遠藤周作のレビュー一覧

  • さらば、夏の光よ
    微笑ましくもあり、あまりに哀しくもあり・・・
    喜怒哀楽のバランス・展開が実に絶妙です。
    プロローグから第一章への導入はとても印象的。
  • 悲しみの歌(新潮文庫)
    この世は「悲しみ」でできている。本書を読み終えてまず思った感想は、こうだ。本書は複数の文学賞を受賞し、映画化もされた著名な『海と毒薬』の続篇にあたり、同作に登場した勝呂医師がふたたび登場する。『海と毒薬』の内容をもう1度おさらいしておくと、第2次世界大戦の末期、九州帝國大學において、捕虜になった米兵...続きを読む
  • 彼の生きかた
    10年以上前に1度読み、この本がきっかけで遠藤周作が好きになった。
    「うすよごれた、陰険な人間の世界」「純真無垢な動物たちの世界」
    この2つの世界を対比させたとき、確かに人間って醜いなあと思った。利益のために自然を破壊する行為、共存を唱えても、権威のためには、動物愛護などの崇高な言葉は引っさげてしま...続きを読む
  • 悲しみの歌(新潮文庫)
    登場人物が、あちこちで関係を持つのがフィクションならではだが、勝呂医師には共感できる。勝呂を糾弾する記者折戸に対する同僚野口の言葉。「絶対的な正義なんてこの社会にないということさ。戦争と戦後のおかげで、ぼくたちは、どんな正しい考えも、限界を超えると悪になることを、たっぷり知らされたじゃないか。君があ...続きを読む
  • 怪奇小説集
    これは面白かった!
    さすが遠藤周作。短編でも、読みごたえ十分。
    最初のいくつかの短編は怖くて、夜一人では読めなかった~。
    そして、だんだん「怖いけど最後にオチのある面白い話」
    が多くなって、思わず笑ってしまった。
    いろんな種類の怖い話がいっぱいで、「この話はどんな終わりが待ってるのか」「次はどんな話...続きを読む
  • 沈黙

    神の存在について考えさせられる

    読んでみると、神の存在・信仰の盲点というか何が正解なのかわからなくなりました。
    非常に考えさせられる内容です。ぜひ興味ある方は読んでください。
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。
    手紙の大切さ、手紙の書き方について書かれている。
    当時に比べて今は手紙を書くことがあまりなくなって、この作品に教えてもらったことを実践する機会があるかどうかはわからないが、それでも読んでよかったと思えた。
    どんなコミュニケーションにも通ずることばかりだったし、何より、読んでいてとても楽しかった。
    ...続きを読む
  • 『深い河』創作日記
    人はそれぞれ誰にも想像すらできない、悩み、重荷も背負い生きている。そしてそれを下ろす方法を探している。この本ではインドへの旅へと向かう。
    人は集まると争いが生じる。宗教ですらそうだ。争うことでしかアイデンティティが保てないのか。人は他人と比較することでしかアイデンティティを保てないのか。
    大津は違...続きを読む
  • 悲しみの歌(新潮文庫)
    一つの時間に起こった出来事について、登場人物それぞれのシーンに時折切り替えながら物語が展開していくのですが、切り替えリズムが斬新で、独特の世界観が感じられました。登場人物一人一人の心情の動きの描写について、綺麗事だけでない苦しみや醜さの塊の部分も描かれている点が、尚心惹かれました。また、絶対の“正義...続きを読む
  • 侍

    『沈黙』よりももしかしたら、こちらの方が好きかもしれない。ずしーん、と心に重くのしかかってくる作品。
    自分のことや、友だちのことを考える時、信仰って一体なんだろう、と思うことがよくある。
    それでも信じ続ける理由?
    僕はまだ、よく分かりません。
  • 王妃マリー・アントワネット(下)
    マリー・アントワネットは、フランス王妃。14歳で結婚し、37歳でギロチン死刑となるが、フランス革命は王妃のお金遣いが荒いせいだけではなく、軍事費(アメリカ独立革命に干渉してのこと)によって財政の苦境に見舞われた。王妃のスキャンダルもあったが、実際は王だけで浮気はしていない。スウェーデン人ウェルセン伯...続きを読む
  • 王妃マリー・アントワネット(上)
    マリー・アントワネットは、フランス王妃。14歳で結婚し、37歳でギロチン死刑となるが、フランス革命は王妃のお金遣いが荒いせいだけではなく、軍事費(アメリカ独立革命に干渉してのこと)によって財政の苦境に見舞われた。王妃のスキャンダルもあったが、実際は王だけで浮気はしていない。スウェーデン人ウェルセン伯...続きを読む
  • 侍

    江戸時代初頭、仙台藩が送った遣欧使節の話である。主人公は、長谷倉六右衛門と宣教師ベラスコ。ベラスコの持つ、驕慢と野心、日本という困難な国で布教し、征服したいという野望。一方、侍の持つ、お役目に対する真摯さ、たとえ不条理なものでも定めと受け入れる愚直さ。この二人は対照的だが、読み終えてから気づいたのは...続きを読む
  • 反逆(下)
    遠藤周作著、「反逆」上・下巻を読む:
    大河ドラマに出演している田中哲司という俳優が、荒木村重役をなかなか、うまく演じていたので、改めて、荒木村重を考察する過程でこの作品を知ったので、読むことにした。戦国大名というものは、全く、主君を選ぶことも命懸けであること、又、その一族郎党ともども、ひとつ間違えば...続きを読む
  • 反逆(上)
    遠藤周作著、「反逆」上・下巻を読む:
    大河ドラマに出演している田中哲司という俳優が、荒木村重役をなかなか、うまく演じていたので、改めて、荒木村重を考察する過程でこの作品を知ったので、読むことにした。戦国大名というものは、全く、主君を選ぶことも命懸けであること、又、その一族郎党ともども、ひとつ間違えば...続きを読む
  • 女の一生 一部・キクの場合
    強いことが全てじゃないし、弱いことは悪いことだと思わないけど、自分の弱さのせいで他人に迷惑をかけたり不幸にするならそれは反省すべき改善点でしかないと思うのです。
    伊藤はそのことを知っているのに同じことを繰り返す。それは反省する自分に酔ってるだけ。弱き者はつべこべ言わずに従えばいいのです。それもまた強...続きを読む
  • 留学
    自分も留学している身だが、共感することが非常に多い。留学考えている人はネットにある留学体験談じゃなくてこの本を読んだ方が良い。
  • 悲しみの歌(新潮文庫)
    海と毒薬の後日端らしい。売ろうかと思ったが思いとどまり、読み出して止まらなくなった良作。落ち着いたときに、もういちど読み返してみたいものだと思う。
  • 女の一生 一部・キクの場合
    面白かった。江戸~開国の激動の時代における、キリシタンの扱い。その中でも愛を貫いて死んでいくキクの姿に感動。
  • 私にとって神とは
    遠藤周作の全著書に貫徹するテーマ、神の存在と働きについてどのように考えるのかを述べた書。日本人が取っ付きにくいとする宗教=ここではキリスト教に対し、いかに日本という土壌に照らして解し、神と向かい合って来たかを述べる。その取っ付きにくさの前提は、日本での教会のあり方に帰せられている。

    キリスト教徒と...続きを読む