
    4.1
    豊臣秀吉の頭脳として、「二兵衛」と並び称される二人の名軍師がいた。野心家の心と世捨て人の心を併せ持つ竹中半兵衛、己の志を貫きまっすぐに生きようとする黒田官兵衛。混迷の現代に共感を呼ぶ長編歴史小説。
  • 表御番医師診療禄1 切開
    3.6
    表御番医師として江戸城下で診療を務める矢切良衛。ある日、大老堀田筑前守正俊が若年寄に殺傷される事件が起こり、不審を抱いた良衛は、大目付の松平対馬守と共に解決に乗り出すが……。
  • 咸臨丸、サンフランシスコにて
    4.0
    安政7年、条約批准のため遣米使節団が江戸湾を出航した。勝海舟が艦長を務める「咸臨丸」には、瀬戸内の塩飽衆・吉松たち日本人水夫が乗り組むが、悪天候に悩まされ、病気も蔓延する。アメリカ人水夫との対立、士官・中浜万次郎への反発など不穏な空気の中、果敢に太平洋横断に挑んだ彼らを思わぬ運命が待ち受けていた。第27回歴史文学賞受賞作品を大幅改稿、書き下ろし後日譚「咸臨丸のかたりべ」を併載。
  • 逢魔が源内
    3.0
    紙問屋の「引田屋」から、主人ら14人が忽然と姿を消した。“宝暦の神隠し”と呼ばれる怪事件の調査を、田沼意次に依頼された平賀鳩渓源内は、敵の真の狙いが、意次の魂を奪うことだと突き止める。その背後には、歴史の裏でうごめく闇の力が存在していた。源内は、陰謀の阻止に尽力する中で、逢魔が時だけに現れる謎の男とも対峙していく。源内と闇の権力の戦いを描いた「食魂鬼譚」ほか「小町娘についての考察」「腑分け奇譚」「蔵の箱」「兄弟弟子」「魅魂女」を収録した、傑作伝奇時代小説。
  • 謀将 山本勘助(上)
    -
    過酷な修行の末に兵道、軍法を極めた容貌魁偉の男・山本勘助は、不遇をかこっていた今川家から、甲斐の若き武田信玄に迎えられた。信玄を天下争奪の雄に導くことこそ天命と信じる勘助は、群雄割拠する信州平定を進言し、軍略を発揮する。信州を逐われた諸将は越後へと逃れ、信越国境に迫る武田軍に、ついに越後の虎・上杉謙信が動く! 川中島にはためく風林火山、希代の軍師の狙いは? 時代小説エンターテインメントの最高峰。
  • 風と雲と砦
    3.0
    群雄割拠した戦国の動乱の世も、やがて統一に向かおうとする時――長篠城をめぐる武田と徳川の激しい攻防の中、運命の不思議な糸によって、3人の若い武士と3人の若い女がめぐり合う。境遇も個性も信念も違う彼らが、それぞれの愛と願いをかけて戦い、自らの運命と格闘し、生きて散りゆくさま。そのなんと儚く、しかし胸に迫ることか――。無情な歴史と人間の姿を、詩情溢れる筆致で見事に浮き彫りにする、歴史人間ドラマの傑作。
  • 妻の背中の男 幽剣抄
    5.0
    九鬼原の美しき妻・知也の背に浮かび上がった30半ばの脂ぎった男の顔。それはかつて、知也に求愛していた千田君平のものだった。千田は、何者かに襲われ命を落とし、その後、知也の背中にとりついたのである。なんとか千田を成仏させようとする九鬼原だったが――。表題作ほか「鯛の顔」「うるさ方」「覗く」「生ける死者」「夜の番所」「からくり進之丞」「蜃気楼」「僕の世界」「元服宣言」「戦さ人」を収録。藩のため、家のため、剣のためすべてを失った下級武士たちの姿を悲哀とユーモアで綴った時代小説怪異譚。
  • 鉄砲無頼伝
    2.0
    1543年、鉄砲伝来。紀州根来の津田監物は種子島領主、時堯より譲り受けた鉄砲を量産するとともに日本最初の鉄砲集団を形成した。その数、三千。精鋭たちの弾丸は、轟音とともに他を凌駕する。機を見るに敏、主をかえ、金銀財宝をほしいままにしつつ、凄絶な戦いの日々を生きた傭兵たち。群雄割拠の乱世に圧倒的な軍事力を持ちつつ、天下統一の野心よりも、思いのままに生きることを選んだ男たちの、自由奔放な生きざまを描く渾身の歴史小説。
  • 虎狼は空に 上 小説新選組
    -
    幕末の京都に江戸から上洛した浪士たちは、いかにして暗殺集団へと変貌していったか。市中警護に飽きたらず、厳しい規律のもとに敵対者たちを容赦なく斬り捨てていった血まみれ軍団「新選組」の実像に迫る傑作長編!
