諸田玲子のレビュー一覧

  • 蛍の行方―お鳥見女房―(新潮文庫)
    シリーズ第二弾。
    多津がすっかり母親に。
    珠世さんも相変わらず良き母、良き妻で、その心の在り方には背筋が伸びるような気持ちになりました。
    家業の御鳥見役となった長男·久太郎、次男であるがゆえに悩む久之助、格式高い旗本の家にお嫁に行った長女·幸江、少女から大人になりかけてきた次女の君江。
    子どもたちそ...続きを読む
  • 森家の討ち入り
    忠臣蔵、物語として好きです。が、現代に生きていると正直なところ頷けないことも多いと感じます。
    『森家の討ち入り』は、理不尽なことにどうやって向き合うか、どう自分の人生を生きたいか、ということに対する登場人物の姿にぐっときます。人間っぽい。
  • 帰蝶
    いわゆる信長婦人である濃姫を書いた小説は珍しいと思い、読み始めたが最初はちょっと違うなあ、と感じていた。
    やはり、女性ならではの視点ということで、妻として、母として、またひとりの女性として濃姫が描かれているからであると思われる。
    まあ、そう思って読み慣れてくると、そんなに違和感もなくなってくる。
    ...続きを読む
  • お鳥見女房(新潮文庫)
    ずっと気になってたシリーズ。面白かった!
    一家の母、珠世さんが素敵。どんな時も、物ごとの良い面を見る。見習いたいな。
    まだまだ気になることがたくさんあるので、続きが楽しみ。
  • 嫁ぐ日 狸穴あいあい坂
    夫を亡くした結寿は実家からは離縁し、幼い娘を婚家に残して新たな幸せをみつけるべきだと言われているが、火付盗賊改の同心だった祖父のもとで暮らしていた。周りの温かい人々に支えられながら、結寿も自分の幸せに向けて嫁ぐ日を迎える。江戸人情噺。
  • 四十八人目の忠臣
    『堀部安兵衛』に引き続き元禄赤穂事件の時代小説を手にとった。後に六代将軍・家宣の側室となり、七代将軍・家継の生母となったお喜世の方が、実は赤穂浅野家の侍女だったという、史実の隙間を突いた驚きの設定。赤穂事件は義士の切腹だけでは終結せず、義士の子らにも類が及んでいたとは知らなかった。きよ(お喜世の方)...続きを読む
  • 帰蝶
    以前から興味を持っていた濃姫、「麒麟がくる」を観ていてもっと詳しく帰蝶を知りたくなった。
    帰蝶は本能寺の変よりずっと以前に早世したか離縁させられたと考えられていたが、近年京都の織田家過去帳に78歳で亡くなった帰蝶らしき人の記載があり、著者は帰蝶は生きていたとみる説が自然ではなかろうかと考えたという。...続きを読む
  • 今ひとたびの、和泉式部
    Tさんのおすすめ。

    和泉式部もその歌もあまりよく知らなかった。
    紫式部や清少納言と同じ時代に生きたと読んで、
    そう言われてみればそうだったかも、と思うぐらい。

    宮中恋愛物語とあってちょっと腰が引けていたが、
    あまりドロドロしていなくて面白かった。
    後の世の人たちが、この時代の文学を通して想像する...続きを読む
  • 帰蝶
    斎藤道三の娘、帰蝶
    15歳で織田信長に嫁いだ彼女の
    したたかな生涯を描いた傑作

    日々、怪物へと変貌してゆく夫
    織田家の奥を束ねる強さ。
    やがて起こった本能寺の変。
    帰蝶という女性の数奇な人生
  • 楠の実が熟すまで
    公家の改ざん帳簿を追いかける公儀隠密が不振の死をとげる。次に内偵に入った隠密は公儀の姪、武家との婚約を相手の不慮の死によって不意にされたという経緯のある利発な美女…。こんな時代ミステリーの設定良く考えるなぁ。

