遠藤周作のレビュー一覧

  • 新装版 わたしが・棄てた・女
    昔学生だった時に読んだ本。そのときも大きく突き刺さった
    感じを受けたことだけを覚えています。
    ”沈黙”を映画をきっかけで、これも学生の時以来、
    再読したのですが。それをきっかけで、遠藤氏の作品で
    一番に頭に浮かんだのが、この本でした。
    内容はほとんど忘れていましたが、読みだすと、いろんな
    ことが思い...続きを読む
  • 狐狸庵閑談
    68p 創作 無意識の力 不思議な援軍
     著者流 無意識の力を借りる方法が紹介されている。
     このような方法でどの位力を借りたのか気になる。
    72p 直線で生きるか立体で捉えるか
     人生を直線や立体で考える面白い作品
  • キリストの誕生
    キリスト教がどのようにして誕生したかを,聖書ばかりでなく多くの資料をベースに小説家の視点で考察した名著だ.ステファノ事件,エルサレム会議,アンティオケ事件などが信徒たちに与えた影響,さらにイエスと会ったことのある使徒たちとポーロの議論の中で,神の沈黙,イエスの復活などをどう扱うのか悩む人たち.永遠の...続きを読む
  • ぐうたら人間学 狐狸庵閑話
    遠藤周作氏の本はいつも深く考えさせられる。
    キリスト教信者で小難しい本を書く。そんなイメージを持っている人も多いと思う。
    が、しかし。狐狸庵先生は違う。
    下ネタ好きで嘘つきなただのオジさんである。
    ただの嘘ではない。センスがいい。
    遠藤周作氏の偉大さは狐狸庵先生を読んでしても変わらない。
  • イエスの生涯
    第13章「謎」にこの本のエッセンスがあると感じた.p201に"一体,あれだけイエスの生前,師の考えや気持ちも理解できず,ぐうたらだった弟子たちが,なぜ,立ちなおったのか.イエスの最期の時,彼を見棄てたほどの弱虫たちが,師の死後,なぜ,強い意志と信仰の持主になったのか" とある.十字架上のイエスの言葉...続きを読む
  • 留学
    経験しているからなのかな、人の葛藤を描くのが上手いなあと思いました。昇進に悩む社会人とか勉学に励む学生とか、共感できる方は多いのではないかと思った。
  • 母なるもの

    再評価されるべき逸材、遠藤周作

    遠藤周作は自身の信仰に疑問を持っていた。作家活動は自己肯定感を得るための試行錯誤である。その活動の一里塚たる作品が「母なるもの」ではなかろうか。隠れキリシタンの信仰は、本家バチカンから見たらはるかに程遠いもの。しかし、遠藤は「これで、いいのではなかろうか」と肯定感を見出した。隠れキリシタン信仰の神秘...続きを読む
  • 狐狸庵閑話

    古今百馬鹿、現代の快人物がお勧

    「古今百馬鹿」「現代の快人物」で筆者は一気に肩の力が抜けたのだろう。読んでいる方も登場人物のバカバカしくも愛嬌のあるキャラに笑わざるを得ない。
    「現代の快人物」は平成の世における「オタク」の原型たる人物が多数登場する。遠藤周作が愛した「決して世間的に成功しないが、愛嬌がある」人物たちは形を変えて生...続きを読む
  • イエスの生涯
    気持ちを分かってくれる人がいるだけで
    救われるから
    生きてゆこうと思う。
    彼という人がいなかったら
    この世の人はどれだけ寂しい思いをしただろうと思う。
  • ぐうたら好奇学 狐狸庵閑話
    前半にいわゆる「下品」な話が多いですが、中~後半は控えめです。
    昔日の渋谷の姿が描かれていて、今の姿との差に驚きを感じます。
  • 死海のほとり
    信仰を追い求めてエルサレムにやってきた小説家の私と学生時代の友人でエルサレムに住む戸田が、イエスのたどった道を辿りながらイエスを追いかけるという話。
    戸田は気が付いていたみたい。イエスはけっこう造られた虚像であること。
    でも、その方がより現実的で、人間的なのかもしれない。
    あまりにも無力で、そんな男...続きを読む
  • 聖書のなかの女性たち
    遠藤周作作品を読むと、一気に人間の幅が広がる気がする。
    本題はもちろんのこと、聖書と関係ないが「ひよこ」という偏でも、非常に心とらわれた。「秋の日記」でも、著者の心に刻み込まれた、もうすぐ死期を迎える夫とその妻の手を握り合った姿。どんなに愛し合っていても、人は死から救い出すことはできない、という当た...続きを読む
  • 女の一生 二部・サチ子の場合
    第一部の幕末・明治初期から時代は下り、第二部は第二次大戦の時代が舞台になっている。

