諸田玲子のレビュー一覧

  • 蛍の行方―お鳥見女房―(新潮文庫)
    お鳥見女房シリーズ第二弾。密命を帯び、お鳥見役の主が消息を絶って一年余り。留守を預かる女房珠世に心休まる日はない。身近かに暮らす子供らの人知れぬ悩みを知って心くだき、その成長を見守り、隠居となった父の寂寥を慰め、組屋敷に転がり込んだ男女と幼子らの行く末を案じる……。人生の哀歓を江戸郊外の四季の移ろい...続きを読む
  • 鷹姫さま―お鳥見女房―(新潮文庫)
    お鳥見女房シリーズ第三作。

    危険な任務から戻った夫の心の傷。身分の差がある恋をしている次女。結婚したもののまだ浪人暮らしの源太夫と多津の若夫婦。長男の縁談。

    色々な悩みと喜びが交錯するお鳥見役人の妻、珠世の日々の暮らしが描かれる。

    特別な極悪人も登場しないし、スーパーヒーローも聖人君子もこの物...続きを読む
  • お鳥見女房(新潮文庫)
    知人に勧められて読んだ本。買って大正解だった。

    ミステリーとまではいかないが、それなりに謎や事件があったりもするし、登場人物が命の危険にさらされることもあるが、基本的には人情話の部分が大きいかもしれない。

    全体を通して流れている大きなあらすじがあるのだが、それに加えて各章では小さなストーリーが始...続きを読む
  • 蛍の行方―お鳥見女房―(新潮文庫)
    お鳥見女房シリーズの第二作。

    一作目から続いている大きなストーリーが佳境に入り、はらはらと手に汗握る展開の二作目。それと同時に主人公珠世の周辺では、相変わらずのどかに、人々の悲しみや喜びが交錯する日々が続く。

    読んでいて胸があたたかくなるのは、描かれる人々の姿だけではなく、作者の文体もまた気品が...続きを読む
  • かってまま
    「おさい」の人生を、かかわった側の人間から描いた作品。一話一話、それぞれの思いと思惑の交錯にどんどんひきこまれていった。他人から見た「おさい」であって、おさい自身が一人称になることはないので、おさいの気持ちを推し量るのも興味深かった。
  • 天女湯おれん
    面白かった~~~!!!

    艶話も良いっす。
    上品ではなく、はたまた全く下品にもならず
    いい艶っぷりでございました。
    お江戸の粋でいなせな町の風景。
    小事件あっての人情話。
    八丁堀での裏家業。

    諸田先生の本はほんとに私の妄想力にぴったりで、見事に頭の中に天女湯が出来上がっています。
    天女湯の面々にあ...続きを読む
  • 王朝まやかし草紙
     かつて帝に寵愛された母の秘密
     たぐいまれな美貌の東宮の光と闇
     忌まわしい過去の事件と香と琵琶
     ばらばらに見えるすべては、一つの糸に
  • こんちき あくじゃれ瓢六捕物帖
    あくじゃれ瓢六捕物帖シリーズ第2段。
    粋で伊達な色男 瓢六が転がり込んだのは仇な芸者のお袖の家。
    瓢六が恋の指南役を務める奉行所同心の弥佐衛門から
    いわくありげな母子を匿うように命を受ける。
    お馴染 北奉行所の菅野様もご健在。
    瓦版が飛び交う江戸の町、今回も娑婆と牢を行ったり来たり?
  • 王朝まやかし草紙
    多少、登場人物の話し言葉に疑義を差し挟む余地はあれど、モチーフをうまく活かして壮大なストーリーにつなげている点は見事。
    最後の最後でだまされかけた……。読後感を大事にする私としては、そうきたか、と目を見張る思いがした。
  • あくじゃれ 瓢六捕物帖
    なんとなーく本屋で見かけたので
    買ってみた一冊でした。

