小説・文芸 - 小学館文庫作品一覧

  • 太平洋の薔薇 上
    4.0
    カリブの海賊も慄くスペクタクル冒険小説!  柚木静一郎は、四十年近い船員生活の掉尾を飾る航海に出ていた。船長として乗り込んだのは、船齢二十四年の不定期貨物船パシフィック・ローズ。パシフィックローズは生ゴム一万二千トンを積んでスマトラ島中部のドゥマイ港を離岸した。目的地は横浜。そこが柚木の船乗りとして最後の寄港地となる。パシフィックローズは、娘の夏美を初めて乗せた船でもあった。  パシフィックローズはマラッカ・シンガポール海峡を航海中、ビンタン島沖合で船火事に遭遇する。要請を受けて救難に向かった柚木たちを待っていたのは、手痛い裏切りだった。パシフィックローズは、アララトと名乗る男が率いる集団にハイジャックされてしまう。船を乗っ取ったアララトは、北へ向かうよう指示する。彼らの目的は、積荷は身代金ではなかった。パシフィックローズは、世界規模のテロに巻き込まれようとしていた。  太平洋、ロシア、アメリカ、アルメニア……世界中を舞台に究極の生物兵器をめぐる攻防戦が始まる!
  • タイマ
    3.0
    大麻所持で逮捕された僕と彼女の運命の恋 ある日、新宿をひとりで歩いていた小説家の「僕」は警官に呼び止められ、大麻所持の現行犯で逮捕される。 「ふざけんじゃねぇよ!」 警官の恫喝を浴びながら、僕は執拗な尋問と家宅捜索を受け、過酷な留置場での生活に入る。だが、僕にとって何よりも辛かったのは、最愛の恋人・あいとの連絡が全く取れなくなってしまったことだった。 ストリップ嬢のあいと僕は、お互いを唯一の理解者として、不器用に愛を育んでいた。事情も知らされず連絡が途絶えた「僕」を、あいがどれほど心配しているだろう‥‥。 裁判を終え、ようやく釈放されて彼女と再会した僕を待ち受けていたのは、しかし、さらなる悲劇だった。 著者が小説家として、自身が起こした事件への答えをはっきりと表明した、悲しいほどに一途なラブストーリー。

    試し読み

    フォロー
  • タイムマシンでは、行けない明日
    4.7
    時空を超えて必ず出会う運命だった。 光二は、ロケット発射台のある南の島で育った高校生。いつか自分もロケットの研究をしたいと勉強に勤しむ一方、密かに同級生の長谷川葵に思いを寄せていた。  平沼は、仙台の大学の時空間の研究室で教授をしていた。過去を一切語らない彼を、周囲は不思議に思う。33歳の平沼を教授に抜擢したのは、齢90近くと噂される井神前教授だ。二人の間には誰にも言えない秘密があった。  別の人生を生きていると思っていたあらゆる人物達が一本の線上に連なる。時空を超えても人は出会うべき人と出会うようにできている。運命を信じたくなる物語。
  • 太陽の村
    3.5
    漂着したのは、理解不能の村だった。 「この村の秘密をしゃべってはいけない」 父親の定年を祝うハワイ旅行の帰りに飛行機事故に遭った坂木龍馬。 目が覚めると、家族とは離れ、ド田舎の村に漂着していた。電気・ガス・水道なし! 車すら走っていない。そこで暮らすのは、金太郎に、桃太郎。おまけに弥勒菩薩像の仮面をかぶった男まで現れる始末。田おこしや年貢、人身御供に仇討ち? なんて言葉まで聞こえてきた。どうやら日本語は通じるが、一体ここは、どこなんだ。ひょっとして、タイムスリップしてしまったのだろうか。本当にどうする俺。 やがて、主人公を待ち受ける究極の問いとは? 「文明と未開」の間に揺れる青年を直木賞作家が描く。 著者新境地のノンストップ・エンタテインメント!!

    試し読み

    フォロー
  • たき火をかこんだがらがらどん
    3.0
    行動派作家のすべてが楽しめる珠玉エッセイ集。 若き日の東京の記憶、家族や仲間と暮らしてたいろいろな家のこと、愛すべき本のこと、大好きなビールや麺や味噌汁のこと。そして旅のこと。日本のみならず、地球各所の驚くべき風景から、出会った人とのふれあいまで。行動し、書き、撮り続ける作家の30年がここにある。著者によれば「この本はこの二十年ぐらいのあいだに書いてきたエッセイをまとめたものである。読み返してみると自分でもとうに忘れていたけれど我ながら結構おもしろかったり、なかなか凄い体験をしてきたんだなオレは、などというものもあり、そのままチリガミ交換に出してしまうのも惜しい気がしたので、ここに晴れて一冊にまとめたというわけです」かつて同じ時代に生きた者が、忘れていた若き日の心と出会うことができるエピソードの数々。それは、単に懐かしいだけでなく、ちょっぴりほろ苦かったり、照れくさかったりで、それでもいい人生だったかもしれないと思わせてくれる。再び著者曰く「まあ、このような『わが人生の削りかす』のような、焚き火の燃料にしかならないような話が本になるのは一生に一度という気もする」──さあ、ビールでも飲みながら、あなたもこんな焚き火を一緒に囲みませんか?
  • 武田修羅伝(小学館文庫)
    3.0
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 信玄の実父信虎は武田家の基盤を固めた功は大なるものの、その冷酷非情ぶりを信玄、重臣達から嫌われて、京へ追放されていた。その信虎が30余年の時を経て信州高遠城に現れた。亡霊か?一体何が目的なのか?武田家の行末は?名将信玄亡き武田家を覆う疑惑と不信。戦国秘話に材を採った力作歴史長編!
  • 多甚古村 山椒魚(小学館文庫)
    4.0
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 南国の海浜の村に新しく赴任してきた甲田巡査は平和を愛する好人物。その甲田巡査の日緑のかたちで綴られた「多甚古村」は、飄々とした著者独特の文体で、ジグザグした人間模様が生彩を放ちつつ展開される。この他、棲家である岩屋の居心地のよさにうっかりと2年間暮らすうち、一生外へ出られなくなってしまった山椒魚の狼狽と悲しみを描いた「山椒魚」など、機智的ユーモアとペーソスに溢れた井伏文学代表作参作品を収録。
  • タッチ もうひとつのラストシーン
    4.1
    甲子園優勝から20年目の夏――松平孝太郎率いる弱小高校野球部ではふたごの新人生が活躍している。その姿に懐かしいあの兄弟が重なる。 上杉達也と和也。孝太郎がふたりの投球を受けた青春の日、浅倉南もそこにいた――。 あだち充原作の『タッチ』が初めて小説に。数々の名シーンはもちろんのこと、コミックには描かれていない隠れたエピソードも盛りだくさん。『タッチ』ファン必読、2005年秋公開の映画「タッチ」の感動もさらに広がる究極のサイドストーリー。あの不朽の名作が青春グラフィティ・ノヴェルとなってあらたに甦る。

    試し読み

    フォロー
  • 旅だから出逢えた言葉
    3.0
    1~4巻649~748円 (税込)
    悩むなら、旅に出よ。「言葉」を巡る紀行文。 「旅は、思わぬ出逢い、思わぬ人の一言を耳にして、考えさせられることが数々ある。このエッセイはそういう旅で出逢った言葉なり、人の行動を書いたものだ」(あとがきより) 世界を巡る作家・伊集院静が、20年以上続く国内外の旅の日々を振り返りまとめた、心に残る33の言葉。巡礼の道を辿ったスペイン、クロード・モネを取材した北フランスのルーアン、ウィスキーの蒸溜所を見学したスコットランド・アイラ島、白神山地の森を歩いた青森県。旅先の風景、忘れがたいエピソードとともに、フランシスコ・ザビエル、ヘミングウェイ、王貞治、城山三郎、恩師、家族らの言葉を紹介する。それらは何気ない事柄でも、私たちに人生を考えるヒントや勇気を与えてくれる。大切にしたい“ひと言”を見つけられる紀行文集、待望の文庫化!
  • 旅の理不尽(小学館文庫)
    4.1
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 一読爆笑、再読悶絶。一介のサラリーマンが旅で出会った珍エピソードの数々を、絶妙なタッチで描いた旅行エッセイ。口コミ人気で重版を重ねる幻の自費出版本が、メジャーデビュー。 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字サイズだけを拡大・縮小することはできませんので、予めご了承ください。 試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
  • タフ&クール ~Tokyo midnight レストランを創った男~
    -
    東京の夜を彩るレストランを生み出した男の波乱な人生。 新型コロナ対策の営業制限に対し、東京都を提訴したことで話題を呼んだ、グローバルダイニング長谷川耕造社長の波乱に満ちた自伝。ラ・ボエム、ゼスト、タブローズを始め、2002年にブッシュ大統領がお忍びで訪れたことで話題となった港区西麻布のレストラン・権八など、伝説の有名レストランを次々に作り出してきた長谷川耕造氏。横浜の酒屋の長男に生まれ、湘南高校を経て早稲田大学に学ぶも、中退してヨーロッパを放浪。帰国後、六本木にゼスト1号店をオープン以来、東京の夜を彩る様々な「大人の店」を送り出してきた。優秀な人材の育成と別離、そして上場へ。「本当のベンチャー経営者とは彼のこと」と評される長谷川氏の人生ドラマがここに。 (底本 2010年9月発行作品)
  • たまうら 玉占
    3.8
    心が柔らかくなる、あやかしエンタメ開幕! 愉しく読めて、ままならぬ浮き世も楽になる。 これぞあやかしエンタメの隠し玉! ――高田郁さん(作家)推薦! 「あんた、迷いを晴らしたいんだろ。いくら出せるかね?」 ●第一話 みれん玉 おみつは、三味線の稽古場で出会った京さんに惹かれている。京さんからもらったかんざしをなくしてしまったおみつは、占い老婆から「えにし玉」を渡される。 ●第二話 やっかい玉 おこうは、女主人お種の営む一膳飯屋・亀屋で働いている。浮いた話一つなく暮らすおこうに、占い老婆は「すかれ玉」を手渡す。 ●第三話 びびり玉 俵兵衛は、若殿から命じられた難題に、困り果てていた。解決の糸口が見つからないところで、占い老婆に出会い「肝っ玉」を借りる。 ●第四話 忘れ玉 正太は小間物屋の一人息子だが、記憶力が良くない。道に迷った正太の前に老婆が現れ、「覚え玉」を差し出す。 ●第五話 よくばり玉 団子屋で働きながらつましく暮らすしているトメには、毎日の楽しみがない。そんなある日、占い老婆から持っているだけで飽き飽きするほど金が入り込んでくるという「あきあき玉」を借りた。
  • 短歌という爆弾 -今すぐ歌人になりたいあなたのために-
    4.3
    人気歌人が放つ、衝撃の短歌入門書! 人気歌人、穂村弘による衝撃の短歌入門書が待望の文庫版を電子化。冷たく不気味な世界のすみっこで「短歌という爆弾」を炸裂させて、世界の心臓を爆破しよう。短歌の「製造法」(レッスン)、「設置法」(作った短歌をどう広めるか)、「構造図」(現代短歌の魅力の解剖)を、都市を疾走する歌人、穂村弘が熱く語る。文庫化にあたって、21世紀の短歌についての著者ロングインタビューを収録した。
  • 探検隊の栄光
    3.3
    2015年10月公開映画化原作!  80年代。効果音や独特の節回しのナレーションなど、サービス精神に満ちた過剰な演出で秘境の地を探検する人気テレビ番組シリーズの撮影クルーたちは、幻の大蛇・ヤーガを求めて亜熱帯の地を彷徨っていた。もちろん、架空のかたちでしか存在しないヤーガを「登場」させるべく、洞窟にて準備をしていたクルーの一人が、空になった薬莢などを発見。ほどなく、彼の地で現政府の打倒を試みるゲリラたちにより、クルーはあっけなく囚われの身となるが――。 ベストセラー「ちょんまげぷりん」作者がガツンと描く、スリル!笑い!男のロマン!に満ちた目眩く冒険譚。
  • タンタンの事件ファイル 横浜「佐藤さん」殺人事件
    3.3
    佐藤さんを巡る連続殺人にタンタンが挑む! たんぽぽ探偵事務所に、佐藤優子が調査の依頼にやってきた。脅迫状が届いたというのだ。その前に所長の岸翔太は、佐藤大和の殺害現場に名刺が残されていたことで、取り調べを受けていた。そして、相次いで「佐藤」という名字の人物が、殺されていく。  翔太の相棒は、おしかけ社員で、言葉を知らないために時々変な会話になるが、可愛い鈴木海鈴、通称マリン。たんぽぽ探偵事務所、通称タンタンのこの2名のほか、翔太の大学の時の先生で、博学でありながらミーハーな所もある知識豊次郎と3人で、調査を進めていく。  「佐藤」に拘る犯人の真意とは。  マリンちゃんの不思議な魅力がいっぱいの、書き下ろしユーモアミステリー。