  • 硫黄島
    3.6
    終戦から六年後のある日の夕方、ひとりの男が新聞社に勤める私のところに訪ねてきた。投降前に硫黄島の岩穴にうずめてきた日記を米軍当局の許可を得て掘り出せることになった。そのことを記事にしてほしいという。私はいくつか疑念を抱きながらも記事にした。ところが、後日、彼は硫黄島に渡り、現地で自殺してしまう。男を死に向かわせたものは何だったのか。私は男の足跡を辿りはじめる。昭和文学史に名を残す不朽の戦争文学。
  • 城取りの家
    3.8
    父祖二代にわたって“城取り”で武功をあげてきた竹中家に生まれ、宿命のようにして難攻不落の要塞、稲葉山城を攻略してゆく半兵衛の人物像を陰影豊かに浮かび上がらせた表題作「城取りの家」。関ケ原役において九州を平定し天下をも望む加藤清正一世一代の野望を描く「虎之助一代」。ほかに福島正則、直江兼続、大月義政など、戦国乱世を駆け抜けた男たちの生と死を綴った雄渾の戦国武将伝。 ※本書は、一九九六年一二月に新人物往来社より刊行された『戦国武将伝 虎之助一代』を改題し、文庫化したものです。文庫化にあたり「時代小説大全99夏号」(新人物往来社)に掲載された「寝返りの陣」を新たに巻末に収録しました。
  • テンペスト 第一巻 春雷
    5.0
    19世紀の琉球王朝。嵐吹く晩に生まれた真鶴は、厳しい父の命に従い、男として生まれ変わることを決心する。名を孫寧温と改め、13歳の若さで難関の科試を突破。憧れの首里城に上がった寧温は、評定所筆者として次々と王府の財政改革に着手する。しかし、王室に仕える男と女たちの激しい嫉妬と非難が寧温の前に立ちはだかる……。伏魔殿と化した王宮を懸命に生き抜く波瀾万丈の人生が、春の雷のごとく、いま幕を開けた!
  • 付き馬屋おえん 吉原水鏡
    -
    色街での遊びのツケを、女だてらに容赦なく回収する付き馬屋、弁天屋のおえんが活躍する痛快時代シリーズ。天神屋おとよ、通称・女郎蜘蛛が三たびおえんに挑む「女郎蜘蛛は死なず」など、ますます妖艶な連作七編!
  • 謀将 北条早雲(上)
    -
    最愛の姉・千冬が嫁いだ駿河の守護大名・今川義忠が急死した。幼い世継ぎを抱えた姉の窮地を救うべく、伊勢新九郎、のちの北条早雲は、一路駿河へと下る。お家乗っ取りを画策する重臣・小鹿範満との対決の行方は!?
