遠藤周作のレビュー一覧

  • 悲しみの歌(新潮文庫)
    ガストン良い奴過ぎる。勝呂医師は天国で涙を流しているんだろうか。
    自分の中にも折戸がいるのかもしれない。
  • 白い人・黄色い人
    私は神を信じていないので、日本で日本人がキリスト教(どの宗教でもだけど)を信仰することに興味がある。理解したというより興味が増した。わからないことだらけ。
  • 侍


    遠藤周作の圧倒的無力感・孤独感を凝縮した野間文芸賞受賞の傑作。
    鎖国下での宣教師と侍という特殊な立場の対比が興味深い。
    長編の中でも尺のあるボリュームだが、その前半で何となく結末が分かってしまうにも関わらず読ませてしまうエネルギーと説得力。
  • 砂の城
    理想像として描かれる母の青春、醜く歪んだトシの青春、そして疑問や不安を抱えながらも、清く正しくあろうとする泰子の青春。
    青春という浜辺で作るそれぞれの砂の城は波に攫われ消えてしまうけど、たしかにそこにあった。泰子の清らかさに眩しくなりながらも、私もそうありたい、と願う瞬間も幾度となく。

    美しい言葉...続きを読む
  • 海と毒薬(新潮文庫)
    『人の心の弱さか、時代背景か、そうさせたものは…』

    終戦間際、米軍捕虜の生体解剖事件を元にした作品。
    なぜ、こんな事件が?
    人の心と当時の雰囲気を丁寧に描き、問いかける。
    何が正しいのかわからない、混沌とした今だからこそ読みたい一冊!ん〜、考えさせられる…
    ウクライナでの残虐行為。
    決して許される...続きを読む
  • 新装版 海と毒薬
    大岡昇平の野火を読んだ時にも思ったけど、自分がそういう場所に立たされたときに自分ならどうするんだろうが常に付き纏う。そして解説で「日本人とはいかなる人間か」っていう問いには、安易ではあるけど「同調圧力」「派閥」ってものに弱いんだなと感じてしまった。
    上田ノブという看護婦さん、25歳で嫁き遅れと感じて...続きを読む
  • 白い人・黄色い人
    2作品共、神を信じない男が主人公で、性質も振る舞いも好ましくないのが印象的だった。裏切り者として「ユダ」のイメージが示唆され重ね合わせていく。
    「白い人」は拷問者側の視点が描かれているのが興味深かった。誰も好き好んでやりたがらないと思っていたが、志願する中には加虐心のある者もいたのかもしれない。この...続きを読む
  • 新装版 わたしが・棄てた・女
    昔読んだのでね

    なんだろうね、遠藤周作って表現が秀逸とかそこまでじゃないんだけど読みやすくてリズムがよくて読んだあと不思議な気持ちになるんよね
    戻ってくるのはいつもここなんかね
  • 新装版 海と毒薬
    読後、あぁなんかすごい小説を読んでしまった…と感嘆の声が漏れた。話の構成もとてもよく、深い海に引きずり込まれる感覚で読んだ。
    戦争末期、空襲でたくさん人が死んでゆく日常の、その時代を生きぬいた日本人にしかわからない殺伐とした空気。だが、この小説の問いらしきものには現代人の私も深く考えさせられる。

    ...続きを読む
  • 死海のほとり
    とてもよかった。

    沈黙、海と毒薬、深い川、白い人、黄色い人をこれまで読んできての本作。

    遠藤周作の考え方、向き合い方がだんだんとわかってきて、それでもまだ途上にいるんだなという感じがすごく伝わってきた。



  • 新装版 海と毒薬
    「ドクターM  ポイズン」を読んだ後、急に読みたくなる。
    多分、高校生くらいの時に一度読んでいると思うのだけれど、その時の記憶は無い。
    1986年の映画は観ていない。

    1945年、米軍捕虜に対して九州にある医大で実際に行われた生体実験が題材。

    戦後に、新しい土地に引っ越してきたサラリーマンの語り...続きを読む
  • 女の一生 一部・キクの場合
     遠藤周作『沈黙』の初版本を半世紀前に読んで以来、遠藤周作のテーマにはずっと寄り添ってきたつもりでいたが、数年前、念願かなって、二泊三日ではあったが、長崎を訪れる機会に巡り合った時、私は、彼の地の切支丹の歴史はもちろん、「長崎」というものの本質的な姿、実体などもろもろ何も分かってはいなかったことを思...続きを読む
  • キリストの誕生
    『イエスの生涯』の前にこちらを読んでしまったがものすごく興味深く読ませていただいた。

    日本人にとって、仏教よりもよほどとっつきにくいのがキリスト教、イスラム教だと思う。キリスト教について知りたいとは思うが、聖書はとても読めないなということできっかけとしてこちらの本を読んだ。

    神格化される前の無力...続きを読む
  • 新装版 わたしが・棄てた・女
    僕らの人生をたった一度でも横切るものは、そこに消すことのできぬ痕跡を残す。
    神はそうした痕跡を通して僕らに話しかける。
  • 女の一生 二部・サチ子の場合
    遠藤周作は「あとがき」にこう書いている。
    「どんな人間にもその人生には書くに足る劇があるのは当然だが、我々世代の一人一人にはそういう意味で個々の劇のほかに共通したドラマがある。私はその共通したドラマを主人公サチ子の中に書いてみたかった。「あっ、これは、わたくしだ。わたくしと同じだ」 毎朝、私の新聞小...続きを読む
  • 砂の城
    壊れゆくことをわかっていて作る砂の城。高校・大学の打算的だけれど甘酸っぱい青春がよく描かれている。大学から就職にかけて社会を知る時期というのは、ある種現実を知って社会に対する夢や希望が壊れる時期でもあると思う。それを感じられる作品。
  • P+D BOOKS おバカさん
    きっとこれを読んだ読者はみんな、ガストンさんはどうなったんだろうと思うんじゃないかな。

    昔、おバカさんは一度読んだ。
    いい本だったとずっと心には残っていたけど、ラストがずっと思い出せなくて、もう一度読んでみた。

    読んでみて、何でラストを思い出せなかったのか納得いった。

    人を信じること、傷ついて...続きを読む
  • 海と毒薬(新潮文庫)
    文章も展開の構成もうま過ぎて圧倒された(うまいとか当たり前なんだけど)

    作中で数人死にますが、人の命が途切れる瞬間の描写があっけなくてそれがさらに意味を重くしている
    死ぬところをネチネチと書かないところがすごいし、それぞれの死に対して読者も思うことが全然違うようにできてる
  • 海と毒薬(新潮文庫)
    米軍捕虜に対する生体解剖事件をモデルにした小説。「私」が引っ越してきた地で知り合った人々は、戦時中に暗い過去を持っていたという導入部分の描写が、以降の陰惨なストーリーを予感させる。
  • 王妃マリー・アントワネット(下)
    首飾事件の帰結から、マリー・アントワネットの処刑まで。フランス革命の混乱に翻弄された人生。何度も逃走し、全て失敗して最後は運命を受け入れたというのは初めて知った。終盤は妻として、母としての心理描写が多くて読むのが辛かった…。創作も一部あるけど、基本的に史実に基づいてるので教養として読んで良かった!