    試し読み

    フォロー
  • タンタンの事件ファイル2 横須賀「鈴木さん」殺人事件
    3.0
    関係者が鈴木さんばかりの謎と真相に挑む!  岸翔太と鈴木マリンのたんぽぽ探偵事務所、略してタンタンのところへ新しい依頼人が訪れた。鈴木清美殺害の容疑者にされたという鈴木丈太郎の無実を証明して欲しいというものだった。首を吊って亡くなっていた清美だが、その木には鈴が四つぶらさがっていた。  調べを進めていくうちに、事件の関係者になぜか「鈴木」」姓が多いことに気付く。翔太の恩師である知識先生にも協力してもらい、この事件の謎と真相に迫っていく。最後には、マリンの両親にまつわる秘密が関わってきて……。  翔太とマリンが活躍する、書き下ろしユーモアミステリー第2弾!

    試し読み

    フォロー
  • ダイアナ・メッセージ(小学館文庫)
    -
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 聖と俗の狭間を奔放に駆け抜けたダイアナ妃の軌跡。それは一人の女性の魂の戦いでありながら、同時に、多くの女性たちへの励ましのメッセージである。彼女の突然の死によってその事実は一層明確な相貌を現した。 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字サイズだけを拡大・縮小することはできませんので、予めご了承ください。 試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
  • 代行返上
    3.3
    2003年、大手信託銀行で年金基金や運営のコンサルタントに携わる河野が主人公。金融市場低迷期に大企業の代行返上が始まった。その具体的内容と一般サラリーマンが手にする企業年金への影響はどうなるのか――。金融マーケットに蠢く外資系ヘッジファンドの狡猾なスキームや、年金基金で地道に働く人々の姿が緻密な取材のもとに描かれている。『年金改革』に先駆けた企業年金の内幕小説。