  • くノ一忍法帖 山田風太郎ベストコレクション
    4.0
    大坂城落城により天下を握ったはずの家康。だが、信濃忍法を駆使した5人のくノ一が秀頼の子を身ごもっていると知り、伊賀忍者を使って千姫の侍女に紛れたくノ一を葬ろうとする。妖艶凄絶な忍法帖。
  • 山流し、さればこそ
    4.0
    寛政年間のこと、出世の道を歩んでいたはずの数馬は、「山流し」と蔑称される甲府への転出を命じられた。理不尽な左遷に憤る数馬が、家族とともに向かった甲府で見たものは、城下の賑わいとは裏腹に、風紀の乱れた、荒んだ武士たちの姿だった。新参いじめを謎の女に救われた数馬は、不思議な盗賊騒ぎに巻き込まれていく…。江戸では見えなかったこと、逆境の中でこそ知り得たものとは、何だったのか? 気鋭が放つ時代長編!
  • 武神の階 上 新装版
    -
    下剋上で越後を支配した父・長尾為景の死から7年。元服した景虎は、地侍の反抗を制圧するため栃尾城に出陣した。一糸乱れぬ用兵で大勝を収め、14歳にして指揮官として非凡の才を発揮する。毘沙門天の化身と恐れられるようになった景虎は兄に替わって長尾家当主となり、春日山城に入った。名実ともに越後国主となった景虎に、宿敵・武田信玄との対決の時が迫る。乱世に、至誠を貫いた聖将・上杉謙信の生涯を描く戦国歴史巨編。
  • 天下布武 上 夢どの与一郎
    4.0
    織田信長軍団の若武者・長岡与一郎(のちの細川忠興)は、仲間の万見仙千代、荒木新八郎らとの勝負を経て、彼らの友情に支えられ、信長の養女にして重臣・明智光秀の娘・玉(のちのガラシャ夫人)を娶った。信長の夢に賭ける3人は、厚い友情で結ばれていたが、本願寺攻めに出陣した与一郎は、新八郎の父・村重の謀叛に気づく。本願寺を支援する毛利勢を操る「用捨一揆」の正体とは? 乱世を駆け抜けた若武者たちの運命!
  • 付き馬屋おえん 吉原御法度
    3.0
    吉原の大見世「宝屋」、おいらんの名代で座敷に出た妹分の振袖新造が札差に手込めにされた。札差は旗本、御家人の金融の元締めとして権勢を張り、吉原にとっては、すこぶるいい客筋であった。だが、名代に手を出すのはここでは御法度破り。相手が誰であろうと、泣き寝入りするわけにはいかなかった。おえんは「宝屋」の女将から見舞金の取り立てを請け負うが・・・・・・。花の吉原で、器量よし男勝りのヒロインが奔走する、痛快連作時代小説。
  • 侠客 上
    -
    夕立に煙る路上で六人の刺客に襲われた塚本伊織は、息子の伊太郎(のちの幡随院長兵衛)に「からつ」と言い残して死んだ。流浪の末に奉公先を得た二十歳の伊太郎は、父の死の謎を解いて敵を討つため、三千石の大身旗本、水野百助の援助で元唐津藩士だった茂平次を彦根に探し出す。そしてすべてを知ることになるが……。江戸一の〈人いれ宿〉を営む山脇宗右衛門の元に身を寄せる伊太郎。だが、その背後に刺客が迫る。
  • 軍師 竹中半兵衛 上 新装版
    3.8
    美濃の斎藤家から織田家への使者に抜擢された竹中半兵衛は、信長のもとで運命の人・お市の方と出会った。やがて家督を弟に譲り、研究を重ねついに半兵衛流兵法を完成させる。戦国の世が半兵衛を求めていた!
  • 軍師の境遇 新装版
    3.9
    天正三年、羽柴秀吉と出会い、軍師・黒田官兵衛の運命は動き出す。秀吉の下で智謀を発揮して天下取りを支えるも、その才ゆえに不遇の境地にも置かれた官兵衛の生涯を描いた表題作ほか、二編を収めた短編集。
  • 我、天命を覆す 陰陽師・安倍晴明
    4.3
    人と化生のあいだに生まれた安倍晴明。陰陽師として類い希なる力を持っていた彼には貴族から依頼がたえない。ある日、賀茂祭を見に行った晴明は、外つ国からきた、化け物と鉢合わせするが――!?