    と思ったら、史実にもある事件らしい。勿論ものすごく脚色されているということだが。

    ミス...続きを読む
  • 四十八人目の忠臣
    読み終わった時、「この話、ドラマ化したら面白いかも!」と思ったら、既にドラマ化されていました。(「忠臣蔵の恋」)主役のきよ役は、武井咲さん、イケメン十郎佐衛門役は、福士誠治さん なのですね。
    個人的には、村松三太夫が不憫でなりません。きよは罪な女性ですな・・。
    討ち入り後から、きよの人生が大きく変わ...続きを読む
  • 帰蝶
    通説では、早世あるいは離婚したと考えられていた信長の正室=濃姫(帰蝶)。
    近年になって、織田家過去帳の記載から、帰蝶が信長の死後も生きながらえたとの説の信憑性が高まったことが、著者がこの小説を書くきっかけだそうだ。
    本能寺の変の実行者は明智光秀だが、その黒幕は?と、古来様々な説が流布されている。足利...続きを読む
  • 来春まで―お鳥見女房―
    シリーズ第七弾。

    心温まる読後感が魅力の、“お鳥見”シリーズ。
    今回は、藤助の過去が明らかに・・。彼が珠世達の元に戻ってくることを祈りつつ、次巻が出るのを楽しみに待ちます。
  • 巣立ち―お鳥見女房―
    シリーズ第五弾。

    鷹姫さまこと、恵以が久太郎のもとに嫁いできて、家族が増えた矢島家。
    一方、石塚家の多津に新しい生命が宿ります。
    生まれてくる命もあれば、消えていく命もある訳で・・。

    喜びもあれば悲しみもあり、明るい話ばかりではないけれど、何故か心がほっこりする。それがこのシリーズの魅力だと思い...続きを読む
  • 狐狸の恋―お鳥見女房―
    シリーズ第四弾。

    久太郎も久之助も男前ですね。
    矢島家の皆さんは本当、心映えが清々しい方ばかり。
    珠世さんの、「この家はいつも両手を広げて、助けを求める人を待っているようなのですよ」という台詞を読んで、改めて矢島家って素敵だなと思いました。
  • 鷹姫さま―お鳥見女房―(新潮文庫)
    シリーズ第三弾。

    矢島家の子たちの成長が眩しいですね。
    この巻で次女・君江が嫁いだので、今後は久太郎と久之助の恋の行方が気になるところです。
  • 蛍の行方―お鳥見女房―(新潮文庫)
    シリーズ第二弾。

    夫と次男の無事を祈りながら、日々を過ごす珠世さん。
    次女・君江の、恋の行方も気になるところです。
    今回も色々展開がありましたが、心温まるラストに胸がいっぱいになりました。
  • 闇の峠(新潮文庫)
    歴史教科書的には、悪評を残している荻原重秀の貨幣改鋳を背景にした、ロードノベルともいえる時代小説。
    荻原と因縁浅からぬ関係にある旗本の妻せつが主人公。
    彼女の周りで、次々と起こる殺人事件。鍵は、20年前の荻原重秀幽閉問題とみた彼女は、父親も関係するその真相を追うべく、大岡越前の部下とともに、佐渡への...続きを読む
  • 恋ぐるい
    心理描写と構成が見事だった。
    どうしてすれ違うようになったのか、あの時こう言っておけば違う結末になっていたのではないか。投獄されてから平賀源内が野々の言葉で二人の出来事を約1ヶ月かけて綴っていく。ナイーブで虚勢を張つてしまう源内がどんどん頑なになっていくのが哀しい。最期にやっと野々を、女性を信じられ...続きを読む
  • 木もれ陽の街で
    諸田玲子というと時代小説家という印象。ところが、本作は珍しく昭和26~27年の東京が舞台の近時代小説。珍しいといえば、戦後のこの時代を描いた小説というのも珍しい。
    ヒロインの小瀬公子は家族と暮らす荻窪の家から丸の内の企業の医務室に勤務する看護師。恩師を囲む若者たちの集まりで親戚だという絵描きの片岡に...続きを読む