    試し読み

    フォロー
  • 大コメ騒動 ノベライズ
    4.0
    映画『大コメ騒動』を完全ノベライズ化! 「コメを旅に出すな---!」 時は1918(大正7)年、富山県の貧しい漁師町で起こった「米騒動」。井戸端から社会を変えた、日本の女性が初めて起こした市民運動といわれる騒動で活躍したおかか(女性)たちの奮闘ぶりを臨場感たっぷりに描き出す“大痛快”エンタテイメント映画『大コメ騒動』(監督・本木克英、主演・井上真央。2021年1月8日より全国公開)を完全ノベライズ化! いつも周りの目を気にしているが、日に日に米が値上がりし、追い詰められる中で、諦めるばかりでは何も変わらないと自覚し、やがて騒動を引っぱっていく存在となる松浦いとを演じるのは井上真央さん。そのほか豪華な俳優陣たちが演じる個性的な富山のおかかたちの奮闘ぶりを小説で活写します。 おかかたちは、どうする? どうなる? 命の源であるコメを守れるのか? 子供たちを、家族を、守りきれるのか!? ぜひおかかたちの活躍ぶりを映画で、ノベライズで、見届けてください。
  • 大脱走
    3.9
    「オケ老人!」作者が描く新しいお仕事小説。 中堅よりやや落ちるレベルの女子大を卒業した片桐いずみは、就活で大苦戦し、ようやく住宅リフォーム会社に内定した。しかし、入社早々、理不尽に怒鳴りまくる部長・大木田の姿を目にして生ぬるい空気が一変する。 それから、3年。なんとか社内でのポジションをキープしながら鬼の飛び込み営業を続けていたある日、片桐に新人の部下が付く。だが、これが、前代未聞のとんでもないやる気のない男だったのだ。連日連夜、超絶無気力新人・俵の教育に骨を折るものの、一向に改善の余地は見られない。業を煮やした大木田はある策に出るのだが――。
  • 大脱走 英雄〈ビッグX〉の生涯
    -
    あの大脱走を指揮した男の、知られざる生涯。 スティーブ・マックイーン主演の名作映画『大脱走』(63年)のモデルとなった、第二次世界大戦中最大、200人の大脱走計画。この計画を指揮した実在の人物、〈ビッグX〉ことロジャー・ブッシェル少佐の34年の生涯を描いた伝記が本邦初訳されます。  映画ではリチャード・アッテンボローが演じた、空前絶後の集団脱走を指揮したロジャーとはどんな人物だったのか。著者は、本人の手紙や母の日記、公文書などの記録、生存者の証言からその人物像に迫ります。法廷弁護士資格を持ち、スキー選手としても活躍、9カ国語を操ったというロジャー。南アフリカで育った幼少期から、ケンブリッジ大学で過ごした青春期、3人の女性との恋愛、英国予備空軍「第601飛行中隊」入隊、そして捕虜になるまでの生い立ちとともに、映画では描ききれなかった全3回にわたる大脱走計画の全貌が、今初めて明かされます。  映画『大脱走』のファンはもちろん、映画を知らない若い世代も必読の英国発傑作ノンフィクション。
  • 抱き桜(小学館文庫)
    4.5
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 昭和30年7月。夏休みのある朝、小学4年生の広之は大阪から夜逃げしてきた家の子・勝治と出会った。無邪気な少年同士の友情は、親たちの抱える複雑な情と事情に流されて、ひりひりとした痛みを帯びていく。ひと夏の体験とかつて荒くれ者だった父が酔って語る魂の話は、広之の心に何を刻むのか-戦争の傷跡残る和歌山を舞台に、ふたりの少年の出会いと友情、そして別れを軸に、大人たちの人情の機微と愛情を情感こめて綴った、ふたつの家族の物語。
  • 駄犬道中おかげ参り
    3.8
    日本アカデミー賞作家が描く愉快痛快珍道中。 時は文政十三年(天保元年)、おかげ年。民衆は六十年に一度の「おかげ参り」に熱狂していた。 博徒である辰五郎は、深川の賭場で多額の借金を背負った夜、お伊勢講のくじに当たり長屋代表として伊勢参りの旅へと出発する。 途中で出会った代参犬の翁丸、奉公先を抜け出してきた子供の三吉、訳ありな美女・沙夜と家族のふりをしながら旅を続けるなか、ダメ男・辰五郎の心にも変化があらわれて……。 借金を回収しようと追いかけてくる殺し屋・菊佐から逃げ回り、ひしゃくとガマの油で路銀を稼ぎ、地元の名産品には舌鼓。笑いあり、涙あり、美味(グルメ)ありの愉快痛快珍道中。 『超高速!参勤交代』『引っ越し大名!』の著者による傑作時代長編! ※この作品は過去に単行本として配信されていた『駄犬道中おかげ参り』 の文庫版となります。
  • DASPA 吉良大介
    3.8
    1~2巻902~935円 (税込)
    警察キャリア官僚が国家の危機に立ち向かう。 DASPA(ダスパ)――国家防衛安全保障会議。テロをはじめ国家の非常事態に的確に対応するため、内閣府に設置された各省庁からの選抜精鋭チーム。 吉良大介――警察庁警備局出身、要となるインテリジェンス班サブチェアマンに抜擢されたキャリア官僚。「日本をバージョンアップする」が口癖の長身イケメンのこの男、仕事はできるが女性に弱い。   DASPAのスタートを目前に控えた日、中目黒のマンションでひとりの白人男性が毒殺された。その目的は? 背後で蠢くものとは? 人気シリーズ『巡査長 真行寺弘道』とリンクする著者渾身の書き下ろし痛快エンターテインメント小説。
  • 脱出老人 フィリピン移住に最後の人生を賭ける日本人たち
    3.7
    高齢化社会の将来を占う渾身ルポルタージュ。 一年中温暖、物価は日本の3~5分の1、やさしく明るい国民性、原発ゼロ、年の差婚当たり前。日本で寂しく貧しく苦しい老後を過ごすなら、いっそのことフィリピンで幸せな老後を送りたいと、日本脱出の道を選んだ高齢者たちは少なくない。はたして、老後の楽園はフィリピンにあるのだろうか。 果たして、現実は……。 恋人候補200人のナンパおじさん、19歳の妻と1歳の息子と、スラムで芋の葉を食べて暮らす元大手企業サラリーマン、東日本大震災を機に、東北から原発ゼロのフィリピンに移住した夫婦。ゴミ屋敷暮らしだった母親をセブ島に住まわせる娘、24歳年下妻とゴルフ三昧の元警察官。90歳の認知症の母親をフィリピン人メイドと介護する夫婦、「美しい島」で孤独死を選んだ元高校英語女性教師……。さまざまな「脱出老人」のジェットコースター人生を、開高健ノンフィクション賞受賞作家が、フィリピン&日本で3年間にわたり徹底取材した衝撃のノンフィクション。 「老後の幸せ」「人間の幸福感」とは何かを浮き彫りにする、話題作。 解説は、映画監督の崔洋一。 ※この作品は過去に単行本として配信されていた『脱出老人』の文庫版となります。
  • 脱藩さむらい
    3.5
    『付添い屋・六平太』に続く新シリーズ!  香坂又十郎は、石見国、浜岡藩城下に妻の万寿栄と暮らしている。お役目は、市中警護、犯罪の取り締まりや犯人の逮捕に奔走する奉行所の町廻り同心頭である。田宮神剣流の使い手であり、御前試合で十人抜きを果たした剣の腕を買われ、斬首刑の執行も行っていた。  浜岡藩は、海に恵まれた土地でもある。漁師の勘吉と釣りに出かけた又十郎は、外海の岩場で脇腹に切り傷のある水主の死体を見つける。浜で検分を行っていたところ、大目付の下知により、死体は持ち去られてしまった。又十郎の義弟兵藤数馬は、水主の死について不信を抱いていた。数馬によれば、水主の正体は、公儀の密偵ではないかというのだ。後日、当然城内に呼ばれた又十郎は、謀反を企んで出奔した藩士を討ち取るよう命じられる。追うべき藩士の名は、兵藤数馬であった――。追討をしくじれば、罪は縁戚にも及ぶという。又十郎の重く孤独な追跡行が始まる!
  • 脱獄者たち(小学館文庫)
    -
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 脱獄後、裁判官になった男や社長になった男、夜な夜な牢を抜け出して逢い引きしていた女……。集団脱獄や超法規措置で出獄する赤軍派。自由を求め、果敢に塀を乗り越えていった囚人たちの波瀾に満ちた物語。脱出したところで、やはり管理された社会。管理される側が管理なれして、自由な世界への強烈な脱出意欲やエネルギーを失った現在、塀の内と外での管理の合理化、効率化の差はせばまり、脱獄の時代は挽歌を奏でている。解説・朝倉喬司。 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字サイズだけを拡大・縮小することはできませんので、予めご了承ください。 試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
  • 弾正星
    4.5
    心蕩かす悪の爽快感! 花村時代小説の至宝。 時は戦国、下剋上の世。京都・相国寺近くある三好家の屋敷に、その男松永久秀はいた。得体の知れぬ出自でありながら、茶の湯に通じ、右筆として仕える野心家である。気に食わぬ者は容赦なく首を刎ね、殺害した女を姦通し、権謀術数を駆使して戦国大名へと成り上がっていく。さらには将軍足利義輝を斃し、東大寺大仏殿を焼き討ちにしてしまう。信長ですら畏れた稀代の怪人・松永弾正を突き動かすものは、野望かそれとも……!?  戦国時代を彗星のように駆け抜けた武将の生きざま・死にざまを、「弟」として仕えた丹野蘭十郎の眼を通して活写する。 芥川賞作家・花村萬月氏が戦国時代を舞台に「悪とは何か」を問う新感覚時代小説。皮膚感覚を狂わせる暴力に戦慄を覚え、匂い立つようなエロスに耽溺する物語世界はますます磨かれ、かつまた、悪業の限りを尽くす主人公を愛嬌たっぷりに描き、読了後に寂寥感すら抱かせる筆運びは圧巻です。「突き抜ける悪の爽快感」はまさに花村時代小説の至宝といえます。 単行本が発売された2014年には、「この時代小説がすごい! 2015年版」で4位に、また、週刊朝日の「決定! 歴史・時代小説ベスト10」で3位にランクインしました。 カバーイラストは人気イラストレーター・寺田克也氏です。
  • ダークマター スケルフ葬儀社の探偵たち
    3.0
    スコットランド発、女三世代のミステリー。  エディンバラで100年続き、10年前からは探偵業も営んでいるスケルフ葬儀社。当主ジムが亡くなり火葬した直後、70歳の妻ドロシーはジムのある秘密を知ってしまい愕然。45歳、バツイチの娘ジェニーは解雇通告を受け、中年の危機も相まってメンブレ状態。20歳の孫娘、大学生のハナはフラットメイトのメルが突然失踪し、衝撃を受ける。三世代の悩める女たちは、それぞれの「案件」を解決しようと様々な行動に出るが……。  傷つきながら現代を必死に生きる各世代の女の「リアル」に、苦笑したり、熱くなったり、ホロリとしたり。2020年マッキルヴァニー賞最終候補作、美しい街を舞台に繰り広げられるスコットランド発ブラックユーモア・ミステリー。
  • 小さな江戸を歩く 西国路編 出石~竹富島(小学館文庫)
    -
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 山中の赤いベンガラの家並を捜して有田に飛び、水軍の造った雅な建物を見に塩飽本島を訪ねる……。日本全国50か所、江戸の風情を今にとどめる街並を訪ね歩いた大人の旅。懐しくて新鮮な日本の素顔が見えてきます。 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字サイズだけを拡大・縮小することはできませんので、予めご了承ください。 試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
  • 小さな江戸を歩く 東国路編 江差~富田林(小学館文庫)
    -
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 最後の語り部に会いに遠野へ走り、町の7割が江戸の建物という奈良・今井町で歴史に浸る……。日本全国50か所、江戸の風情を今にとどめる街並を訪ね歩いた大人の旅。懐かしくて新鮮な日本の素顔が見えてきます。 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字サイズだけを拡大・縮小することはできませんので、予めご了承ください。 試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
  • ちえもん
    -
    歴史小説の新鋭による驚くべき書き下ろし! 単行本発売時、各紙誌が大絶賛した傑作歴史長編! 寛政十年(1798)十月、長崎湾の沖合で巨大オランダ船が座礁した。 船は底部を大きく 損壊して浸水。 浜近くへ曳航したが再び座礁、沈船となった。 オランダ商館は長崎奉行所に積み荷の陸揚げを要請。 奉行所は町方村方にまで浮かし方の工夫を募った。 そこへ名乗りを上げたのは、周防の小村で生まれ、友とともに「自由」を追い求めたかつての少年の一人だった。 「浜でのささやかな幸せなど、浦から離れられん跡取りたちに呉れてやれ。俺たちげな食み出し者は、この浦でろくな生き方ができんぞ。もっと欲張れ! 和主を誘うたのは、跡取りでなかったからじゃ。浦のくびきから自由じゃけ誘うた。いずれ、漁場を得る。櫛ヶ浜よりもっと大きな漁場じゃ。もっともっと稼げる浦の網元になれ」 歴史作家・飯嶋和一氏は、本書に特別に寄せた推薦文でこう語った。 「中心人物はいずれも海村の次三男である。家を継ぐ長男以外は『余計者』であり、穀潰しでしかない。‥‥既存の頑迷な社会システムに屈従して生きるのか。あるいはそれをくつがえすのか。‥‥くつがえそうとすれば、かなりの圧力が社会から加えられることになる。が、必要なのは勇気と知力だとこの小説家は語る。はかなく脆い夢や希望ではない、と」 そしてまた、 「この小説家は初めて過去の歴史的な素材を描くに当たって、あえて無名の、しかも地方の庶民を選択した。‥‥むろん負荷も、また力負けする危険も高い」 日本初、巨大沈船引き揚げに成功した男の生涯! 歴史小説の新鋭による驚くべき書き下ろし! ※この作品は単行本版として配信されていた『ちえもん』の文庫本版です。
  • 地球先生
    -
    愛と勇気と希望が生まれる青春小説。 《駅のトイレなどに比べると、ファミレスは清潔だし早朝は人も少ない。ぼくは時間をかけて顔を洗い、ていねいに歯を磨くと、安物の電気シェーバーでひげを軽くあたった。  身なりはできるだけ気を使うようにしている。ねぐらを失くしてからも、なんとか仕事を見つけてしのいでいけるのは、こういう当たり前の感覚を喪っていないからだ。その一線を越えると、ホームレスと同じになってしまう。  いや堕ちたっていいのだ、と囁く自分もどこかにいる。生きがいも目標も、とうに失くしていたからだ。》ーー本文より  母の死と派遣切りをきっかけに家を失い、日雇い労働で生活をつなぎながらカプセルホテルに寝泊まりするケンジ。そんな中で、社会起業家を目指す台湾の女子大生メイランと、街角のゴミを集め環境問題を研究するオッサン「地球先生」と出会う。それをきっかけに、ケンジは後ろ向きに生きて来た自分を思い直し、人生を立て直していくことを誓う。  ところがある日、台湾に帰ったメイランから、SOSのメールが届いた…。  人はどんなに辛い状況に陥っても、必ず再生できる。そんな勇気と希望が生まれる、心温まる青春小説。
  • 恥辱
    4.0
    過去に囚われている二人の女性の贖罪の物語。 私ではなく、彼こそ生き残るにふさわしい人間だったのだ――。母親の自慢でもあった、何もかも完璧な兄の死をトラウマとしている女医、38歳。自分でからだを動かすことすらままならない異常な肥満で部屋に閉じこもった50代女性。過去に囚われ、誰も信じることができず、究極の孤独を抱えた二人が人生の歯車を狂わせた先に出会った時……。ベスト北欧推理小説賞受賞の実力派女性作家が描くサイコサスペンスの傑作!
  • 父と娘の肖像(小学館文庫)
    4.0
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 著名人女性21人と3人の父親から聞いた「父娘関係二十四様」。そこには、素直になれないもどかしさもあれば、年を経て初めてわかる思いもある。登場するのは横峯さくら、飯星景子、野田聖子、大石静、南場智子、阿川佐和子、宇津木麗華、北斗晶、岡本依子、山本美香、成田真由美、細川ふみえ、潮谷義子、矢部美穂、大岩千穂、大貫妙子、杉田かおる、片岡安祐美、米原万里、藤ジニー、鈴木貴子、鳥越俊太郎、丸山和也、永六輔(敬称略・掲載順)。
  • 父のおともで文楽へ
    3.7
    父と私と文楽。共感度100%の家族小説。  母の3回忌の法要で、佐和子は実家を訪ねた。久しぶりに顔を合わせた父・敬一郎から文楽を観に行こうと誘われる。仕事が休みの土曜日、小学生の娘・梨々花は別れた夫・義彦との面会日で家にない。「面白いぞ」と敬一郎は言うが、半信半疑で国立劇場へ向かった。  演目は『心中天網島』だった。天満で紙屋を営む治兵衛が曾根崎新地の遊女と恋仲になり、妻子を捨てて心中するという筋書きだ。治兵衛は、妻のおさんへの未練も断ち切れず、遊女の小春との心中も踏ん切りがつかない。佐和子はまったく共感できなかった。そんな佐和子に、「また付き合え」と敬一郎は言った。  ニューヨーク州の弁護士資格も持ち、アメリカで仕事をする予定の義彦が、梨々花を連れていきたいと言い始めた。佐和子は梨々花を手放したくないが、契約社員としての収入は多くなく、夫からの養育費に頼る身だ。そんな中、敬一郎から検査入院をすると連絡が入る。  37歳でシングルマザー、派遣社員の佐和子には、精神的にも経済的にもゆとりは少ない。公私に亘って、課題が山積みだったが……。
  • 中国食品工場の秘密
    3.0
    毒ギョーザ事件の背景に迫る渾身のルポルタージュ! 2008年1月に発覚した毒ギョーザ事件。その容疑者が2年あまり後の2010年3月に拘束された。中国の食品工場で、いったい、なにが起きていたのか? 5年にわたり、中国をはじめとする海外の日本向け食料製造現場を取材し続けた気鋭のジャーナリストが、骨無しカレイから、エビフライ、アジフライ、タコ焼き、ブロイラー解体、鮨ネタづくりまで、ありとあらゆる中国の食品工場を取材し、その実態をリポート。著者自ら撮影した写真もふんだんに掲載。話題の単行本『食料植民地ニッポン』(小学館)の姉妹版となる、文庫書き下ろし作品を電子化!