  • 男嫌いの姉と妹 町医北村宗哲
    4.0
    浜松町の茶問屋「駿河屋」の姉妹は揃って器量よし、財産もあるが、結婚しないまま三十路を過ぎた。この先、気に入らない親戚に家を継がせるのも業腹だ。そこで妹のちよは名案を思いつく。白羽の矢が立ったのは、芝神明前の腕利き医師・北村宗哲のもとに出入りする浪人、長井半四郎。が、元渡世人の宗哲は、群雄割拠する江戸の裏社会に顔が利くだけあって、半四郎もややこしい状況に置かれていた…。人気シリーズ、堂々の完結!
  • 最後の忠臣蔵
    4.1
    吉良邸討入りから引揚げる途次、足軽・寺坂吉右衛門は大石内蔵助に、生き延びて戦さの生き証人となるよう命じられた。義に殉じる事も出来ず、世間の視線に耐えて生きる吉右衛門は、十六年の後、討入前夜に脱盟した瀬尾孫左衛門と再会する。同じ境遇にある旧友にも、実は内蔵助から密かに託された後事があった。苛酷な半生を選んだ二人の武士の信義と哀歓を描いた表題作など、連作四篇「仕舞始」「飛蛾の日」「命なりけり」「最後の忠臣蔵」を収録。
  • ちっちゃなかみさん 新装版
    3.7
    向島で三代続く料理屋・笹屋の一人娘、お京もこの正月で20歳になった。しっかり者の看板娘として店をきりもりし、今や親が手を出すすきもない。舞い込む縁談を断り、親の反対を押し切って選んだ相手はかつぎ豆腐売りの信吉だったが、あっさり断られてしまう…。しっかり者の女たち、それゆえに悲しくもおかしい。平岩作品の醍醐味、豊かな江戸人情を描いた珠玉と呼ぶにふさわしい10編を収録。
  • 江戸の娘 新装版
    3.5
    花の季節、花見客で賑わう乗合船で起こった強盗騒ぎで、若い娘が機転を利かせ、強盗を川に投げ込んだ。人々がはやし立てる中、「女のくせに見苦しい」と嘲笑した侍に腹を立てた娘。だが、旗本の次男坊と料亭の蔵前小町はやがて恋に落ちた。時は幕末、時代の波が2人を飲み込んでいく…。「御宿かわせみ」シリーズの原点ともいうべき表題作をはじめ、平岩文学の原型を凝縮した7編を収録する短編集。
  • 口は禍いの門 町医北村宗哲
    4.0
    病気を治す腕は一流、厄介事を解決する知恵も一流、宗哲の医院は今日も大繁盛だ。今村芳生なる蘭方医が宗哲のもとを訪れ、“本道(内科)に限っては官医に蘭方を禁ずる”という幕府の達しに、激しく不満を述べた。宗哲が相手にしないとみると、漢方医で将軍家御匙の楽真院と老中首座に直談判に行く始末。辟易した楽真院から、今村の口を封じられないか、と相談を受けた宗哲だったが……。人情の機微に触れるシリーズ第3弾!