    コルベ神父、キリスト教信仰における非戦の問題、神風特攻隊、長崎の原爆など、さまざまなエピソードが織り込まれている。

    長崎で一緒に遊んでいた3人の幼馴染。一人は信仰と戦争の問題に苦しみながらも特攻隊として戦死し、一...続きを読む
  • 彼の生きかた
    読み終わったあとに、心に何かが残る。
    久々に、そういう本を読んだ。

    主人公の福本、朋子、加納、藤沢と
    大きく4人の生き様、生き方が描かれているが
    どの生き方に対しても、理解ができるし、
    身近なあり方として感じられ、
    自分の生き方と合わせて考えられるところが
    本作のすごいところなんだと思う。
  • キリストの誕生
    [その後の話]イエスの死に際して自らの弱さに苛まれたであろう彼の弟子たちは、何故にその後殉教をも恐れぬ熱心な信徒となったのか......。クリスチャンでもある著者が、回答定まらないその問いに答えようと、イエスの死後の弟子たちの歩みを再構成した作品です。著者は、本書と『イエスの生涯』を著したことで、さ...続きを読む
  • 悲しみの歌(新潮文庫)
    重くて深みが凄く、後々まで考えてしまいそうな小説だった。
    春に読んだ「海と毒薬」の続編で、事件の30年後が描かれている。

    正義って何だろう?と改めて考えた。
    善と悪ってすっぱり二つに割り切れるものではなく、両方つながっていて、当然グレーゾーンというものもあって、人は立たされた立場やその時の世情によ...続きを読む
  • 新撰版 怪奇小説集 「恐」の巻
    幽霊の正体見たり……的な話もあれば、心底ゾッとする話もある。
    こんなことが自分の身に起こったことがないだけに、ほんとかなぁ??と思うこともないではないが。
    真相を調べに行こう!と再び怪奇現象のあった場所に行くのが面白い。
  • 悲しみの歌(新潮文庫)
    暗い小説です。

    太平洋戦争末期に九州医大で行われた捕虜の生体解剖実験を元にした『海と毒薬』の実質的な続編である本作。
    その前作も暗い小説でしたが、その「暗さ」のイメージが異なるように感じます。
    例えるならば、『海と毒薬』は夕闇のような限りなく闇に近い暗さ、『悲しみの歌』はどんよりとした曇り空でその...続きを読む
  • 人生には何ひとつ無駄なものはない
    人生には何ひとつ無駄なものはない >>は、遠藤周作さんが残してくださった珠玉の言葉を、親しくされていた鈴木秀子さんが、選び取って編んだものだそうです。
    ≪人生というものがわからないから、われわれは生きて、そして人生とは何かということを、生きながら考えているのだと思います。≫ なるほど、どこまで行って...続きを読む
  • 死海のほとり
    [希求の末に]近くに赴いたついでにエルサレムに立ち寄った著者は、大学時代から聖書を研究していた戸田に案内を依頼する。キリスト教に対する熱度は往時の頃と比べて衰えながらも、イエスの足跡を必死に探す著者であったが、戸田は行く先々で皮肉な笑いとともにその思いを跳ね返してしまう......。エッセイ的記述に...続きを読む