    試し読み

    フォロー
  • 中年前夜
    3.3
    私はいつまで女でいられるのか? たるんできた、くすんできた、しぼんできた…。  明日から“魔女”として生まれ変わるのか? それともオバサンとして暮らしていくのか…?  40代、いま決断の時。  女性セブン本誌にて2006年3月から2007年1月にわたって連載した人気長編小説を電子化。37歳の週刊誌編集者、39歳の専業主婦、42歳の美容整形医院事務長の3人の女性を主人公に、現代を生きる女性たちの悩みや葛藤をリアルに描いていく。セックスレス、美容整形、ホストクラブ、出会い系サイトなど、世相を反映したシリアスなテーマを散りばめながら、忍び寄る「老い」におののきつつも、うまく枯れていくことができない「中年モラトリアム世代」の女性たちの心情を綴った、衝撃の「アンチエイジング小説」。
  • チューバはうたう―mit Tuba
    4.0
    太宰治賞受賞の名作待望の文庫版を電子化! 二六歳女性。独身。製薬会社勤務OL。仕事にも男性にも情熱を抱くことはできないが、情熱を傾けることができるものがひとつだけある。それはチューバを吹くこと。中学のブラスバンド部で背が高いからと割り振られた楽器がチューバ。社会人になっても、ひとり孤独な音楽家として演奏している。そんな時、彼女はバルカン半島で活動するバンドを知り、その音楽に衝撃を受ける……。第23回太宰治賞を受賞した表題作ほか2作を含む傑作小説集。
  • ちょうかい 未犯調査室 1
    3.0
    1~3巻627~671円 (税込)
    構想7年、「僕僕先生」作者心境地3部作!  通島武志は、朝の通勤で混み合う地下鉄のなかでかつての部下、枝田千秋に出会った。しかし、それは偶然でもなんでもなかった。由あって一線を退いていたこの元刑事にとっての新天地が、警察庁の外郭団体、犯罪史編纂室であり、千秋はそこの室長を任されていたのだ。  東京・吉祥寺の古ぼけたビルの一室に居を構えるこの編纂室に招集された他の人員も皆、一度は辞職願を出したほどの訳あり揃いの輩たちだった。そして、警察庁情報通信局長の岩崎から、本当の密命を告げられた武志は愕然とする。その任務とは、これから起こる犯罪を未然に防げ、というものだった――。
  • 挑戦 巨大外資 上(小学館文庫)
    3.3
    1~2巻803~825円 (税込)
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 1970年、世界的コングロマリット「ワーナー・パーク」の日本法人に経理本部長としてヘッドハンティングされた池田岑行は、入社早々にしてメーンバンクの変更、経理部門の再編など、停滞していた社内に次々と改革を成し遂げる。しかし、その裏で彼を待ち受けていたものは、追い落としを図ろうとするライバルたちの卑劣な罠だった-。公私混同著しい上司との対決、陰謀と策略渦巻く、一瞬の隙も許さぬ人事抗争、相次ぐCEOの解任…。"非情の外資"を、その卓越した財務戦略で30年にわたって生き抜いた唯一無二の日本人、「奇蹟のCFO」と呼ばれた男の目をとおして見た、巨大外資企業の真実。
  • 超短編! ラブストーリー大どんでん返し
    3.7
    1話4分、必ず騙される!31の恋愛掌編集。 かつて天才ギタリストと称された佐木山義徳。セルマは彼を愛し共に暮らした。だがアルコールに溺れる佐木山の暴力を受け、セルマは彼から離れることに。そして今、復活を果たしたステージに現れた佐木山は……。(「ジャンゴリウムにて」) ある日、僕が拾った種。植えると花が咲いた。愛情込めて育てるうち、花には言語習得能力があり、会話を交わすようにさえなる。寂しがり屋の花にせがまれるまま、でっち上げの物語で花の美しさを称える僕。すると突然、「もっと美しくならなきゃ」と花は家を出て行き……。(「宇宙花と暮らしてみた」) 少女は生まれつき耳が聞こえない。ある日、彼女の家にモーツァルトと名乗る人物がやってきた。大雨に立ち往生し、泊めてほしいと言う。彼は机を指で叩き、その振動を感じた少女はときめきを覚えた。美しい<音楽>だった。彼のことが忘れられぬまま、3年がたった頃……。(「アマデウスの雨宿り」) 古今東西、老若男女を巻き込む様々な恋愛模様と、あっと驚くどんでん返し。1話4ページに詰め込まれたきらめきをご堪能あれ。 「黒猫」シリーズ、「偽恋愛小説家」シリーズで圧倒的人気を誇る著者の新機軸ショートショート集!
  • 直撃取材! 蛇頭「密航者飼育」アジト(小学館文庫)
    -
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 激増する密航者と凶悪化する犯罪。その裏には「蛇頭」と呼ばれる一大犯罪ネットワークの存在があった。世界を股にかけるジャーナリスト集団が、密航・密輸の関係者や蛇頭メンバーを直撃取材。その綿密な取材と多くの証言から、彼らの密航テクニック、窃盗・密輸手口、日本人蛇頭の存在など衝撃の全容を解明する。
  • ちょんまげぷりん
    3.8
    1~2巻605~627円 (税込)
    理想のモテ男は、お侍でした。 シングルマザーの遊佐ひろ子は、お侍の格好をした謎の男と遭遇する。男は180年前の江戸時代からやってきたお侍で、木島安兵衛と名乗った。半信半疑のうちにも情が移り、ひろ子は安兵衛を居候として家に置くことに。安兵衛も恩義を感じて、家事の手伝いなどを申し出る。その所作は見事なもので、炊事・洗濯・家事などすべて完璧。仕事で疲れて家に帰ってくるひろ子にとって、それは理想の「主夫」であることに気づく。 安兵衛は料理のレパートリーを増やし、菓子づくりに挑戦。これが評判を呼び、お侍の格好をした「ござる」口調の天才パティシエとして時の人となるが――。

    試し読み

    フォロー
  • チーム!上
    4.0
    1~3巻715~759円 (税込)
    卓球少年たちの熱い友情と戦いを描く! 第1話「チームふたり」は、東小卓球部のキャプテン大地が主人公。小学校最後となる大会で県大会出場を目指す大地は、同じ6年生の誠とチームを組むことを望んでいました。しかし、顧問の辻先生から告げられた相手は5年生の純。納得がいかないまま練習を続ける大地の前に、今度は卓球どころではない問題が。大型バスの運転手として働く父親が会社を解雇され、そのショックから家に引きこもってしまったのです。同じころ、女子部では、大会に臨む考え方の相違から部員が分裂状態に陥っていました。双方の女子から相談を受けた大地は、放っておくこともできず……。多くの問題を一度に抱えて、大地は、東小卓球部はどうなっていくのでしょう。そして、困難を乗り越えた先にあるものとは……。 続く「チームあした」では、新キャプテンとなった純が難題に立ち向かっていきます。舞台は「チームふたり」から約半年後。東小卓球部では、全日本選手権でベスト8に入った経歴を持つ新コーチ大滝を迎え、「県大会優勝」を目標に掲げて練習に励んでいました。ところが1か月もたたないうちに、コーチが突如、音信不通に。自分の力不足が原因ではと悩む純の前に中学生になった大地が現れます。さらに、ライバル西小卓球部のキャプテン富田林が現れて、次の大会で西小が東小に勝ったらコーチをもらう!と宣言。果たして東小卓球部の運命は? 中学生になった大地たちの成長も見逃せません。
  • 追憶
    4.0
    岡田准一主演! 映画「追憶」原作小説!  二〇〇六年三月、王貞治監督率いる日本代表は、第一回ワールドベースボールクラシックで世界の強豪国と激戦を演じていた。同じ頃、北海道警察本部刑事部捜査一課の四方篤は、すすきののラーメン店で、野球仲間だった川端悟と二十九年ぶりの再会を果たす。川崎市在住の川端は、金策のため北海道にやって来たという。  その翌々日、小樽市郊外の臨海部で川端悟の刺殺死体が発見された。悟は死の前日、娘との電話で「懐かしい人たちに会った」と言い残していた。四方は、容疑者として浮上した人物もまた、古い友人であることを悟る――。
  • 追尾~みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎~
    3.8
    舞台は東北自動車道、驚愕のノンストップ誘拐捜査! 岩手県雫石高原を目指していた大手進学塾・首都圏ゼミナールの強化合宿バスがハイジャックされた。人質は、難関中学合格を目指す小学五年生三十名。犯人は身代金十億円を要求する。車内には、停職中の警視庁捜査二課管理官・田名部昭治も娘とともに同乗していた。  大和新聞東北総局遊軍記者の宮沢賢一郎は、犯人グループが金融取引の専門知識を悪用して身代金奪取を企てていることに気づく。警視庁捜査一課特殊班捜査係(SIT)、特殊急襲部隊(SAT)をも翻弄する身代金受け渡しスキームを、宮沢と田名部は阻止することができるのか。バスは東北自動車道を北上、タイムリミットが刻一刻と迫る!  すぐれた警察小説にして映画『スピード』も顔負けのノンストップ・サスペンス。誘拐ミステリーの新たな傑作が、文庫書き下ろしで誕生!
  • ツインズ twins―続・世界の終わりという名の雑貨店
    3.4
    君が亡くなり独り残された僕は、君の最期の手紙に返信を書き始める。それは、二人の出逢いから別離までを描いた小説とも読めるものだった。僕はその文章に「世界の終わりという名の雑貨店」と題名をつけ、出版社の知人に送った。それが編集者の目に止まり、僕は小説家としてデビューすることに。  処女作は予想外に売れ、新作を期待されたが、いつしか僕は、以前にも増して死を思うようになる。そして洗礼を授かり訪れた教会で「彼女」と出会うのだが…。 『ミシン』所収の名作「世界の終わりという名の雑貨店」の続編として描かれた切ない純愛長編。

    試し読み

    フォロー
  • 津軽鎮魂の森(小学館文庫)
    -
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 元禄時代、弘前藩四代藩主津軽信政は世界でも希な、南北40キロ、東西5キロという長大な防風保安林の建設に成功した。彼の地は砂丘地で、さまざまな悪条件を乗り越えて100万本の植林地帯を現出させたのである。これによって弘前藩は実に7倍の石高をあげることになった。その中心となったのが帰農武士、安倍礼次郎と百姓たちであった。彼らは餓死する者たちへの鎮魂のために、柏、黒松を植え、育んでいった。本書は、史実を元にした名もない者たちの苦闘の物語である。
  • 津軽百年食堂
    4.2
    2011年4月2日(土)全国ロードショー!百年の刻を超える「こころ」の物語。ふるさと「弘前」を離れ、孤独な都会の底に沈むように暮らしていた陽一と七海。ふたりは運命に導かれるように出逢い、惹かれ合うが、やがて故郷の空へとそれぞれの切なる思いを募らせていく。一方、明治時代の津軽でひっそりと育まれた賢治とトヨの清らかな愛は、いつしか遠い未来に向けた無垢なる「憶い」へと昇華されていき……。桜の花びら舞う津軽の地で、百年の刻を超え、営々と受け継がれていく<心>が咲かせた、美しい奇跡と感動の人間物語。