  • やる気のない刺客 町医北村宗哲
    3.0
    元渡世人にして名医と評判の宗哲のもとには、患者だけでなく時に厄介な相談事が舞い込む。人宿に奉公の口を探しに来た女りゑは、将来を言い交わした男が思わぬ借金を背負ってしまったため売女奉公をしたいと言う。ところが証文を交わした夜、人宿の2階でりゑが突然、苦しみ始めた。請われて往診に出向いた宗哲は薬を処方したが、よくならないばかりか事態は思わぬ方に流れて……。円熟の腕が冴えわたる、人気シリーズ第2弾。
  • 町医 北村宗哲
    3.5
    江戸・芝神明前の医院「北村堂」はいつも大繁盛。腕利きであるうえ義に厚い宗哲だが、訳あって人を斬り、長い逃亡生活を送っていた過去を持つ。そのためか、「その筋」から厄介な頼み事が持ち込まれることもある。ある日、昔の知り合い半五郎が労咳を病んだ身でふらりと江戸に現れた。宗哲は住む部屋を世話するが、家主に思わぬことで苦情を言われ……。人情とペーソス溢れる人気シリーズ第1作。
  • 紋ちらしのお玉
    4.0
    花魁と違い、芸は売っても体は売らない。それが芸者。が、江戸・柳橋の売れっ子芸者、お玉には秘密がある。お座敷に出る裏で、ひそかに男に抱かれている。身分ある武家や、時には大名の相手もする。そして相手の家紋を、気心の知れた女刺青師の多緒に、体のいちばん奥に彫ってもらうのだ。紋を千個集める「千人信心」のため…。男たちの思いがすれ違う世相騒がしい幕末を、「紋ちらしのお玉」が行く。携帯小説の人気連載が文庫デビュー!
  • 乾山晩愁
    3.8
    天才絵師の名をほしいままにした兄・光琳が没して以来、尾形乾山は陶工としての限界に悩んでいた。追い討ちをかけるように、二条家から与えられた窯を廃止するとの沙汰が下る。光琳の思いがけない過去が、浮かび上がろうとしていた…。在りし日の兄を思い、乾山が晩年の傑作に苦悩を昇華させるまでを描く歴史文学賞受賞の表題作をはじめ、戦国から江戸の絵師たちを綴った全5篇を収録。松本清張賞作家の原点、待望の文庫化。
  • 入り婿侍商い帖(一)
    3.7
    旗本家次男の角次郎は米屋の主人に見込まれて婿に入った。婿に入ると聞いていた話と大違い、店は借金だらけで妻は自分と口をきかない。角次郎は店を立て直すべく奮闘するが……。妻と心を通わせ商家を再興する物語。
  • 料理番に夏疾風 新・包丁人侍事件帖
    3.5
    将軍家斉お気に入りの台所人・鮎川惣介にまたひとつやっかい事が持ち込まれた。家斉から異国からやってきた男に料理を教えるよう頼まれたのだ。文化が違う相手に苦戦する惣介。そんな折り事件が──。
  • 柳橋物語
    3.3
    気丈で働き者のおせんは、おとなしく控えめな庄吉と、乱暴者だが闊達な幸太の2人から相次いで求愛を受ける。幼さゆえに同情と愛とを取り違え、上方に修行へ行く庄吉の「待っていてくれるか」という言葉を受け入れた彼女は、しきりに会いに来る幸太のことをすげなく突き放す。たいへんな大火事が起きたのはそんな時だった。おせんは病気の祖父をかばって逃げ遅れ、窮地を救ってくれた幸太は、火に追われ逃げ込んだ川の中で、濁流にのまれ命を落としてしまう。火事で一切の身寄りをなくしたおせんは、幸太と不義を働いたという根も葉もない噂で心身ともに追いつめられてゆく。追い打ちをかけるように、月日を経て再会した庄吉からも幸太との不義を疑われ、婚約破棄を言い渡されて――。火事から町が復興し、柳橋がかけられるまでの日々に起きた、おせんという一人の女性の哀しくもたくましい愛の物語。他「生きる」ことへの悩みに真正面から向き合った『しじみ河岸』を加えた中編2作による名作集。 ※本書は二〇一三年九月に新潮社より刊行された「山本周五郎長篇小説全集第五巻」、二〇〇五年十一月に小学館より刊行された「山本周五郎中短篇秀作選集2」を、文庫化したものが底本です。
