坂東眞砂子のレビュー一覧

  • 恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション
    前回のベストセレクション「再生」よりもこっちのほうがずっと好み。
    であるが故に、過去に読んだ話が半分くらい…
    平山夢明氏と小林泰三氏が一冊に入ってるアンソロジーだから買って後悔はない。

    背表紙の著者名が小林泰三氏になってて、新しく本棚に氏の本が並んだのも嬉しい。
  • 貌孕み
    現代の話と昔の話が織り交ぜられていて、楽しく読ませていただきました。
    怪談というより、人の業、因果応報という話たち。
    人の悲しみと、それでも生きていく人たち、幽世と現世の不思議な感じ。
  • くちぬい
    震災後、放射能汚染を気にする麻由子は、夫の峻亮の強い希望でもあった高知の田舎へ、移住することを決めた。
    美術教師であった峻亮は、長年の夢であった穴窯を作り陶芸に勤しむ毎日。
    しかしその地域にある鎌神社のお宮まて続く、赤線と呼ばれる道の一部に穴窯を建てたことから、村人達の苛めが始まる。
    猫の死骸が吊る...続きを読む
  • 死国
    日本を代表する巡礼である「四国八十八ヶ所巡り」に、呪術的要素を加えた、怪奇ロマン系のホラー小説です。日本の風習や、しきたりといった土俗的な部分に惹かれてホラーを好きになった私としては、世界観に入り込みやすかったです。
  • 死国
    小中学生の頃に深い恐怖に陥れられた映画「リング」。その続編の「リング2」と同時上映された作品が、この「死国」だった。「リング」、「リング2」は強烈な恐怖として記憶に残っているのだが、この「死国」は栗山千明の美しい黒髪と切れ目の妖艶さの印象が強く、内容を漠然としか記憶していなかったので、原作を当たるこ...続きを読む
  • 狗神
    高知県山間部の牧歌的な風景と裏腹な忌むべき因習・差別、閉鎖的なムラ社会が醸成するドロドロとした人間関係。

    ミステリー的な伏線回収、村を覆う悪夢の真相も含め、好みの作風だった。
  • 眠る魚
     坂東眞砂子 著「眠る魚」、2017.2発行(文庫)。著者、未完の絶筆小説です。バヌアツに住む伊都部彩実は父の死で帰国。福島の原発事故による放射能汚染での急死はアオイロコという病によるものか・・・。後半、彩実の舌の腫瘍が悪性の舌癌とわかり入院に。このあたりから著者自身に重なってきます。本作品は手術前...続きを読む
  • 蟲

    体内に心に巣食う常世蟲に人間は勝てない。あれだけ心地好さそうな眠気に誘われて勝てるはずがない...
    わたしだったら勝てない。
    蟲に食われるなら純一のように自覚なしで食われたい...話の中には純一の仕事中の様子は最初しかでてこないから無気力になっていく自分を感じていたかもしれないけど...そんな純一視...続きを読む
  • 桜雨
    現代(よりちょっと昔)パートと戦時中のパートが交互に語られる。
    現代は三人称で、戦時中は早夜の視点で。
    それが交差した時が物語のクライマックスになる、と思ったのだけど。