    試し読み

    フォロー
  • 突きの鬼一 赤蜻
    3.8
    博打好きの殿様に襲いかかる忍び精鋭4人!  尾張徳川家の北隣、美濃北山三万石の舵取りを誤り、弟・重二郎に藩政をゆだねて出奔した殿さま・百目鬼一郎太は、博打に目がないのが玉に瑕。中山道板橋宿の手前で、江戸三大青物市場のひとつ、駒込土物店を差配する槐屋徳兵衛主従三人を危難から救ったのが縁で根津に身を落ち着けることになる。北山藩上屋敷には、時の将軍・家斉の娘で一郎太が愛して止まない正室静がいたが、表立って顔を見ることは叶わない。重二郎可愛さに、嫡男・一郎太の命を狙う実母桜香院とその腹心の国家老・黒岩監物が江戸入りしたからだ。監物と入れ替わり、国元に戻ることになった江戸家老・神酒五十八によれば、黒岩家の用人が密かに木曽御嶽山の麓にある羽摺りの隠れ里に向かったという。一郎太とともに江戸で暮らす五十八の嫡男・神酒藍蔵は力士と見紛う偉丈夫だが、無類の心配性。あれこれ気を揉む藍蔵を尻目に、江戸の賭場八十八か所巡りを企てる一郎太。一方、監物の放った羽摺りの精鋭4人は、江戸に潜入して虎視眈々と手を打っていた。四天王と異名をとる羽摺りとの死闘、そして、ついに鬼一の秘剣・滝止の由来が明らかになる!
  • 突きの鬼一 岩燕
    4.0
    最凶の敵、黄龍!お前だったのか!  突きの鬼一こと百目鬼一郎太と供侍・神酒藍蔵の江戸暮らしは風雲急を告げていた。実母桜香院とその腹心の国家老・黒岩監物が放った羽摺り四天王の生き残り3人が虎視眈々と一郎太の命を狙っている。さらに、一郎太と藍蔵が世話になっている草創名主・槐屋徳兵衛の一人娘・志乃の幼馴染みで、女郎屋から逃げ出してきたお竹が助けを求めてきた。もとより窮鳥を放り出すような一郎太ではない。難問山積、今度ばかりは一郎太も、賭場八十八か所巡りを自重するしかあるまいと高を括っていた藍蔵が、がっくりと肩を落とした。船頭・千吉の船で浅草花川戸の壺振り・お艶とともに向かった先は、大身旗本の屋敷の賭場だ。駒札の引き換えに最低十両は要ると聞いて、お竹を身請けする金が工面できると踏んだ一郎太だったが、さらに難問を抱え込む破目に陥る。大枚二十両を懐に、引き上げようと戻った船に武家娘が悲鳴を上げて飛び乗ってきた。窮鳥二羽にかてて加えて、じりじりと包囲網を狭めてくる羽摺りの者との激闘、また激闘。秘剣・滝止が難問すべてを解決したと思われたが、そうは問屋が卸さなかった!シリーズベストセラー!大好評、突きの鬼一シリーズ第4弾。
  • 突きの鬼一 饗宴
    3.5
    屋形船炎上!謎の浪人団めがけ、八艘飛び! お家騒動で殺された母・桜香院の四十九日法要は御成道沿いの天栄寺で行われた。参列者は嫡男・一郎太と正室の静、兄・一郎太の跡を継いだ北山藩当主・重二郎。それに一郎太の警護役にして無二の忠臣・神酒藍蔵、一郎太の江戸暮らしを物心ともに支える駒込土物店の差配・徳兵衛とその愛娘・志乃。 葉桜に目をやり、母の思い出に浸るかとみえた一郎太が場所柄もわきまえず、博打場に行くぞ、と言い出した。呆れ果てて絶句する藍蔵と、その場に顔を見せた興梠弥佑。弥佑はいわば病み上がり、一連の騒動で負った短筒の傷が快方に向かい始めたばかりだ。 博打には勝ったが、好事魔多し。一郎太ら三人は大川を舟で戻る途中、その後、思いもよらぬ経緯を辿ることになる怪事件に遭遇する。一艘の屋形船を取り囲む四艘の猪牙舟。襲撃者は浪人者十数人。やおら猪牙舟から火矢が放たれた。炎に包まれる屋形船に飛び移った一郎太が目にしたのは、幕府の要人と思しき二人の人物。しかも、その一人には見覚えがあった。 自由気ままな江戸暮らしに、次から次に持ち上がる難事件。鬼一シリーズ新たな展開! 大人気シリーズ! 大好評書き下ろし痛快時代小説第7弾。
  • 突きの鬼一 春雷
    3.0
    秘術を尽くす忍び!迎え撃つ“秘剣滝止”! 北山城下の寒天問屋から多額の賄賂を手にしていた江戸家老・黒岩監物がついに牙をむいた。次男・重二郎を溺愛するあまり、監物と手を組んで嫡男の一郎太追い落としを謀っていた桜香院が翻意したと見るや、忍びの棟梁・東御万太夫に殺害を命じたのだ。これまでの恩讐を越え、少しは母と心が通い合うようになった一郎太は江戸屋敷に桜香院を訪ね、監物の不穏な動きを耳に入れる。時あたかも、国元より「重二郎の一粒種・重太郎が病に倒れた」の報に接した桜香院は、取るものも取りあえず江戸を後にする。陰ながら桜香院一行を警固する一郎太と、竹馬の友にして国家老・神酒五十八の嫡男・藍蔵。その後を追って、隙あらばと機を窺う万太夫。さらに一郎太の身を案じ、慌ただしく旅装を整え、北山に旅立つ正室・静。昼九つ近く、一行は甲州街道布田五宿に差し掛かった。指定の御膳所で昼食を摂るはず、と読んだ一郎太は、思い当たった善桐寺に先回りする。間一髪、敵の魔の手を防いだ一郎太だったが、それは御嶽山麓の隠れ里で待ち受ける万太夫との死闘の始まりにすぎなかった!?大好評書き下ろし痛快時代小説第6弾。突きの鬼一シリーズ前半のクライマックス!
  • 突きの鬼一 跳躍
    3.0
    東照神君のお宝、頂戴仕り候! 藍蔵から借りた一両を五両にして賭場を出た矢先、頭巾の侍が一郎太の行く手を塞いだ。過日、実母・桜香院の四十九日の法要が執り行われた天栄寺に現れた侍だ。 「身ぐるみ脱いで置いていけ」と言いざま斬りかかってきた。しかし、なぜか頭巾の奥の目に敵意がない。彼我の腕前にも、かなりの差がある。一郎太は浅手を与えて捕らえようとしたが、逃げ足が存外早かった。 その晩、根津の屋敷に戻った一郎太を訪ねて、北町奉行所定町廻り同心・服部左門が現われた。またぞろ大事が出来したか。翌朝、待ち受けていた北町奉行・飯盛下総守が一郎太と藍蔵に大身旗本二瓶家の家臣二人を引き合わせた。 小姓の石戸益次郎が、やおら頭巾を取り出して被ってみせた。天栄寺の侍だ。なぜ、こんな手の込んだ真似をしたのか。二瓶家用人・坂井昌兵衛によれば、屋敷の蔵から家康公より頂戴した家宝の小さ刀が盗まれたという。奉行直々に依頼された探索が始まった。 「東照神君のお宝、頂戴仕り候」――妙な書付を残していった盗賊の背後に見え隠れする元御庭番の影。さらに、一郎太の前に江戸屈指の豪傑にして突きの名人・桜木龍陣斎が現れる!大好評書き下ろし痛快時代小説第9弾。
  • 突きの鬼一 鉄扇
    4.0
    弥佑死す!?そんなことがあってたまるか! 血相を変えて飛び込んできた北町奉行所同心・服部左門の一言が、一郎太と藍蔵を絶句させた。犯行現場の路地に横たわる弥佑は、正面から袈裟懸けに一刀両断されたらしい。 野次馬をかき分けるようにして弥佑の父・照元斎と検死医・源篤が現われた。正面から挑んで、弥佑ほどの遣い手を倒す者が江戸にいるとは思えない。 案の定、首筋に針の穴のような跡が見つかる。紫に変色した唇や指先は、弥佑が呼吸困難に陥った兆候だ。トリカブトを塗った吹矢を使用したに違いない、と照元斎が断言する。下手人は椎葉虎南、初老ながら並外れた業前の持ち主だという。 弥佑はこれまで陰になり日向になり、一郎太の身辺を警護してきた。さっそく、弥佑の住処を探し当てた一郎太は、文机に残された、誰が新田与五右衛門に漏らしたのか、と記された覚書を見つけて呆然とする。 新田は御広敷膳所台所頭の地位を利用して悪事を働き、一郎太に成敗されたばかりだ。弥佑が新田を調べていた!? では、新田が一郎太の命を狙っていると踏んで、秘かに警護しようとしていたのか。一郎太と藍蔵の必死の探索が始まる。 大好評書き下ろし痛快時代小説第8弾!
  • 突きの鬼一 雪崩
    3.0
    恐るべし熔化の術!秘剣・滝止敗れたり!? 次男・重二郎を溺愛するあまり、なりふり構わぬ振舞いに出る実母・桜香院に腹心の江戸家老・黒岩監物が目を剥いた。北山藩の財政は、伊豆国諏久宇の飛び地に産する良質の天草から作る寒天収入に支えられていた。桜香院が跡目相続の御沙汰を得んと、こともあろうに、幕府に飛び地返上を申し出たというのだ。城下の寒天問屋から多額の賄賂を手にしていた監物が拱手傍観するわけがない。母の命が危うい。これまでのいきさつ、母子の恩讐を越えて一郎太が立ち上がった。――真冬の甲州街道小仏峠は雪に覆われていた。「重二郎の一粒種、重太郎病に倒れる」の報に接した桜香院は、取るものも取りあえず国元に急いでいた。それとなく桜香院の駕籠を視野に入れて、後を追う一郎太と神酒藍蔵、ひとり駕籠に先行して警戒を怠らぬ国家老の配下・興梠弥佑。雪の降り積もった峠道に立ち塞がった山賊を目にした監物に、もとより驚きはなかった。思惑通り、なすすべなく倒される供侍。そこに満を持して駆けつけた一郎太ら三人の斬撃はすさまじく、勝敗の帰趨は一瞬で決した。だがそれは北山藩の土台を揺るがす大騒動の序章にすぎなかった。大好評「鬼一シリーズ」第5弾。
  • 月の下のカウンター
    3.0
    お燗酒のようにじんわり温かい気持ちに。 太田和彦はふとつけたテレビや雑誌の中で実に心地よく居酒屋にいざなってくれる、そればかりか、一度この人と飲みたいなぁと思わせる魅力がある。今回はその大田和彦をもっともっと好きになる彼の本音やルーツまでがわかる一冊である。 気になる居酒屋を取材して、紹介するまでの裏話もまるで、一緒に行っているかのような優しげな描写である。 なかでも、椎名誠氏から依頼を受けて「本の雑誌」に掲載された、 『居酒屋「べからず」集』『居酒屋評論家の本音』『最後の晩餐の前日のメニュー』などは、まさにフアンが大喜び間違いなしであろう。 かと思えば、故郷への想い、街歩き、旅のこと、父のこと、祖父のことなど太田和彦その人そのものをたっぷりと味わっていただける構成になっている。 まるで御燗した日本酒がじわーっと身体に染み渡っていくような温かい気持ちになる叙情あふれるエッセイ集である。
  • 月のスープのつくりかた
    3.8
    母のレシピは、幸福の“おまじない”。  姑とのトラブルから婚家を飛び出した高坂美月は、自活するため、学生時代の先輩・北條を頼って学習塾で働き始めた。ある日、家庭教師として派遣された先で出会ったのは、中学受験生の倉橋理穂と弟の悠太。絵本作家だという母親は、海外留学中で不在にしているらしい。母親のレシピイラストが飾られた家は、一見、幸福そのものだ。だが、理穂は美月に壁を作り、心を開いてくれない。  美月は北條の力を借りながら、理穂に少しずつ歩み寄っていく。ようやくその距離が縮まったとき、理穂と悠太から、一緒に夕食を食べようと誘いを受けた。だが、その言葉に美月は臆してしまう。料理研究家の姑は、美月に“きちんとした”料理を強いた。そのあまりの強硬さに、美月の心は怯え、萎縮し、閉じこもってしまった。そして、包丁を持つことができなくなってしまったのだ――。  母親不在の食卓を囲むことになった美月、理穂と悠太。それぞれ、どうしても言えない“秘密”を抱えた三人は、絵本に描かれた幸せになるための“おまじない”を探してゆく。 「第1回日本おいしい小説大賞」隠し玉。良い嫁とは、良い母とはなんだろう……。号泣必至、悩み多き女性たちに送る救済の物語。
  • 月をさすゆび
    -
    ヤンキー、お坊さんになる!?  藤井善行32歳。独身。売れないカメラマン。高校時代は、かなり悪かった。跡継ぎのいない叔父の寺を存続させるため、というのは建前。叔母の「儲かる副業」の言葉に釣られ、仏教学院に入学する。  試験は、面接のみ。ひとつだけのクラスは、下は十代から上は定年を迎えた方まで、老若男女バラエティに富んだ構成。中には、東大のインド哲学科卒のインテリまでいる。善行は、慣れない仏教の作法に戸惑いつつ、一年限定とはいえ、久しぶりの学生生活がはじまった。そんなある日、善行が入学以来気になっていた、隣の席の女子大生から写真を教えてほしいと頼まれる。  今まで接することもなかったお嬢様属性女子との撮影会や、クラスメイト達と被災地にボランティアに行くことで、次第に善行は仏教に対してポジティブになっていくのだった。
  • 辻留のおもてなし歳時記(小学館文庫)
    -
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 1月のお節は伝統としきたりの心を大切に、2月には寒さの中に春の訪れを待つ心で、3月雛の節句には春の華やいだ気分を盛り込み、4月花見の膳は春の寿ぎ。5月の膳では季節を五感で感じ、6月には涼感をポイントにし、7月は冷たさと温かさの取り合わせを考え、8月にはご先祖を迎える精進料理。9月の膳で暑さに疲れた心身をいやして、10月には実りの秋の滋味を味わい、11月の膳で冬を迎え、12月師走の膳に1年の感謝をこめる。季節を彩る12か月の行事を中心に、おもてなしの心をこめた料理の作り方。食文化の真髄を伝える書き下ろし。
  • ツタよ、ツタ
    5.0
    直木賞作家が描く「幻の女流作家」の運命! 明治の後期に、沖縄の士族の家に生まれたツタ。父親の事業の失敗によって、暮らしは貧しくなり、父親が亡くなったことで母と二人きりの暮らしになった。しかし、女学校の友人・キヨ子の家で音楽や文学に触れるうち、「書くこと」に目覚める。 雑誌の短歌欄へ投稿を始め、千紗子という筆名に出会い、自分の裡にあるものを言葉にし始めた。窮屈な世界から自分を解き放つ術を得たツタは、やがて「作家として立つ」と誓う。 高校卒業後の教員としての仕事、異国での結婚、愛する我が子との別れ、思いがけない恋愛――さまざまな経験を経て、ツタはとうとう作家としてデビューする機会を得た。昭和七年、婦人雑誌に投稿した短編小説が意外な形で評価されたのだ。 ところが、待ち受けていたのは、思いもよらない抗議だった……。 『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』で直木賞を受賞した著者が、実在した「幻の女流作家」と呼ばれるひとりの女性の数奇な運命を描く。
  • 妻籠め
    2.5
    孤独を見つめる作家が描いた最高傑作!  少年の頃に足を怪我し、父を亡くし母親の手で育てられたわたしは、母に気兼ねする内向的な性格になっていた。そして、親しかった友人の自死と、恩師とも言える神父の失踪。若き日の二つの喪失を抱えて生きるわたしの前に現れたのが、教え子である女子大生の真琴だった。  心ざわめくわたしは、真琴に勧められるままに山陰の神社を巡る旅に出ることになった。それが、二つの喪失に関しての謎を解き明かすことになるとは――。  波風の立たないように静かに暮らしていたわたしに、大きな転機が訪れる。  構想6年。美しい文章で綴られた著者の最高傑作。 ※この作品は過去に単行本として配信されていた作品の文庫版となります。
  • 罪