  • 五瓣の椿
    3.0
    家のために働きづめ、その挙句倒れて死んでしまった大切な父。その時母は浮気相手と不義密通を働いていた――。おしのが母をなじると、返ってきたのはおどろくべき言葉だった。「おしのちゃん、あなたの本当の父親はほかにいるのよ。」 母の不義を憎み、次々と母や、男たちに復讐を果たしながらも、不浄な血が流れている自身の存在に悩むおしの。最後の復讐相手、自分の本当の父親と直面したおしのがとった驚くべき行動とは――。犯した罪をどうやって償うべきか。サスペンス仕立てで語られる、罪と罰の物語。
  • 女が、さむらい
    4.0
    近頃、男が弱くて仕方がない――平和が続く江戸で千葉道場の筆頭剣士となっていた秋月七緒。長州藩邸用人の娘である彼女は、親に強制された縁談の席で強盗事件に遭遇。犯人を成敗し、瀕死の男・猫神創四郎を助ける。惹かれ合う二人だが、猫神の正体は、徳川家に不吉を成す刀<村正>に纏わる密命を受けたお庭番だった。江戸では、刀に関する事件が頻発しており……。強く美しき剣士と、剣術を失った腕利きお庭番の出会いが波乱を巻き起こす。これが風野真知雄の真骨頂!
  • 天翔ける倭寇(上)
    3.0
    平戸の領主の庇護を受けて、大明の沿岸に跳梁する大海賊・王直の手下となった源次郎は、天文十七年(一五八四年)、大量の鉄と硝石を紀伊雑賀の荘に持ち帰り、雑賀鉄砲衆二十五人の若者を連れて、再び平戸へ向かった。鉄砲伝来直後の乱世のただなか、さまざまな思惑を抱いて大陸へ渡った若者達の夢とロマンと郷愁の情を描いた、海洋冒険時代小説の傑作。
  • 鼠、滝に打たれる
    4.0
    「縁談があったの」「お前に?」「違うわよ! 千草さんによ」鼠小僧次郎吉の妹、小袖がもたらした報せは、微妙な関係にある女医・千草と、さる大名の子息との縁談で…。恋、謎、剣劇――胸躍る物語の千両箱が今開く!
  • いのち燃ゆ
    3.0
    関ヶ原の前哨戦、安濃津城の戦いで、ひとりの美しい武者がいた。富田信高の妻、苳姫の戦場での活躍を描いた表題作に加え、女性の切ない生き方を描いた作品を多数収録。北原亞以子、幻の時代小説を集めた短編集。
  • 将軍の料理番 包丁人侍事件帖(1)
    4.3
    江戸城の台所人、鮎川惣介は、天性の嗅覚の持ち主。家斉に料理の腕を気に入られ、御小座敷に召されることも。ある日、惣介は、幼なじみの添番・片桐隼人から、大奥で起こった不可解な盗難事件を聞くが──。
  • 新・一茶捕物帳 -三日月に哭く-
    -
    江戸は深川伊勢崎町の源右衛門店通称お月見長屋に独居する弥次郎兵衛は長屋裏の本行寺の本堂を借りて読み書きを教えている。この情け深くて涙もろい男こそ、北町奉行所の定廻り同心・片山九十郎の知恵袋として江戸を騒がす怪事件の謎を解く若き日の俳人・小林一茶であった――! 人情あふれる下町を舞台に、時代ミステリーのニューヒーロー“涙の弥次郎兵衛”の推理が冴える!
  • 柳生剣法帖 ふたり十兵衛
    3.0
    剣を握ったのは遠い過去、今では書物を手放さず、暇さえあれば読書にふける柳生十兵衛は、一応、将軍家剣術指南役たる柳生家の御曹司。先日までは徳川家光の小姓も務めていた。だが家光の勘気を被り、目下、小田原にて謹慎の身。謹慎これ幸いと読書にうつつを抜かす十兵衛だったが、小田原城主阿部備中守から城下の不逞浪人の調査を依頼される。十兵衛は、筋骨隆々の従者一兵衛と探索を開始するが……。読書家・柳生十兵衛が、小田原に巣くう〈魔〉に挑む!