    現代パートの主人公・額田彩子は出版社で画集を編集している。私生活では自分勝手な同棲相手と別れた直後。
    戦時中のパートは美術専門学...続きを読む
  • 朱鳥の陵
    西暦700年代初頭の古代が舞台。持統天皇の心の内に入ることができる白妙を借り、夫や息子を含めた周りの邪魔者を排除し、天皇に上り詰めていく過程をたどる。歴史上の人物や物事をうまく織り込み登場させながら、フィクションの面白さが存分に生きた小説。
    この著者の作品はハッピーエンドや報われたり悪が挫かれる終わ...続きを読む
  • 狗神
    善光寺も高知も何度か行ってるので情景が思い浮かべること出来た。
    美希さんが不幸でかわいそうすぎる。悲しい話だなぁ。
  • くちぬい
    高知のひなびた穏やかな田舎の集落の人々に巣食う狂気。著者自身が村八分になった体験をもとにした恐ろしい小説。田舎の社会が実は和やかなものでなく因習に捕らわれていたり互いに見張り合うような窮屈さを備えたものだということはよく言われもすることだし、都会を好む地方出身者がよく言うこと。そうしたムラ社会の恐ろ...続きを読む
  • 聖アントニオの舌
    時は中世イタリア。当時パドヴァに暮らした修道士アントニオは、人智を超えた不思議な力で数多くの奇蹟を起こし、人々を病苦・死から救い出したという。彼の死後七百年以上経った今も、その聖性は人々の心に脈々と生き続け、その証として崇められているのは、彼の干からびた舌であった…。表題作の地パドヴァ、魔女伝説が残...続きを読む
  • 狗神
    まあミステリというかホラー。夏だからってこともあって読んだけど、スーパーナチュラル系だから、そこまで肝は冷やされず。相変わらず、そっち系の感度は鈍いです、わたし。やっぱサイコ系ホラーの方が怖いと思うんです、どうしても。ただ本作は、人間の怖さも同時に描き出していて、村八分(ちょっとニュアンス違うけど)...続きを読む
  • 鬼に喰われた女 今昔千年物語
    2017年、25冊目は主に隙間読書用にしていたヤツ❗

    今昔物語を下敷きにした、短編を、10編収録。今回もタイトルだけ紹介。

    鬼に喰われた女
    死ぬも生きるも
    空虚の板
    生霊
    月下の誓い
    歌う女
    蛇神祀り
    稲荷詣
    油壺の話
    闇に招く手

    正直、凄く好き、と、微妙、の狭間の一冊。

    隙間読書用としては...続きを読む
  • 屍の聲
    濃密な情念に満ちた重めのホラー短編集。血縁や婚姻による繋がりの中で、しがらみや重圧、自身や他者の欲望によって、心をすり減らしていく人々の物語。怪異が存在する話もそうでない犯罪小説的な話もありますが、人の身勝手さや嫉妬心、伴侶や家族に対する無意識の甘えがストレートに表現されて、ずしりとくるものがありま...続きを読む
  • 朱鳥の陵
    読み応えのある本だった。歴史、ミステリー、ホラー一つに定まらない内容を散漫にする事なく一気に読ませてくれる。ただ歴史オタとも言える私でも 冒頭の部分でやや腰が引けてしまうほど 当時の官職名、言葉使い、人名が忠実に再現されている。持統天皇については 永井路子「茜さす」「美貌の女帝」有名所では里中真智子...続きを読む
  • 朱鳥の陵
    こわかった!!もうその一言。

    ・・・・百人一首のあの歌・・オソロシイ。
    昔あの歌に惹かれて天の香久山まで登ったんですが、この小説後は感じ方が
    変わりそうです。((笑))
    ちなみに地元で売っている「白妙の衣」をイメージした「鵜野讃良」という和菓子
    が好きなんですが・・今後うををを!と思いそうです。
    ...続きを読む
  • 朱鳥の陵
    タイトルに惹かれ購入。好きな時代を生きる好きな人物たちが次々と登場し、親しみを覚えながら少しも早くと読み進めると…なんとも恐ろしさに身のすくむ結末。
    〝春過ぎて夏来たるらし白妙の…〟を、こう読み解くとは。現代からみればファンタジックにも思える部分こそ古代史の魅力のひとつであると思ってはいたが、まさか...続きを読む
  • 狗神
    登場人物の台詞が私にはあまり聞き慣れない方言で、それがすごく好きです。

    読んでいて、日本の憑き物の文化などに思わず興味が湧いてしまいました。

    内容は、やはり”ロマン”ですね。 胸がドキドキする展開が結構ありました。 けれど、最後の方は悲壮感に包まれます。 決してハッピーエンドではないです...続きを読む