    4.5
    謎の女に追いつめられる男が行き着いた恐怖。 経理係の横領で2000万円もの負債を抱えたペーターは、ある日奇妙な事件に巻き込まれる。見知らぬ女から強引にある会社社長に届け物を頼まれるのだが、中身は足の親指。借金返済を約束されて探偵役を引き受けたペーターだが、いつしか女が仕掛けた巧妙な罠にはまっていた……。  緊迫の追跡劇を描きながら、心の痛みを抱える主人公の内奥を克明に書き込む厚みのある物語。『喪失』で話題を呼んだ北欧ミステリー界の女王、鮮烈のデビュー作!
  • 帝王(小学館文庫)
    -
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 「もっと自分が熱くなれる世界があるんじゃないか-」工業高校を卒業後、工場作業員や大型トラックの運転手を経験した青年は一念発起し、ホストの世界に身を投じる。酒を一滴も飲めないにもかかわらず、青年は人柄と努力でナンバーワンホストに君臨。そして23歳の若さでキャバクラ経営に乗り出すことに。店舗の火災や、知人の裏切り、巨額の借金など数々のトラブルに青年は見舞われるが…。首都圏に十数店舗、海外進出も成し遂げたキャバクラ業界の帝王・輝咲翔の半生をもとに、倉科遼が描いた成功物語。コミック化、テレビドラマ化もされた原作小説を電子化。
  • 帝都の用心棒 血刀数珠丸
    -
    刀を持たぬ剣術遣いと刀剣蒐集妖女との邂逅。 藤田五郎翁は刀を手にし、表に飛び出した。斬殺された男ふたりが道端に倒れている。 傍に立ち、血刀を提げた巨漢が唸り声を上げた。転瞬、ふたつの刃が火花を散らす。それも束の間、巨漢が隙を突き、姿を消した。 残された藤田が目にしたのは、亡骸の首元に彫られた蜘蛛の入墨、周囲に転がる数珠玉だった……。「立て続けに妖刀が出没して、人を斬っている」との噂を聞いた、東京帝国大学理学部教授の山川健次郎は、事件の真相を突き止めてほしいと、加能碧一と行成光雄に依頼した。 ふたりは、梁山泊屋敷と呼ばれる〔水城よろづ商会〕に出入りする用心棒コンビなのだ。刀を持たない剣術遣いの碧一と、二振の短刀と棒手裏剣を全身に仕込んでいる光雄は早速、刀剣蒐集家ウィルソンの邸へ赴いた。 ウィルソンが蔵で保管していた四谷正宗こと源清麿が血染めになっていたのだという。刀の装飾には蜘蛛が施されていたらしいが、前の事件を鑑みると、近頃一部の富裕層を取り込みつつある謎の組織〔蜘蛛の会〕を主宰し、人知を超えた力を使うと言われる妖女、多摩峰トワ子が関係しているのか? 剣光疾り、太刀風駆ける、書き下ろし大正ノワール日本刀アクション!
  • 定年漂流(小学館文庫)
    -
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 定年退職した夫は、四六時中家でごろごろぶらぶら、何もせずどこにも行かない…。邪魔ったらありゃしない! そのイライラで「夫在宅ストレス症候群」に蝕まれる妻たち。体調を悪くした妻、離婚の危機を迎えた妻etc。定年世代15組それぞれの定年の迎え方、生き方そして葛藤を描いた小説仕立てのノンフィクション。まもなく定年を迎える、700万人といわれる団塊の世代に贈る、「おじさんはおばさんを目指せば、幸せへの脱出ルートが見えてくる!」
  • 手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)
    3.7
    鬼才歌人と異才画家、渾身のコラボ歌集。 2001年の刊行時、短歌界の内外にセンセーションを巻き起こした問題の歌集が電子化。キャバクラ嬢「まみ」と、やっぱりキャバクラ嬢であるその妹の「ゆゆ」、そしてウサギの不思議なトリオの、詩的でほわほわしていて乱れていてストイックな生活と、まみとゆゆを巡る恋人や友達や隣人たち、そして切なくふるえるまみの心、愛、祈り。 手紙魔「まみ」は「ほむほむ」こと歌人穂村弘に大量の手紙を送り、穂村弘はその手紙の中のフレーズを変形させて使ったり、そこからインスパイアされてまったく違う短歌をつくりだしたりしつつ、「手紙魔まみ」という、実在するくせに虚構でもあるあやうい存在を歌集の中に生成する。 装丁・挿画には、センシブルな若い女性に熱烈なファンを持つイラストレーター、タカノ綾(カイカイキキ所属)を起用、ポップでキッチュな部分とはかなさや切なさのあやういバランスを、ビジュアル的にも訴求する。 【ご注意】※この作品はカラーイラストが含まれます。
  • テッパン
    3.9
    80年代 東京――僕と不良のひと夏の物語。 中学卒業と同時に渡米し、長らく日本を留守にしていた吉田倫。吉田は旧友である寿司屋の主からの誘いに応じて、中学の同窓会に赴いた。 同窓会のメインイベントは当時作ったタイムカプセルを皆で開けること。タイムカプセルの中に入っていたのは、アイドルのブロマイドに『明星』や『平凡』といった芸能雑誌、『なめ猫』の缶ペンケースなどなど。三十年以上前に流行した懐かしいグッズの数々に、同級生たちの会話が盛り上がる。 そんな中、吉田の紙袋から出てきたのは『ビニ本』に『警棒』、そして小さく折りたたまれた『おみくじ』だった。 それらは吉田が中学三年の夏休みに出会った、中学生ながら屋台を営む町一番の不良、東屋との思い出の品で――。 平凡な「僕」と不良の「あいつ」、正反対の二人が出会った、ひと夏の切ない物語。
  • 手塚番 ~神様の伴走者~
    -
    漫画の神様には、いつも「伴走者」がいた! 「漫画の神様」といわれる手塚治虫―この神様にも編集者という伴走者がいた。『手塚番』と呼ばれる30年経っても今なお語り継がれる様々な「手塚伝説」の真相を、漫画の世界を知り尽くした元「ビッグコミック」編集長・佐藤敏章が『手塚番』の編集者へのインタビューを丁寧に、時間をかけて敢行。インタビューを通してひとつひとつ手塚伝説を解明していく。そしてインタビューを継続していく間にも、また新たな伝説が…。  文庫版化にあたり、創刊50周年を迎えた『ビッグコミック』の初代編集長・小西湧之助氏のインタビューと、かつて手塚アシスタントを経験し、人気漫画家として活躍の石坂啓氏が描きおろしたコミックエッセイ『神様の指定表』11ページも収録。口絵の手塚治虫のさりげない笑顔も、一見の価値ありです! 8年の年月を経て『伝説』は『神話』になった。(2018年6月発行作品)
  • テムズ川の娘
    -
    英ベストセラー作家が贈る歴史幻想ミステリ。  19世紀、ヴィクトリア期のイギリス。ある冬至の夜、テムズ川沿いのちいさな村ラドコットにある酒場兼宿屋〈白鳥亭(ザ・スワン)〉では常連客たちがいつものように酒と物語に興じていた。すると突然ドアが開け放たれ、顔に重傷を負い、女の子の人形を抱えた大男が現れる。人形に見えていたのは、実は少女の死体だということが判明するが、少女はその日のうちに息を吹き返す。この奇跡が近隣の村にまで広まると、少女は自分の家族だと主張する3つの家族が現れる。少女は誰なのか? どこから来たのか? あの晩、少女に何が起きたのか? 謎が明らかになるにつれ、それぞれの家族の抱える秘密が複雑に絡み合いーー。  世界的ベストセラー『13番目の物語』の著者が贈る、タイムズ紙ベストセラーリスト1位、世界20カ国で刊行の歴史幻想ミステリ! (底本 2021年9月発行作品)
  • テレビを旅する(小学館文庫)
    -
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 今、テレビ画面の前では、どんな生活があり、どんな人生が繰り広げられているのだろう。そんな風景をカメラ片手に全国に訊ね歩いた異色のフォト・ノンフィクション。 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字サイズだけを拡大・縮小することはできませんので、予めご了承ください。 試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
  • TEN 上
    3.8
    1~2巻836~902円 (税込)
    汗と涙と歯ぎしりのサラリーマン奮闘小説! 「俺は<異物>だ、負けてたまるか!」――学もない、金もない、失うものは何もない。試されるのは生きる力だ!  戦後の動乱期、横浜のドヤ街で当たり屋稼業をして暮らす「テン」こと小柴俊太は、幼馴染の麻生と偶然再会した縁で、料亭の下足番として雇われる。  ある日、麻生の上司でムーンヒルホテルの次期社長・月岡光隆に見出され、彼の運転手を務めることになる。やがて月岡の会社に就職した俊太は、学歴はないものの、独創的なアイデアと度胸で次々に実績を挙げ、異例の出世をしていく。  さらに麻生のアイデアで結婚式事業を成功させた俊太は、寛司と共に、月岡に招かれる。そこで持ちかけられた新たなビジネスとは……!?    企業小説の旗手・楡周平が会社に蔓延る「男の嫉妬」の恐ろしさを描ききる。 ※この作品は単行本版として配信されていた作品の文庫本版です。
  • 天国の本屋 恋火
    4.1
    竹内結子主演映画のベストセラー原作待望の文庫化!ある日突然、ピアニスト健太は謎のアロハシャツ男ヤマキに声をかけられ、天国の本屋に短期バイトとして連れてこられた。そこで彼は、ある女性ピアニストに出会う。 一方、飴屋の娘・香夏子は商店街復興のため、花火大会に向け奔走していた。そこで彼女は「その花火を見ればふたりの恋は成就する」という伝説の花火師に出会う。 天国と現世。ふたつのストーリーが同時進行するなか花火大会当日、ついにある“奇跡”が訪れる。