  • 世直し人 品川しみづや影絵巻
    -
    怪我を負って記憶を失い、一膳飯屋「しみづや」の前に倒れていた男──新助と名付けられた者の正体は、幕府の御庭番・喜多新十郎だった。だが、彼の心は人々との出会いにより、変わろうとしていた……。
  • 二剣の絆 火盗改父子雲
    3.0
    神田佐久間町の笠屋・美濃屋に男たちが押し入り、主の豊造が斬殺された上、娘のお秋が攫われた。火盗改の雲井竜之介の父・孫兵衛は、息子竜之介とともに下手人を追い始めるが……。書き下ろし時代長篇。
  • 赤まんま 髪ゆい猫字屋繁盛記
    3.6
    木戸番のおすえが面倒をみている三兄妹の末娘、まだ四歳のお梅が生死をさまよう病にかかり、照降町の面々は、ただ神に祈るばかり――生きることの切なさ、ままならなさをまっすぐ見つめる人情時代小説第五弾!
  • 秋霖(しゅうりん) (上)
    -
    時代は戦国乱世、織田信長らが天下制覇の野望に燃えているころ、かつての西国の覇王・尼子氏は、毛利の謀略のために一族滅亡してしまっていた。しかし、一族でただひとり、孫四郎だけが生き残り、仔犬の悪太郎とともに成長していた。一方、中山鹿之助ら、尼子十勇士を中心とする尼子の残党は捲土重来を期し、孫四郎を擁立して一族再興のときをねらっていた。かくして血で血を洗う抗争の火蓋は切っておとされた…! 巨匠・西村寿行が放つ、波乱万丈の戦国伝奇アクション・ロマン巨編!
  • 吉良忠臣蔵 上
    4.0
    「浅野内匠頭、吉良上野介に刃傷」の報は、青天の霹靂のような衝撃となって江戸城を駆け抜けた。しかし、実態の江戸城中・松の廊下の刃傷事件の背後には、冷酷無比な罠が張り巡らされており――。
  • 花魁くノ一
    -
    代筆人として遊女のために恋文を綴る雪乃は、角町の貞女から十両もの大金の送金を頼まれる。貞女の必死の願いに、断りきれなかった雪乃。だが、数日後、貞女が遺体で発見されて……。
  • 迷い人 品川しみづや影絵巻
    -
    北品川の名水を使うことで美味いと評判の一膳飯屋『しみづや』。その飼い猫が見つけた、行き倒れの男は、記憶を喪っていた。男は一体何者なのか? 手がかりは、3本の包丁と男が創る料理だが……。
  • 望の夜 髪ゆい猫字屋繁盛記
    4.0
    佐吉とおきぬの恋、鹿一の家族の和解、おたみに初孫誕生……めぐりゆく季節のなかで、猫字屋の面々にも、それぞれ人生の転機がいくつも訪れて……江戸の長屋に息づく情を豊かに謳いあげる書き下ろし第四弾!
  • 夜半の春 照降町自身番書役日誌
    4.0
    盗みで二人の女との生活を立てていた男が捕まり打ち首に。残された家族は……江戸の片隅でひっそりと生きる男と女、父と子たち……庶民の心の哀歓をやわらかな筆で描く、大人気時代小説シリーズ、第四巻!
  • 火盗改父子雲
    3.0
    日本橋の薬種屋に賊が押し入り、大金が奪われた。逢魔が時に現れる特徴から、逢魔党と呼ばれる賊の仕業と思われた。火付盗賊改方の与力、雲井竜之介と引退した孫兵衛は、逢魔党を追い、探索を開始する。
  • 虎落笛 照降町自身番書役日誌
    4.0
    市井の暮らしになじみながらも、武士の矜持を捨てきれず、心の距離に戸惑うこともある喜三次。悩みや問題を抱えながら、必死に毎日を生きようとする市井の人々の姿を描く胸うつ人情時代小説シリーズ第三弾!
