遠藤周作のレビュー一覧

  • 女の一生 一部・キクの場合
     キクは気が強くて頑固で後先考えずに行動するタイプで、最初あまり良い印象がなかったが、“愛する者のために自分を犠牲にする強さ“に最後ウルっときた。
  • 人生には何ひとつ無駄なものはない
    若い頃に作者の本を好んで読んでいたことを思い出し、今の生活に作者の言葉が影響していることを感じた。
    正しいことは絶対ではないということ、宗教に関する考察など、いろいろと自分の考えに共鳴する部分やフレーズが多く、改めて作者の本を読みたくなった。
  • 王妃マリー・アントワネット(下)
    今この時、台湾やミャンマーを思う。

    人は同じ過ちを、立場で犯してしまうのかな。

    権力を持つものだけではない。

    全ての人が。

    史実から学ばなけらば。

    物語からも。

  • 私にとって神とは
    めちゃくちゃ良かった。高野山に行ってから、信仰や宗教というものの"実態"とはなにかを知りたいと思っていた。しかし「仏教とは」とか「わかりやすいキリスト教」といった本はなんだか表面的でしっくりこない。
    やはり実体験を伴った個人の思想や解釈、その欠片を集めたものが宗教というモザイク画になっていくのだろう...続きを読む
  • 反逆(上)
    ~全巻通してのレビューです~

    これは面白かったですね。特に荒木村重の部分。

    司馬先生の「播磨灘物語」を読んだ時の荒木村重は官兵衛を酷い目に遭わせた武将という程度の印象でしたが、
    本書は村重が信長に服従した時に剣先に刺した饅頭を満座の中で食わされた屈辱を忘れず、その後色々あってついに謀反を起こすま...続きを読む
  • 人生には何ひとつ無駄なものはない
    「人生には何ひとつ無駄なものはない」
    遠藤周作 著

    1.本書から。心に留めた文章。
    ①挫折
    敗れた自分を素直に認め、再起を図るためのプロセス。
    ②孤独
    滅入ったときには、孤独になること。
    本を読んだり、自分に向き合うことが機会となる。

    ただしいことが絶対ではない。
    ④老い
    老いていくことで、言...続きを読む
  • 新装版 わたしが・棄てた・女
    ミッちゃんの素直も、吉岡のあざとさも、どちらも心を抉ってきた。
    私にとってこの物語は、ずっと独りぽっちだったミッちゃんが、最後に愛に溢れた居場所を見つけることができたハッピーエンドの物語でした。
  • 新装版 わたしが・棄てた・女
     この本は、多くの人に多かれ少なかれ似たようなことを行なっていることを気付かされる。かつてはミツのような純真な心を持っていた乙女もいるのだろうけれど、その多くは生きていくうちに太々しい女性に変わっていくのだから、ミツと結婚していたとしても果たして幸せになっていたとは限らない。
     ただ、純真な女性をボ...続きを読む
  • 怪奇小説集
    抜群の雰囲気作り! そしてスムーズに話を進めていく文章力! 

    遠藤周作のイメージは『海と毒薬』『沈黙』のあらすじであったり、本人がキリスト教徒であったり、などがあって、固い・説教くさい、という印象を勝手に作っていたのだけど、初めて読んだ遠藤周作の短編集『怪奇小説集』は、それを完全に覆されました。
    ...続きを読む
  • 侍

    久しぶりに読んだ遠藤周作。
    さすがというか、やっぱり文豪。
    40年たっていても、文章が生きている。
    しばらく、遠藤文学を読み直してみようと思う。
  • 眠れぬ夜に読む本
    作家さんのなかには個人的に信仰している、あるいはそこまでいかなくても信をおいている宗教を持つ人たちがいる。でも、そういうことが鼻につかない、それでいて物語のなにうまく溶け込んでいる作品を書かれる方は、希有のような気がします。遠藤先生もその一人。このエッセイには生や死について語られた項も多く、読みなが...続きを読む
  • おバカさん
    <バカじゃない…バカじゃない。あの人はおバカさんなんだわ。
    素直に他人を愛し、素直にどんな人をも信じ、だまされても、裏切られてもその信頼や愛情の灯をまもり続けて行く人は、今の世の中ではバカに見えるかもしれぬ。
    だが彼はバカではない…おバカさんなのだ。自分に人生のともした小さな灯をいつまでもたやすまい...続きを読む
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。
    手紙の書く時の考え方の本。
    「読む人の身になって」書く。
    当たり前のようだけど、忘れがちな事が事例をあげて丁寧に説明されている。
    洒落た言い回しじゃなくてもいい、形式にとらわれていては心が伝わらない。
    読めてよかった。
  • P+D BOOKS 決戦の時(下)
    そこで終わるんかぁ〜

    破天荒ではない信長が色々と読みやすい。
    下巻になると自信をつけたみんなが知っている信長
  • 死海のほとり
    信仰を失おうとする私とゴルゴダの丘に至るイエスの物語が最終章に重なっていく。

    深い感動が静かに胸に刻まれる作品。
  • 女の一生 一部・キクの場合
    数年前に読んだ時は、キクと清吉に注目していたが、今回再読して、役人伊藤に感情移入した。自分も働くようになったからか。
    名作だ。このようなことが史実としてあったのか、信仰とは何なのか。
  • イエスの生涯
    「何もできぬイエス」「無力なイエス」そして「愛を注ぐイエス」を語る本。

    遠藤周作さんは根が小説家なので、ときたま聖書の解釈が(私からみると)ぶっ飛んでて面白い。
    遠藤さんは基本的に、奇跡は実際起こったことの比喩と解釈している。そしてイエスを、苦しむ人々に寄り添う人、効果がある奇跡より無力な愛を大事...続きを読む
  • 新装版 わたしが・棄てた・女
    非常に面白い作品でした。遠藤周作作品にしてはかなり読みやすいらしいです。僕は海と毒薬しか読んだことないのでよく分かりませんが…。遠藤周作は純文学作品の著者として高い評価を得ていますが(沈黙、海と毒薬など)、本作品はそれらに比べて通俗的な、所謂、大衆文学的な要素が多く含まれています。

     物語は、一人...続きを読む
  • キリストの誕生
    凄まじい名著。

    イエスの死、ヤコブ・パウロ・ペテロの死、ユダヤ戦争の災禍ー。繰り返される「神の沈黙」と「神の不再度降臨」に対する思考と信仰。そしてそれらを途切れさすことのない、イエスの中にあった「何か」(筆者はXという)。

    どのようにキリスト教が立ち上がってきたのかを、人間的リアリティを持って味...続きを読む
  • イエスの生涯
    人間イエスの姿が、リアリティを持って迫ってくる一冊。久しぶりに素晴らしい良書に出会った。

    従来のユダヤ教主流派の神は、裁き、怒り、罰する神であった。だが、そのような神は、貧しく、弱い民衆を救うことはできない。

    一介の大工の巡回労働者として生活してきてイエスは、庶民や、特に弱者や、差別され、虐げら...続きを読む