    試し読み

    フォロー
  • 天使になる瞬間 命を見つめる愛の看護詩集(小学館文庫)
    -
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 7年間の看護師生活で出会った患者たち。彼らとのふれあいのなかで味わった苦悩、辛さ、悲しみ、そして喜びを著した珠玉の詩集。命を見つめる温かな眼差しが伝わってきます。看護専門月刊誌『エキスパートナース』連載の電子化。
  • 転生
    3.5
    『感染』に続く大ヒット仙川医療ミステリー第2弾!医学部大学院卒で元大手新聞社医療担当記者という経歴を持つ筆者による、圧倒的なディテールとリアリティーで迫る医療ミステリー。今作は、20万部を超す大ヒット作品となった『感染』に続く第2弾。「その子はあなたの娘だ。引き取ってもらいたい」。突然身に覚えのない赤ん坊を託されたフリーライターの深沢岬は激高するが、出生を調べるうちに殺人事件に巻き込まれ、報酬欲しさに違法な手段で提供した自分の卵子が関連することを知る……。

    試し読み

    フォロー
  • 天正十二年のクローディアス 自選短篇集 歴史ミステリー編
    3.0
    史実の謎を解き明かす歴史ミステリー短編集 戦国時代の雄、龍造寺家が鍋島家に取って代わられた謎を解く鍵は、シェークスピアのハムレットに登場する叔父・クローディアスだった――井沢元彦は江戸川乱歩賞受賞作『猿丸幻視行』以来、『葉隠れ』に隠された歴史の真実に迫る表題作をはじめとした才気溢れる歴史ミステリーを書き続けてきた。著者自らが厳選したこの短編集は、『逆説の日本史』シリーズに結実する井沢史観を十分に堪能できる待望の一作である。

    試し読み

    フォロー
  • 天上の花の雨(小学館文庫)
    -
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 鎖国状態のヤパン(日本)において、二十数年もの間キリスト教布教に務めたイエズス会の名宣教師フェレイラが、転んだ。そして彼は、こともあろうに隠れキリシタンを摘発する目明しになる。転宗ははたして本物か!? 神を棄てた者の心に平穏はあるのか? 人が生きるために神は必要なのか?  たがいに殺し合い、奪い合う現代の世に、神の救済と信仰のあり方を問う感動の問題作。
  • 転生回遊女
    3.0
    天涯孤独、自由奔放――少女の成長物語 舞台女優だった母を事故で亡くし、天涯孤独の身となった17歳の桂子(かつらこ)。 母のあとを継ぎ、自らも役者として生きることを決意する。 “ここでないどこか”を目指してタビ(=旅)に出た桂子の魂は、数々の男と交わりながら、自由奔放に羽ばたいてゆく―― 『感光生活』(2004年)で野間文芸新人賞候補、『タタド』(2007年)で川端康成文学賞受賞の著者が少女の成長を描いた、長編小説。

    試し読み

    フォロー
  • 天皇になろうとした将軍 それからの太平記 足利義満のミステリー
    4.6
    足利義満の秘められた野望を明らかにする なぜ戦乱記を「太平」記と記したのだろうか? 後醍醐天皇の「遺言」に秘められたこととは。金閣寺に塗り込められた足利義満の「野心」。金閣「寺」の命名に秘められた義満「暗殺」の真相。義満暗殺の「実行犯」と「大文字焼き」の秘密…。日本史上かつてないほどの戦乱の世、下克上はびこる南北朝の時代とは現代の写し絵ではないか。“目からウロコ”の井沢流、歴史謎解きの冴えが光る。