  • 十六年待って 髪ゆい猫字屋繁盛記
    3.7
    余命幾ばくもないおしんの心残りは、非業の死をとげた妹のひとり娘のこと。おたみはそんなおしんに心を寄せて、なけなしの形見を届ける役を買って出る。人と真摯に向き合う姿に胸熱くなる江戸人情時代小説!
  • 海山の幸 品川人情串一本差し
    4.5
    元八丁堀同心の波之進は身内を悪人に殺され、稼業をやめて妹と品川で串焼きの見世を開いていた。ある日、波之進は海の救け組と身投げをした女を助ける。話を聞くとそれは波之進の敵が関係しているらしく……
  • 寒紅梅 髪ゆい猫字屋繁盛記
    3.5
    恋する女に唆されて親分を手にかけ遠島送りになった黒岩のサブが、江戸に舞い戻ってきた――!? 喜びも哀しみもその身に引き受けて暮らす市井の人々のありようを描く大好評人情時代小説シリーズ、第二弾!
  • 石燕夜行 骨きりの巻
    3.4
    江戸・日本橋で夜な夜な町の誰かが骨だけにされて見つかる。そんな奇怪な噂が立っていたある日、町絵師・鳥山石燕の元に塗楽という奇妙なご隠居がやってきた。事件を解決するため彼の力を借りたいというのだが、その正体は妖怪の棟梁で……。異能の青年絵師が妖怪たちと、江戸を騒がす怪異を断つ!新たな伝奇妖怪エンタテインメントのはじまり、はじまりぃ――。
  • 戦国秘譚 神々に告ぐ(上)
    4.3
    応仁の乱以降、室町幕府は力を失い、群雄が割拠し、世は乱れた。古来、神々に礼を尽くして地上の平安を守ることを務めとしてきた京都朝廷は、衰微を極めた。弘治三年(一五五七)、後奈良天皇は後事を若き関白・近衛前嗣に託し、崩御。前嗣の奔走が始まる。幕府再建による朝権回復を目論む前嗣は、都を逐われた将軍・足利義輝と結び、都を支配する三好長慶を除こうと計画。これを阻もうとする長慶の権臣・松永久秀の秘められた思惑とは?
  • 小伝馬町牢日誌 お帰り稲荷
    -
    小伝馬町牢屋敷の同心、大賀弥四郎は、罪を憎んで人を憎まずをモットーとするお人好し。牢名主の長兵衛と共に事件の真実を突き止めていく――弱き者のために立ち上がる鉄火肌の男たちを描く新シリーズ!
  • 忘れ扇 髪ゆい猫字屋繁盛記
    3.6
    日本橋北内神田の照降町の髪結床猫字屋。そこには仕舞た屋の住人や裏店に住む町人たちが日々集う。江戸の長屋に息づく情を、事件やサスペンスも交え情感豊かにうたいあげる書き下ろし時代文庫新シリーズ!
  • トロイメライ
    3.3
    19世紀、琉球王朝末期の那覇の街。正義に燃える新米岡っ引きの武太は、つぎつぎと巻き起こる事件にまっすぐ向き合いながら、少しずつ大人への階段を上っていく――。琉球版・千夜一夜物語!
  • 新編忠臣蔵(一)
    -
    江戸城の松の廊下で、浅野内匠頭が吉良上野介を斬りつけた事件。その背景には、何があったのか……国民的作家が、細部まで丁寧に描いた、忠臣蔵の最高傑作がいまここに!
  • 花月秘拳行
    3.0
    秘拳「明月五拳」の極意を修得した西行は、学べば死に至ると伝えられる「暗花十二拳」の謎を求め、歌枕を訪ねる漂泊の旅に出た――。NHK大河ドラマ「天地人」原作者・火坂雅志の記念すべきデビュー作。

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