    諸田さんの作品は、電車に乗った時
    ふとした拍子にみる広告とか
    新聞の下に出てる出版社の広告とかで
    よく目にして気にはしてたのよね。

    こういう感覚って当たりが多いのを実感した。
    読んでる時に『うわっ』って思うほど引き込まれて
    自分でびっくりす...続きを読む
  • こんちき あくじゃれ瓢六捕物帖
    瓢六の相棒、同心・弥左衛門の恋の行方や、
    登場人物に思わずにんまりとか盛りだくさんな内容w

    これでシリーズが終わっていても悔いのない
    すっきり感がいい。
    ネットで検索したらご本人のHPがあって
    実はこのシリーズまだ続いているそうで、
    とても楽しみなのである。
  • 江戸に花咲く 時代小説アンソロジー
    同じ祭りをテーマにしたアンソロジー。
    同じ天下祭の説明の部分を比較しても面白いです。
    もしかしたら一つの祭りに色々なエピソードが組み込まれていたのではと想像しても楽しめます。
  • 四十八人目の忠臣
    題材は忠臣蔵。主人公のきよは、のちの月光院。
    月光院が赤穂浅野家と関係あるかは、史実としては、はっきりとしていないようではあるが、多少関係ある事は、事実として残っているようである。
    歴史の影に隠れてしまっている事を推察し、こんな素晴らしい小説に仕立て上げるとは。
    実際に、僕たちのしりようのないドラマ...続きを読む
  • 四十八人目の忠臣
    題材は忠臣蔵。主人公のきよは、のちの月光院。
    月光院が赤穂浅野家と関係あるかは、史実としては、はっきりとしていないようではあるが、多少関係ある事は、事実として残っているようである。
    歴史の影に隠れてしまっている事を推察し、こんな素晴らしい小説に仕立て上げるとは。
    実際に、僕たちのしりようのないドラマ...続きを読む
  • 麻阿と豪
    前田利家の娘、麻阿と豪。
    姉妹ながら離れて育った二人が、お互いを助け思いやり、激動の時代を生き抜いていった。フィクションの部分も多い(心情など記録も無いし)けれど、良い小説だったと思う。何より、読んでよかったなと読後に思えるお話でした。
  • お順 上
    『小吉の女房』は勝海舟の母親が主役でしたが、こちらは妹が主役。
    勝海舟は知っていてもその家族となると全然知らなかった。

    彼女の初恋(フィクション?)が実りそうで、でも叶わず。その後の結婚話(こちらは史実)が、より人間味あふれる展開になりました。

    良くも悪くも江戸の終わりから明治の初めは、人も社会...続きを読む
  • お順 下
    ある意味、男運の悪いお順。
    三人目の男が史実なのかフィクションなのかはわからないが、そういうこともあったかもと思わせる。

    勝海舟は歴史のお勉強の中でしか知らなかった人だが、こうして家族の話などを読むと、生きていた人なのだなと思う。
  • 鎌倉残影 歴史小説アンソロジー
    複数の著者の鎌倉時代初期の歴史小説を集めたアンソロジーである。NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』と重なる。

    澤田瞳子「さくり姫」は絵師の目を通して源頼朝の同母妹・有子を描く。坊門姫と呼ばれ、一条能保の妻となった人物である。後藤基清が有子の乳兄弟として登場する。基清は能保の家人と知られているが、ここ...続きを読む
  • 楠の実が熟すまで
    禁裏での出費増大疑惑を探索するため、女隠密が下級公家の家に嫁として潜り込むなんて、アニメや映画ドラマの世界の話かと思っていたが、史実としてあったそうだ。
    著者はその史実に基づき、作家の創造力を駆使し、時代ミステリーに仕上げた。
    その探索も、楠の実が熟すまでと期限が設定され、タイムリミットサスペンスと...続きを読む
  • 女だてら
    主人公原菜蘋=みちは、秋月黒田藩の儒学者原古処を父に持つ実在の人物で、父亡き後、江戸へ出て勉学に励んだ女流漢詩人だとか。
    彼女の詳細に綴られた日記に何故か空白部分があることから、著者は作家の想像力と創造力を駆使し、藩のお家騒動を絡ませた歴史ミステリーに仕上げた。
    黒田藩の継嗣問題で父と兄から密命を帯...続きを読む