    試し読み

    フォロー
  • ディアレスト ガーデン
    4.0
    少年期との決別を描く切なくほろ苦い物語。  天才画家と言われた父が客死した時、ひとり息子の茜は12歳だった。たったひとりの身寄りとも言える父の後妻・爽子は、そのとき20歳。遺された「家族」として、亡き人の思い出を分け合いながら身を寄せるようにふたりは暮らしてきた。そして7年。19歳になった茜の前に、爽子に求婚しているという男が現れたーー『マンゴスチンの恋人』の遠野りりこが少年期との決別を切なく描く、ビタースウィートな物語。
  • ディセント 生贄の山
    3.0
    ロッキー山脈の自然を背景に家族再生を描く。 O・ヘンリ賞、キャサリン・アン・ポーター賞などを受賞したYA作家ティム・ジョンストンの、初の本格ノベル。  妻アンジェラとのぎくしゃくした関係に終止符を打つため、大学進学を控えた娘のケイトリンと息子のショーンを誘い、ロッキー山脈への家族旅行へと向かったグラント。しかし旅行中にランニングに出かけたケイトリンは、自転車で追いかけてきたショーンを車ではねた男に連れ去られてしまう。  ショーンは一命は取り留めたものの、ケイトリンの行方は知れず、やがて事件がきっかけで家族の心はバラバラに。夫婦は別居し、グラントと暮らしはじめたショーンも家を出て放浪生活をするようになる。  一方、ケイトリンは男に監禁されながらも、ひたすら脱出の手立てを探り続けていたーー。  全米で話題沸騰、ロッキー山脈の広大な自然を背景に、被害者家族の苦しみと再生を描いた感動の物語。
  • 探偵サイトへようこそ(小学館文庫)
    3.0
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 昼間は語学学校の受付嬢、夜はサイトの管理人、それが私―下条あがさの毎日だ。日本国内で凶悪事件が起こるたび、テレビやネットを使って、情報収集をしてまわる。なにしろ、私のサイトは、現実に起きた事件を、みんなで推理するのが目的。ある日、東京で連続殺人事件が発生し、サイトの掲示板は犯人予想で盛り上がる。ところが、オフ会を開いた途端、私の身辺では次々とおかしなことが……。 20代OLを主人公にネット社会が持つ怖さを描く、ライト感覚のミステリー。
  • D.O.D. ダイス・オア・ダイ(小学館文庫)
    4.0
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 いったい、どこまでが真実なのか-。元証券マンのホームレス、謎の中年マジシャン、獄中天才詐欺師、日本に戻れないやくざ、元億万長者の鳩レース師-。かつてカンボジア・ブノンペンで謂われなき罪を被せられ、半年の拘置所生活を余儀なくされた作者が、苛烈極まる超長期フィリピン・マニラ滞在の日本人たちの巣窟に540日も身を投じて紡ぎあげたアジアン・アンダーワールド・エンターテインメント第二弾!玉山鉄二主演の連続ドラマ「プリズナー」原作「P.I.P.」の続編が、ついに電子化。
  • 恩送り 泥濘の十手
    -
    消えた岡っ引きの父と、溺れ骸を結ぶ謎の器。 おまきは岡っ引きの父・利助を探していた。 火付けの下手人を追ったまま、行方知れずになっていたのだ。 手がかりは父が遺した、漆が塗られた謎の容れ物の蓋だけ――。 いったいどんな容れ物なのか? そして身はどこにあるのか? おまきは材木問屋の息子・亀吉、目の見えない少年・要の力を借りるが、なかなかもつれた糸は解けない。 そんなある日、大川に揚がった亡骸の袂から漆塗りの容れ物が見つかったと臨時廻り同心の飯倉から報せが入る。 しかし、なぜか蓋と身が取り違えられているという。 後に、父の遺した蓋と亡骸が遺した容れ物は一対だったと判るが……。 父は生きているのか、亡骸との繋がりは? 容れ物は誰のものなのか? おまきたちは、新しい手がかりをもとに下手人を探すべく、江戸の町を奔走する! 虚を突く真相に落涙する、第一回警察小説新人賞受賞作。 ※この作品は単行本版『恩送り 泥濘の十手』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • デビクロくんの恋と魔法
    3.8
    相葉雅紀主演映画原作、早くも電子化!  書店員・光には、絵本作家になりたいな、という漠とした夢があった。恋に関しては、だいたい相手から告白されて付き合うが、「やさしいんだけど……」といわれて最終的には終わってしまうパターンが続いていた。そんな光には、「デビル・クロース」、略して「デビクロ」という謎キャラに変身して、「デビクロ通信」なるイラスト入りのメッセージを添えた手製ビラを、ポストなどに無差別に撒くという意外な一面が。そんな光に思いを寄せる実家の鉄工所で働く溶接女子の杏奈の好意に気づくことなく、ある日、光は彼女に運命の人が現れた話を嬉々としてしまうのだが――。  この冬読みたくなる、ミラクルなラブストーリー。
  • デビクロ通信200
    5.0
    映画原作「デビクロくんの恋と魔法」の中でも多数登場する「デビクロ通信」が新たに描きおろされたスピンオフ文庫を電子化! 「デビクロくんの恋と魔法」の作中、主人公の書店員・光が夜な夜なボム(配布)行為を繰り返している不思議なビラ、デビクロ通信。  本作では、この「デビクロ通信」のことばを200点、名言集的に構成。そのうち、50点以上については、宮尾和孝氏が新たに描きおろすイラストがついたかたちになります。
  • 【電子版限定特典付】 少年の名はジルベール
    3.9
    【ご注意】 ※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 竹宮惠子の大ヒット自伝が、ついに文庫化! ★文中に多々登場する竹宮作品、書籍執筆時に著者が本当は入れたかった作品の中身(コミック立ち読みファイル)を、主だった12作品・計130頁の参考画像集として電子版だけに収録。 石ノ森章太郎先生に憧れた郷里・徳島での少女時代。 高校時代にマンガ家デビューし、 上京した時に待っていた、出版社からの「缶詰」という極限状況。 のちに「大泉サロン」と呼ばれる東京都練馬区大泉のアパートで 「少女マンガで革命を起こす!」と仲間と語り合った日々。 当時、まだタブー視されていた少年同士の恋愛を見事に描ききり、 現在のBL(ボーイズ・ラブ)の礎を築く大ヒット作品『風と木の詩』執筆秘話。 そして現在、教育者として、 学生たちに教えている、クリエイターが大切にすべきこととは。 1970年代に『ファラオの墓』『地球(テラ)へ…』など ベストセラーを連発して、 少女マンガの黎明期を第一線のマンガ家として駆け抜けた竹宮惠子が、 「創作するということ」を余すことなく語った必読自伝。 漫画ファンはもちろん、そうではない読者からも 感動の声が続々と寄せられ、 朝日、読売、毎日など各紙書評や 各種SNSで大反響だった単行本が、ついに文庫化。 カラーイラスト増ページ、「文庫刊行によせて」を収録。
  • 電子版特別合本 あぶない刑事全9巻セット
    -
    「あぶない刑事」第1期TVシリーズ、ノベライズ版全9巻を特別合本!ファンの声に応え、ノベライズ版第一期TVシリーズの全9巻を電子復刻! タカ(舘ひろし)とユージ(柴田恭兵)の軽妙な掛け合いとアクションで、男女問わず絶大な人気を博した名作刑事ドラマ「あぶない刑事(デカ)」。1986年~1987年放映、第一期TVシリーズのノベライズ全9巻が電子書籍で配信開始!TVシナリオとの微妙な違いがファンのハートをくすぐるライトな小説版。「あぶ刑事」ファンなら永久保存推奨! 第1巻はTVシリーズ第1話「暴走」(脚本:丸山昇一)、第2話「救出」(脚本:那須真知子)、第3話「挑発」(脚本:柏原寛司)、第4話「逆転」(脚本:大川俊道)、第5話「襲撃」(脚本:田部俊行)〔書籍収録順〕の5編を収録。
  • 伝説のエンドーくん
    3.8
    がんばる人にエール!感涙の学園小説。 中学校の職員室を舞台に、14歳という繊細で多感な年齢の子どもたちと日々真剣に向きあう中学教師たちのリアルな姿を描いた連作短編集。 その中学校には代々語り継がれる伝説のヒーロー「エンドーくん」がいる―。 校内のあちらこちらに残された「エンドーくん」にまつわる落書きの言葉が、悩みや葛藤を抱える教師や生徒の一歩踏み出すきっかけとなった。 その理由は? 「エンドーくん」が伝説になったのはなぜ? その謎がラストで明かされる―。 坪田譲治文学賞受賞作家の傑作が待望の文庫化。巻末に文庫のために書き下ろした「エンドーくん」のその後の物語を収載。
  • でんでら国 上
    5.0
    姥捨山のその奥に老人達の桃源郷があった。  この時代小説がすごい2016年版(宝島社)にランクイン!細谷正充・著『歴史・時代小説の快楽 読まなきゃ死ねない全100作ガイド』(河出書房新社)に掲載。各方面で話題の時代小説が、いよいよ待望の文庫化!  時は幕末、陸奥国八戸藩と南部藩に挟まれた小さな国、外館藩西根通太平村。大平村には、60歳になると村での役割を全て解かれ、御山参りをする習わしがあった。それは、食い扶持を減らすための姥捨ての旅とも囁かれていた。しかし、その実態は・・・・・・?  山に捨てられた老人達が、理想の村を作って生活を営む、そんな国を暴こうとする代官とそれを守ろうとする農民たちの攻防戦。意外な結末が、愉快痛快!現代の高齢化社会の問題を解決するヒントが盛りだくさん。
  • 東海道徒歩38日間ひとり旅(小学館文庫)
    3.0
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 いつか、東京ぐらいへは自分の足で歩いていきたい――。大阪在住の多忙な写真家が、ある夏の朝ふと思い立って出かけた現代版東下り。仕事を中断してカメラ片手に「何かが変わるかもしれない」と大阪の平塚山から京都も名古屋もすっ飛ばし、千葉県の銚子までひたすら足任せの38日。何度も「あほらし! もうやめや!」と呟きつつ、風通しの悪い世の中に怒る旅を文と写真で綴る五十代感覚的けじめ紀行。 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字サイズだけを拡大・縮小することはできませんので、予めご了承ください。 試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
  • TOKYOオリンピック物語
    -
    2020年東京大会決定!東京オリンピックを支えた人々の感動秘話 日本に再び感動と熱きドラマがやってくる。敗戦国日本の復興を世界へと知らしめたのは前回、1964年の東京オリンピック。奇跡といわれた成功を陰で支えた人々のたゆまぬ努力を描いた傑作ノンフィクションの文庫版を電子化。 「東京」から「TOKYO」へと世界に日本の復興と実力を知らしめた大舞台。この成功により日本は世界の表舞台に躍り出た。この成功の裏で苦闘した仕掛け人たちのドラマを克明に描く。 予算的にも規模的にも空前絶後の大プロジェクトであった東京オリンピック。各分野から集められた建築家、技術者、カメラマン、デザイナー、シェフ、映画監督、作曲家たち。若く実力もある彼ら、しかし問題は誰ひとりとしてオリンピックを経験したことが無かったことだった……。彼等はいかにしてオリンピックを成功に導いたのか。著者が15年に渡り徹底取材した読み応えのある一冊。本書に登場する人々-市川崑、宮川一夫、黛敏郎、亀倉雄策、谷川俊太郎、高峰秀子、植木等、村上信夫、飯田亮(一部)。NHK、朝日新聞、日経新聞、週刊文春ほか各メディアで大絶賛された傑作ノンフィクション。 【ご注意】 ※この作品はカラー写真が含まれます。
  • 東京帝大叡古教授
    3.4
    日本初! 文系の天才博士が事件を解決! 物語の主人公・宇野辺叡古(うのべえーこ)は、東京帝国大学法科大学の教授である。大著『日本政治史之研究』で知られる彼は、法律・政治などの社会科学にとどまらず、語学・文学・史学など人文科学にも通じる“知の巨人”である。 その知の巨人が、連続殺人事件に遭遇する。 時代は明治。殺されたのは帝大の教授たち。事件の背景には、生まれたばかりの近代国家「日本」が抱えた悩ましい政治の火種があった。 他を圧倒する「知の巨人」が開示していく事件の真相は、まさに予測不能。ラストは鳥肌モノ!! 直木賞候補作、早くも文庫化!
  • 東京パラダイス 戦後事件史を目撃した男(小学館文庫)
    -
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 一人の男が上京して出会った“東京”は日本の戦後史そのものだった。行き合う人々、出くわした事件が、男の運命を現代史にまきこんでゆく。著者の実体験をもとに描いた戦後事件史、出来事史が大幅加筆して登場!! ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字サイズだけを拡大・縮小することはできませんので、予めご了承ください。 試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
  • 東京坊ちゃん(小学館文庫)
    -
    1巻605円 (税込)
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 幻燈会、デパートの食堂、チャンバラごっこ…。特に貧しくもなく特に裕福でもない、普通の家庭に生まれた「のぞむ少年」は、普通に幸福な毎日を過ごしていく。両親や祖父母の愛情に包まれて、いろいろな出来事に囲まれて、くやしい思いもいっぱい経験して-。昭和20年代から30年代の、そこらじゅうにまだ原っぱがいっぱいあった、どこかのんびりしていた時代。懐かしくて愛しくてそしてちょっぴりほろ苦い、つつましくも豊かだった「あのころ」の話。誰もが郷愁をそそられる、リンボウ先生の自伝的小説。
  • 東京輪舞
    4.1
    日本裏面史を「貫通」する公安警察小説! 昭和・平成の日本裏面史を「貫通」する公安警察小説! かつて田中角栄邸を警備していた警察官・砂田修作は、公安へと異動し、時代を賑わす数々の事件と関わっていくことになる。 ロッキード、東芝COCOM、ソ連崩壊、地下鉄サリン、長官狙撃……。 それらの事件には、警察内の様々な思惑、腐敗、外部からの圧力などが複雑に絡み合っていた――。 圧倒的スケールで激動の時代の暗闘を炙り出す、前人未踏の警察大河ミステリー! ※この作品は単行本版として配信されていた作品の文庫本版です。
  • 当選請負人 千堂タマキ
    3.3
    本邦初!?の選挙エンタテインメント小説。  就職が決まらず落ち込んでいる阿部まりあは、千堂タマキから誘われて市長選のボランティアをすることになった。タマキは選挙プランナーで、今回無所属で二度目の挑戦になる鈴木眞寿候補からの依頼を受けていた。対立候補は、親子二代で市長を務める現職の辛島一郎。  選挙戦は、投票日までわずか10日間。  タマキは、まこと候補の演説の手の使い方から、演説で何を争点にするか、どこを訴えるのかなど、事細かに指導していく。  そのうちに、経理担当の女性が突然事務所に出てこなくなる。すぐに、彼女の名前で事務所に宅配便が届く。中身はいったい?  また、応援している鈴木まこと候補と同姓同名とほとんど同じ、「鈴木マコト」という第3の候補者が立候補してきた。彼女は、キャバクラ嬢でまこと候補との交際疑惑が!?  さらには、人気の前総理が辛島市長の応援演説にくるという情報が。  次から次へと訪れるピンチの連続に、タマキは巧みな対応で、プラスの方向に持って行く。  選挙の面白さ、難しさ、楽しさを全編を通して描いた、本邦初!?の選挙エンタテインメント小説。
  • 東南アジア丸かじり旅(小学館文庫)
    -
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 激辛料理からトロピカルフルーツ、酒、葉巻、はてはゲテモノ料理まで、四半世紀にわたる東南アジア体験から得た著者ならではの、各国の国民性と文化が香り立つ、美味しい食いだおれ話の数々。 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字サイズだけを拡大・縮小することはできませんので、予めご了承ください。 試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
  • 遠ざかる家
    3.0
    人生という「なぞなぞ」に正解はあるのか? 語り手は、一人暮らしを続ける四十七歳歯科医・和也。実家の父親の看病を名目に妻は不在、大学生になる二人の息子も家を出ている。三歳になるアメリカン・ショートヘアと自適の生活を続けていたが、NHKに勤務する兄・靖彦がアルコール依存症のため緊急入院したことから、物語は動き出す。記憶のなかに留まる、ゼラニウムを描いた一枚の油絵を発端に、入院先の病室から問わず語りに幼少期の記憶を紐解いていく兄。 やがて、その絵は、彼ら兄弟の亡き父が描いたものであることへと逢着する。そして、ゼラニウムとともにその絵に描かれていた少女は、戦時中に五歳で亡くなった叔母であった。同じく五歳で亡くなった彼らの妹と同じ、明子という名の――。 物語終盤。愛娘を過剰に守ろうとするあまり、兄・靖彦は心を乱し、自身の家族を軟禁しての先の見えない小旅行へと事態は発展する。兄の行方を突き詰め、対話を試みる和也。そのなかで、和也は、無自覚にひた隠してきた自身の持つ生の不全感のルーツに思い至る。

    試し読み

    フォロー

最近チェックした本