地元で「みぃさんの祭り」がおこなわれる直前に、恋人の広樹をともなって実家に帰省した永尾玲は、蔵の中で蛇をかたどった鏡を発見します。この鏡は、三年前に自殺した玲の姉の綾が首吊り自殺をおこなった場所に置いてあったものでした。
斗根遺跡の発掘をしていた田辺一成は、玲から蛇鏡の話を聞き、興味を示します。広
...続きを読む樹のつれない態度に、将来の幸せについて漠然とした不安を抱いていた玲は、しだいに一成に惹かれていきます。
その一方で玲は、父の前妻だった多黄子が、33年前にやはり蔵で首を吊って自殺し、その足元に蛇鏡があったこと、さらに姉の綾が自殺したとき、彼女は婚約していた男性ともう一人の男との間にはさまれて苦悩していたことなどを知ります。しかも、多黄子も綾も、みぃさんの祭りの日に自殺を図ったというのです。自分と同じくうつろいがちな恋に悩んでいた永尾家の女性たちが、みぃさんの祭りの日に自殺していたことを知った彼女ですが、一成に惹かれていく自分の心をどうすることもできず、鏡と向きあいつづけてみぃさんの祭りまでの日々を送ります。
一成は、地元の鏡作羽葉神社(かがみつうりはばじんじゃ)が蛇と関係の深い大物主大神を祀っていることに興味をいだき、蛇神がよみがえる時が近づいているという神主の東辻高遠の依頼を受けて、蛇神にまつわる謎を解くために、神社に伝わる社伝の解読を急ぎます。
土俗的なホラー・ストーリーと、恋に悩む女性の心情がからみあって、独特の作品世界をつくりあげています。ただ、大掛かりな舞台設定の割には、ストーリーがやや単調に感じてしまいました。